第4話 物入れパニック



「あの、あれ・・・無一文之助です。よろしく・・・」

20を半ばに迎える売れない漫画家が高校生達に挨拶をしている。

だが、俺は

だが、俺は・・・!


ガキとラブコメが大嫌いなんだ!!!


「では、そこの席についてちょうだい」

カリフラワーは奥から2列目のなかなか微妙な席を指定した。

ババァめ。まず俺はな、学生生活とゆうのが嫌いなんだ

尊敬してないやつからの指示はなぁ、

金が生まてねぇなら聞きたくはねぇんだよ!!!!

と、言ったら最高に気分がいいだろうが

また戻されたらたまらん。


・・・てゆうか、何を真剣に丸米野郎の指示通り動いてるんだ俺は

やったところでどうなる? 

世界がどうなんだよ。全くわから・・・

「無一くん・・・だよね? 隣の席の末原 由美です・・。よろしくね!」

・・・あー、なるほど。この子がヒロインな訳ね。

いやぁ、実にありきたりだ。何だコレは。どこにときめけばいいんだ。

どこにときめいてメモリアルを残せばいいんだ?


だいたいなぁ、なんで金髪なんだよ。校則違反って知ってんのか?

それに目まで黄色ってお前、何人だ?え?

あと、あれな。無駄に巨乳な。いや、いいんだよ

巨乳は好きだからいいんだけどその制服とゆうぶ厚めの生地に対して

くっきり表すパイオツフォルムはどうゆう原理だ

全裸からのブレザーかお前は。それかスクール水着みたいな素材なの?


とにかくだ、仲良くならんと進まないらしいしなんて返そう・・・


「あー、えーと、そう、無一・・・だよ、うん。うっすうっす!」

これで良いだろ?オッケー?大丈夫か?

「アハハっ なに、うっす!って 面白いね無一くん」

嘘だろ・・・?これで面白いのか?

お前は笑いのツボで人体が形成されてるんじゃないのか・・・?

「いやいや、お笑い芸人に絞め殺されるほど面白くねーよ・・・。

ツボが浅いんだな」

「そうかな?でもなんだか話しやすいよね 隣に転校生ってすごく

ドキドキしてたんだ。良かった」

「うーん・・・、すごい純粋なんだな。詐欺とか大丈夫か不安になるレベル」

「えー!そんなことないよ?自信あるんだー」

「そっかそっか、自信を元の場所に返しておくんだよ?」

「あ、馬鹿にしてるでしょ。ほんとなんだよー」

「実はさ、末原の生き別れの兄弟なんだよね俺」

「え!?そうなの!?」

「ヒントは名字だ。今すぐ貯金口座を見てこい。

多分200万くらいやられてるぞ」

「あ!そうか! 騙すなんてひどいよーっ

しかもそんなお金ありませんーっ」


あ、いつの間にかこんな話をしている・・・。

なんて純粋で可愛い子・・・好き!!


ってなる訳ねーんだよな。俺、サバサバしてる子が好きなんだわ・・・

どうしよう、本当に恋に落ちれない。

いや、確かに可愛い。癒されるよな。

そうだな・・・10年前くらいならイケたわ。

でもさ、俺この子からすりゃオッサンなわけよ。

そのオッサンもうさ、甘ったるすぎて胸焼けしてんのよ。

丸米の野郎・・・。絶対赤飯にしてやる・・・。



キーンコーンカーンコーン



そんなこんなでいくつかの授業は睡眠とゆう能力を使い乗り切った。

久しぶりに座る木の椅子や机。

斜め前のサッカー部あたりであろう

チャラ男の机の下での携帯いじり。

謎に回される可愛いキャラの描かれた手紙。

それをみて吹き出すインキャラ女子。

先生の「この問題わかるやついるかー?」に対しての

人気者キャラのサブすぎる大喜利。それにあえて乗っかる小物共。

全てが懐かしい。

そして、思い出される。あの頃の怒り。


そうなんだよ、教室ってのは言わば不快感の放し飼いルーム。

忘れていたぜ このクソみたいな青春を!!


「よう、無一文ちゃん。調子はどうだ?」

この地獄の首謀者が机の物入れから半身を出していた・・・。

「あ!生米野郎!! どうゆうつもりだクソ虫め。新手の拷問か?」

「フキダシくんだ。覚えろ貧乏漫画家。いい感じに仲良くなってるじゃないか」

「うるせーな、いい加減教えろ!!」

「でかい声をだすなバカめが・・・。そうだな、そろそろ教えてやる。

お前はそこのヒロインと一緒におウチに帰る。」

「は!?」

「黙って聞け。んで、その帰り道だ。途中でトラックが

つっこみヒロインが跳ねられちまうんだ。そっからこの物語は悲劇が

悲劇を呼ぶパラレルワールドになっていき、

主人公がヒロインを救う為に命を投げ出すっちゅう、欝展開なラブコメになる」

「あー、あるよな。そうゆう感じの暗いやつ。んで?」

「なんとなぁ、この漫画を読んだ現実世界の人間達が心を吸われ

リアル上でも同じ事が起きているんだわ」

「・・・!? おいおい、マジかよ。漫画のヒロイン求めて

現実の人間がパラレルしてんのか?」

「いや、条件はあるみてーだ。恋人、あるいは婚約者を亡くして

この漫画を読んだ者のみ発覚している」

「なるほど・・・。似ている設定だもんでその『心が吸われ』やすかったわけだ」

「そうゆうことだ」

・・・ん?てゆーか

「いやいや、待てよ。俺に何しろってんだ」


「お前、漫画家だろ?そのトラック・・・消せ!」



は?





















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