第23話 何で知ってんだよ……。ー宗介sideー


うわぁぁぁああああああああああああああ!!!?!!??!?!? お、お、お、俺は何をしてんの!?!? 何、あの態度!! 香樹、絶対俺のこと面倒な奴だって思ったよ!!!


俺は学校の机に突っ伏して、昨日のことを思い出していた。


香樹からジュース貰って嬉しがったり、柚香のことばっか考えてることに嫉妬したり、構ってもらえないからって拗ねたり、前の話持ち出したり………って、完全に恋する乙女じゃん!!!! しかも面倒くさいやつの!!!!! あぁ〜〜〜〜、香樹に嫌われたぁ〜〜〜〜。


手足を投げ出し唸っていると、上から降ってきた声に俺は固まる。



「…宗介、大丈夫??」



俺が嫉妬していたなんて知らない柚香は、いつも通り俺に話しかけてきた。



「……あ、あははは、な、何でもないよ……うん」



な、何か気まずい………つか、顔合わせずらい……。


そんな気がして俺は柚香から顔をそらす。いつもと違う俺に気がついていない柚香は、それでもいつも通りに話しかけてきた。



「あ、あのさ………昨日はありがと…ね。お陰でその…何と言いますか……まぁ、無事に……はい」



昨日のことはある程度……というか、今の言い方からして見当がつく。2人は付き合うことになったんだと。


俺は再び柚香の顔を見る。そこには先ほどまでとは違う、首まで真っ赤に染まった柚香がいる。その姿が素直に可愛いと思った。



「おめでとう。頑張れよ」



無意識に出た言葉に俺自身も驚く。


ん? 柚香と菅原くんを応援したら、香樹と柚香はどうなるの?? あれ?? 柚香と香樹って両想いじゃなかったっけ??? ん? ん!?!!? え、頑張れって応援して……いいの?? でも香樹は2人をくっつけようと………何で???


再び机に突っ伏しながら1人でパニクっていると、聞き慣れた声が飛んできた。



「はぁ。ほんと、馬鹿なんだね」



顔を上げると空野姉が立っていた。確か、名前は霰とか言ったっけ……。



「なんだ、君か………君には関係ないだろ」

「……何だよ、じゃあ雹牙なら関係あるっての?」



その言葉に、俺は思わず反応する。



「なっ!?……べ、別に関係ね〜よ。ただ、俺が香樹のこと、よく分かってなかったってだけだから」

「ふぅ〜ん。この前は、あんなに自信満々に言ってたのにね。…………そーすけはさ、好きな人いる?」

「……は?」



霰の言葉に固まった。初対面の人に「そーすけ」と呼ばれたことにもだが、それ以前に その質問の方が心にきた。………グサッと。


いないけど!!! 別に、そんな人いないけど!!! ついこの前、失恋したけど!?!? しかも、初めての失恋の相手が男だったけど!?!?!? ………はっ! まさか、こいつ俺のこと………!?



「べ、別に………いたらどうなんだよ」

「……いや、別に。どうってことはないけどさ。いるなら少しは分かるんじゃない? 好きな人がいる楽しさ、その人に好きな人がいたときの悲しさ、付き合えたときの感動とかさ」



どこか遠くを見つめ懐かしんでいる霰。そんな姿や話し方を見て、俺はまた懐かしく感じた。


………何で? だって、懐かしいのは ひょーちゃん……いや、雹牙の方のはず……。姉の方は知らないはずなんだけど……。


過去の記憶を思い出すが、やっぱりどこにも霰の姿はない。思い出されるのは雹牙と雪だるまを作ったり、雪うさぎを作ったりして遊んだこと。2人とも家が嫌いで、よく抜け出して遊んでいたことだけ。


……俺が忘れてるだけか? だとしたら、俺、最低だな! だけど、こいつだって俺のこと知ってるような感じしないしな……どっちだろ?



「ま、どーでもいいけど。ボクには関係なしいね。それより、そーすけは もう決めた? 跡取りになること」



俺は雹牙姉の言葉にフリーズした。











































……何でこいつが知ってんだよ。


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