第14話
ヒイロとエルベ、それにサヨが作戦会議をしているのと同じ頃、アウィーナとリンデンは近辺の天使のもとへ急いでいた。
星の天使は、それそれ一つずつ、得意な分野がある。例えばアウィーナの治癒がそれであるように。今ふたりが会おうとしている天使は、星図に関してのエキスパートである、というわけである。ではリンデンは?それは後の楽しみに取っておいてほしい。
「お前よー」
「なんです?」
輝く宇宙のなか、細くも長い翼が、これまた光をまとっているかのように風を切る。ばさり、ばさり。その姿はさながら白鳥のようであった。
「何があったかなんて野暮なこたぁ聞かねえけどよ」
本当に、これでいいのか?
飛びつつも、アウィーナの風は止まった。
「・・・・・・これで良いのです」
全ては、御神の思し召しだと。アウィーナはそう、自分に言い聞かせた。
自らの星のこと。自らがヒイロたちに引き寄せられたこと。御神に会ったことはない。ないがしかし、自分が今存在していることは御神に存在を許されているからである。この世界を統べる御神の意に反することをしたならば、その者は・・・・・・仮に星の天使ならば、跡形もなく消されるだろう。それは彼らの星も同じである。
「私が今存在しているということは、私は間違っていないということです」
「あんなぁ・・・・・・確かにそれは間違ってねぇかもしんねー、が、『正解』とも言えねぇぞ」
リンデンはアウィーナの先を行く。振り返らないまま、ぼそりと呟いた。
「本当にそれでいいのかよく考えてみろよ、そんなんじゃそいつをちゃんと育てられねぇぞ?」
止まった風が、再び吹き始めた。
アウィーナに預けられた星の天使のたまご。天使が目覚めた時、彼もしくは彼女にあらゆることを教えるのはアウィーナだ。揺らいだのは、体か、こころか、それとも後輩か。
「さ、ついたぜ」
目の前の小さな星に、一つの大きな機械がある。機械の前には非常に小さな丸椅子。そしてそこに座る、背の低い天使。
「こいつぁーちっと変わった奴でな」
「失礼ですネ、ワタシは変わっているのではなく研究熱心なのデスヨ」
いつの間にか小さな天使は目の前にいた。いわゆるおかっぱに瓶底メガネ、ブカブカの白衣を引きずった彼女は、アウィーナの3分の2ほどの背丈しかなかった。
「はじめまして、コンニチハ」
少し変わった天使は、電流を着て、ビリビリとても刺激的。
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