手のひらの上は舞踏会が開かれていますよ

望月 ひかる

第1話

-プロローグ-


皆さんの学校には七不思議がありますか?

ここ永嶺学園ながみねがくえんにも七不思議が存在するようで、今回はその一つ。

"かすみちゃんの舞踏会"をピックアップしましょうか。

今回もこの舞踏会ゲームに愚かな踊り生徒が参加するようですよ。



1/chapter



私はここ、永嶺学園が大好きだ。

山と海に囲まれて、近所には優しいおばあちゃんやおじいちゃん。

それにご飯だってとっても美味しい。

歴史もあって、私のお母さんの母校でもあるのだ。

永嶺学園は少数規模の中学校で、全校生徒約100人ほどだ。

早瀬夏々樹はやせななき今日も元気にいってきますっ!」

「いってらっしゃい」

お母さんはにっこりと微笑みながら私をいつも送ってくれる。

中学校まではそこまで遠くないので私は徒歩で通学をしている。

途中でT字の道路があってそこを曲がって真っ直ぐいけば永嶺学園に着く。

今日も余裕で学校に着いた。

「夏々樹ちゃんおはよう」

「あっ梨夜りよ!おはよう」

今挨拶したのは棚田梨夜たなだりよ私のクラスメイトで席も隣なので仲がいい友達だ。

「夏々樹ちゃん今日の宿題多かったね」

「そうだね~そんなことより私は家の手伝いが忙しくて忙しくて…」

はぁとため息をつきながら伸びをする。

「そっか、夏々樹ちゃんのところは共働きだもんね」

少し申し訳なさそうに梨夜が言う。

「うん。でも夜の9時にはどっちも帰ってくるしお母さんは朝見送ってくれるし、全然大丈夫だよ」

夏々樹はにっこりと微笑みながら顔の横でダブルピースをする

「そっか」

私達は2年生なので2階に教室がある。

「ねぇねぇ夏々樹ちゃん」

教室に入り席に着いたとき梨夜が話しかけてきた。

「ん?どうしたの?」

「あのね、永嶺学園の七不思議って知ってる?」

「七不思議?うーんと例えばトイレに誰も入ってないのにノックをすると返事が帰ってきて花子さんが出てくる…とか?」

「うーんまぁそんな感じ、かな?それと夏々樹ちゃん花子さんはあついよーって言うから夏々樹ちゃんの言ってる事は間違ってて、ってそうじゃなくて」

梨夜がオカルトに詳しい事は知っていたが、今更話をされるとは思ってもなかった。

「あのね永嶺学園の七不思議の1つで"かすみちゃんの舞踏会"っていうのがあってね」

「舞踏会?なんだか楽しそうだね」

「みんなそう思うんだけど、実はこれ成功するとお願い事が叶うって言うんだよ」

なんともありきたりな七不思議だった。

しかし夏々樹は食いついてしまった。

「それ本当なの!?いいなぁ私もお願い事叶えて欲しいなぁー」

「ちょっと気になるでしょ?良かったら今日してみない?」

夏々樹の顔がぱぁーっと明るくなり目を輝かせてこちらを見た。

「もちろん!今日も暇だからねー」

そして手をひらひらとする素振りを見せた。

「よしっ決まりだね。じゃあすばるちゃんとか北妓きたぎちゃん誘ってみるね」

中原昴なかばらすばる真上北妓まがみきたぎ

昴は私の幼馴染みだ。

北妓はクラス委員長をしていて、昴の隣の席なので昴を通じて仲が良かった。

そして放課後になった。

「まさか、本当に七不思議を信じるなんてね」

北妓はやれやれと呆れながら腕を組んでいた

「そんな事言いながらも参加してるじゃーん?北妓ちゃん」

イタズラに笑う昴。

「こっこれはクラス委員長として貴方達が心配で付き合ってるだけで、別に興味があるわけじゃないから」

ツンデレ、には程遠いツン100%の返しだった。

「ま、まぁまぁ誘ったのは私だし、言い出しっぺも私だから北妓ちゃんは悪くないからね!」

あたふたと慌てる梨夜。

「あのね梨夜。今そんな話してないんだけど」

スパッと北妓が言う

「えっご、ごめんなさい!」

またも、慌てる梨夜。

「まぁさ早くしようよ。私気になって…てへ」

気になってるのは本当なんだよ?

「そうね、ちゃっちゃと済ませて帰りましょうか」

そして私達は最北の空き教室に向かったのであった。



続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

手のひらの上は舞踏会が開かれていますよ 望月 ひかる @ako1132

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ