第17話

 旅が始まって1時間が経過した。

 みんな黙々と歩くので話題が欲しい所だ。

 アルフレッドさんはおどおどしながら歩いている。

 気になったので話してみることにした。

「アルフレッドさん、どうしてそんなに怖がっているんですか?」

「いえ、またオークが来るんではないかと思いまして」

「村に入ったので全部だと思いますよ。根拠はありませんが」

 エリザベートさんがそういうとアルフレッドさんはやっぱりおどおどしていた。

「男の人なのにそんな怖がっていては駄目ですよ」

 エリザベートさんから注意をうけたアルフレッドさんを見るとちょっと悲しくなった。

「す、すいません。自警団に入れば少しは怖がる性格治るかと思ったのですが、なかなかそうはいきませんね」

「アルフレッドさんはまだ自警団に入って2か月じゃないですか。そんな早くは治りませんよ。この旅で克服することを神に祈ってください」

 エリザベートさんがアルフレッドさんにそう言うとすぐに前を向き直す。

 お尻がちょっと大きいのがエロいが黙っておこう。

 アルフレッドさんが怖がるのも無理はないはずだ。

 現に俺もオークにやられかけていたし、アルフレッドさんみたいに恐怖するのが当たり前なんだろうが、ウェインさんがいるしなんとかなるだろうと思っていた。

 俺は戦闘を歩くウェインさんに話しかけた。

「ウェインさん質問いいですか?」

「なんだ山城、今日は野宿だから村には着けないぞ」

 うへぇ、嫌な情報知ってしまった。そんなことよりも気になる質問を俺は言った。

「ウェインさんが勝てないモンスターとか敵っているんですか?」

「何故そんなことを聞く」

「いやもし。俺やエリザベートさんにアルフレッドさんが強力なモンスターに襲われたときにウェインさんが勝てないモンスターと戦っていたら終わりじゃないですか?」

「そんな怖いケースもあるんですね。ぼ、僕村に帰りたくなっちゃいましたよ」

 アルフレッドさんが怯える。

「村には帰れませんよ。村長、お父さんの調書貰ったのだから断ると自警団全体の信頼無くしますよ」

 エリザベートさんがアルフレッドさんを注意する。

「そ、そうですよね。ウェインさんが最強であることを祈りつつも僕の安全を祈るしかないですね」

「みんなの安全ですよアルフレッドさん。全くもう…」

 エリザベートさんが長い髪を触る。良い匂いがした。

 っていうかどうして自警団は俺を棚に上げてこんな弱そうな人しか呼ばれなかったんだろう?村を強い自警団で守りたかったからかな?そのへんが妥当に思えた。

「山城、質問の答えだが」

「いるんですか?ウェインさんが倒せない敵って」

「世界に5人くらいはいるがどれも伝説上の生き物で確認したことはない」

「それってほぼいないってことですよね」

「そういうことだ」

 ウェインさんはにっこりとした笑顔で答えた。

 これで元が男じゃなければ可愛い女の子なのになぁ。俺はそんな事を思いながら野宿覚悟の歩き旅を続けた。

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