第15話


 初めてのモンスターは緑色の肌をした腹の大きな人型のオークだった。

 5、6匹くらいの数で畑を荒らしていた。

「行きますよ!これが俺の初戦闘!」

 ダッ!

 俺はオークの群れに向かって走り抜ける。

 ウェインさんは何やら呪文を唱えているし、アルフレッドさんは俺と同じ速度でオークに向かっている。

 エリザベートさんは俺とアルフレッドさんに呪文をかけていた。

「ダメージを減少する魔法をかけました。無理だと思ったらすぐに下がってください」

 エリザベートさんの声が後ろから聞えた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 俺は雄叫びと共にオークの頭に槍を突き刺した。

 1匹目のオークの頭が跳ね飛ぶ。初戦闘で初撃破だ。

 2匹目のオークが手に持っていた釘付きのこん棒を俺めがけて振り下げる。

 俺は槍を抜いてこん棒めがけてぶち当てた。

「がはっ!」

 背中に激痛が走る。

 3匹目のオークにこん棒で背中を叩きつけられたようだ。

 体がいうことを効かない。全身にしびれが走る。

「うわぁ!危ない、危ないよ」

 アルフレッドさんは攻撃せずに回避ばかりしていた。

 そのおかげかオークの数は俺が3匹、アルフレッドさんは2匹を相手にしている。

「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 俺は痛みを堪えて、周りに槍を振り回して距離を作る。

 接近されたらこん棒で背中が血まみれになる。

 魔法でダメージが軽減されているとはいえ、痛いものは痛い。

「まだまだっ!いける!舐めんなよおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 俺は叫んで周りを威嚇する。

 オークたちは動じずにこん棒を振り回してくる。

 こん棒を槍で受け止めて後ろに下がっていく自分がいる。

 アルフレッドさんは転んでオークにこん棒で叩かれまくっていた。

「ひぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 アルフレッドさんの情けない悲鳴を聞きながら、俺は背中の痛みを堪えつつオーク達とのこん棒と槍のぶつけ合いに集中していた。

「そろそろか」

 ウェインさんの声が聞こえると風の呪文が飛んできて周りのオークと俺とアルフレッドが吹っ飛んだ。

「エリザベート殿、2人を頼む」

「はい、わかりました」

 俺とアルフレッドさんは落下の衝撃を風で出来たクッションのようなもので和らげ、静かに地面に着地した。

 倒れている横目でウェインさんを見ると剣でオーク全てを一太刀で薙ぎ払っていた。

 それは本当に一瞬の光景だった。

 これが闘神ウェインの力かと俺は驚きつつも、エリザベートさんの回復魔法で怪我を癒されていた。

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