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2018年1月26日 02:58 編集済
バルバロさんの自主企画(カクヨムWeb小説コンテスト“非”応募作品反省会『極小版』)から来ました。講評員1号ひるいです。(2号はおりません)僭越ながら企画趣旨に倣い、点数評価を付けさせて頂きました。・作品のオリジナリティ:4・キャラクター:3・ストーリー:3・世界観:4・文章力:3カクヨムにもSFを書かれる方が何割かいらっしゃいますが、独特の鋭い視点を持った話で、惹かれると思うと、カクヨムでは、それがあまり読みつけないSFジャンルなことが多いです。その中でも群を抜いた視点を持つ方だと感じます。仮にSF脳というのがあれば、それなんですが、3次元であれ、いくつもの平行世界が舞台であれ、物語を進めるうえで、多層構造は全く苦にならないようだと見受けました。無意識の逆に、自然に、そうした感性や作業を装備しているとしか。通常運転でドライで客観性のある言葉を持ち、ありきたりな表現が使われることは、ほぼほぼありませんでした。(ありきたりな表現の方が伝わりそうなものも含めて)その稀有な感性は貴重だと思います。磨いて行ってほしいと願います。最初の箱が一番スリリングだったのではないでしょうか。何回読み返しても把握できず、あっちを読んだりこっちを読んだり、また冒頭に戻ってみたりしました。情報が少な過ぎてわかるわけがない!けれど計算と意図を感じる切り替えの連続に引き込まれます。個人的には、深層演算の中で、なぜ時間が機能を失うのか、が不明でした。ここに納得が行かないと、あとあと困る気がするのですが、理論に実感が持てないままなのです。講評に話を戻して。世界観、オリジナリティは文句のつけようがありません。読み終えた時どんな全容になるかはまだわからないので、4としました。3項目が3なのは同じ理由です。まだ伸びしろがあるということですが、なんとなく長編を書き慣れていない印象を持った為です。はじめの方、情報の少ない中で、冷静な主人公は大人っぽいイメージに感じました。途中でさらっとだいだいの年齢がわかり、意図的に隠してたんじゃないのかーいと思ったり、交流が起きると人間的な部分がどんどん出てきたり。作者も主人公も冷静で客観的な目線の持ち主のため、読み手は説明されてると思って乗っかっていたのですが、箱が進むにつれ、コレ普通に一人称なのだと気付きました。あるのは設定と多層構造の物語のディテールで、わりと主人公任せなのかな、と後半で認識を改めた次第です。客観性のある砂漠の箱での描き方から、主人公が能動的になって行くにつれ、物語のリズムが単調になっていくようです。状況は差し迫っているのに。不思議。どの人物にも、感情移入ができないのですが、描き方次第かなと思います。主人公は簡単に肩入れしますが、彼女にはそうするべき正義があるようで、それは読み手と共有していいような気がします。町内部の距離感が具体的であれば、主人公とともに、何分経ったのだろうと、考えたり、逆にもう時間が迫ってるのではと勝手に不安がることもできます。そうした細かな基本的な技術は、冒頭から展開された独特の切り口、タイトな構成には似つかわしくないかもしれません。今の時点では、読ませる力のある文体を持ち、何人に読まれても褪せない作りの世界観を構築しているだけに、それを展開する物語と牽引する人物と表現の甘さがアンバランスで勿体ないという感想です。kinomiさまのスタイルで、読み手に何を見せたいのか、見せたいものを魅せる方法を獲得されることを願っております。長くなりました。評価へお付き合い頂きありがとうございました。それでは〜。
作者からの返信
近況ノートにお礼のコメントを記載いたします
編集済
バルバロさんの自主企画(カクヨムWeb小説コンテスト“非”応募作品反省会『極小版』)から来ました。
講評員1号ひるいです。(2号はおりません)
僭越ながら企画趣旨に倣い、点数評価を付けさせて頂きました。
・作品のオリジナリティ:4
・キャラクター:3
・ストーリー:3
・世界観:4
・文章力:3
カクヨムにもSFを書かれる方が何割かいらっしゃいますが、独特の鋭い視点を持った話で、惹かれると思うと、カクヨムでは、それがあまり読みつけないSFジャンルなことが多いです。
その中でも群を抜いた視点を持つ方だと感じます。仮にSF脳というのがあれば、それなんですが、3次元であれ、いくつもの平行世界が舞台であれ、物語を進めるうえで、多層構造は全く苦にならないようだと見受けました。
無意識の逆に、自然に、そうした感性や作業を装備しているとしか。
通常運転でドライで客観性のある言葉を持ち、ありきたりな表現が使われることは、ほぼほぼありませんでした。
(ありきたりな表現の方が伝わりそうなものも含めて)
その稀有な感性は貴重だと思います。磨いて行ってほしいと願います。
最初の箱が一番スリリングだったのではないでしょうか。何回読み返しても把握できず、あっちを読んだりこっちを読んだり、また冒頭に戻ってみたりしました。情報が少な過ぎてわかるわけがない!けれど計算と意図を感じる切り替えの連続に引き込まれます。
個人的には、深層演算の中で、なぜ時間が機能を失うのか、が不明でした。ここに納得が行かないと、あとあと困る気がするのですが、理論に実感が持てないままなのです。
講評に話を戻して。
世界観、オリジナリティは文句のつけようがありません。読み終えた時どんな全容になるかはまだわからないので、4としました。
3項目が3なのは同じ理由です。まだ伸びしろがあるということですが、なんとなく長編を書き慣れていない印象を持った為です。
はじめの方、情報の少ない中で、冷静な主人公は大人っぽいイメージに感じました。途中でさらっとだいだいの年齢がわかり、意図的に隠してたんじゃないのかーいと思ったり、交流が起きると人間的な部分がどんどん出てきたり。
作者も主人公も冷静で客観的な目線の持ち主のため、読み手は説明されてると思って乗っかっていたのですが、箱が進むにつれ、コレ普通に一人称なのだと気付きました。あるのは設定と多層構造の物語のディテールで、わりと主人公任せなのかな、と後半で認識を改めた次第です。
客観性のある砂漠の箱での描き方から、主人公が能動的になって行くにつれ、物語のリズムが単調になっていくようです。
状況は差し迫っているのに。不思議。
どの人物にも、感情移入ができないのですが、描き方次第かなと思います。
主人公は簡単に肩入れしますが、彼女にはそうするべき正義があるようで、それは読み手と共有していいような気がします。
町内部の距離感が具体的であれば、主人公とともに、何分経ったのだろうと、考えたり、逆にもう時間が迫ってるのではと勝手に不安がることもできます。
そうした細かな基本的な技術は、冒頭から展開された独特の切り口、タイトな構成には似つかわしくないかもしれません。
今の時点では、
読ませる力のある文体を持ち、何人に読まれても褪せない作りの世界観を構築しているだけに、それを展開する物語と牽引する人物と表現の甘さがアンバランスで勿体ないという感想です。
kinomiさまのスタイルで、読み手に何を見せたいのか、見せたいものを魅せる方法を獲得されることを願っております。
長くなりました。
評価へお付き合い頂きありがとうございました。それでは〜。
作者からの返信
近況ノートにお礼のコメントを記載いたします