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  • 編集済

    この度は『熟読&批評します』企画にご参加いただき、ありがとうございました。
    主催者の島流しにされた男爵イモです。作品の方を拝読致しました。

    本作は今まで拝読したkinomi様の作品の中で、最も難解なものだった印象です。そして、読んでいて一番刺さった作品でもあります。細かな部分への指摘は後述しますが、一個人の感想としては「非常に面白い」ものでした。私はどちらかといえばソフトSFを楽しむ人間ですが、そんな立場の者でも高尚な世界の一端に触れられるハードSF作品だった印象です。作品の性質上、スタニスワフ・レムの『ソラリス』や二瓶勉の『BLAME!』のようなある種の独善的な構成がとられているものの、それ自体に抵抗は感じませんでした。いい意味で読者を篩にかけており、作風が好みの人はとことん没入できる作品だったと思います。端的に表すなら、「10人中、3人の心の奥深くまで刺さる作品」といったところです。

    作品の内容については、とにかく難解でした。理解が危うい部分は何度か読み直しましたが、それでも話の意図を100%理解したとは言い切れません。そこで憶測を交えての考察で恐縮ですが、私なりに感じたこと(本作の魅力)をまとめてみます。それでは本題の方に。私が作品から読み取れたことは、形而上学への挑戦です。仮想箱という情報集積の海を舞台に、読者はハルカの目と感性を通じて、認識の哲学もとい人間性を探求していく。ときにはSF的に、またあるときはドラマチックに。そうした過程を経て、人間性(思考と行動)のプロセスと意義を読者に再認識させる試みが為されていたように感じます。他の単語で言い換えるならば、自由意志でしょうか。それらのことが「作品そのものが、読者にとって仮想箱である」という演出の下、仮想箱の二重構造による没入感によって伝わってきました。

    また仮想箱の正体についても、作中での設定の裏側を考察した場合、「あらゆる過去を見てきた生き証人、あるいは人間そのもの」と解釈できる気がします。データ化された擬似的な人間。ガワは人間の定義から外れているとしても、中身は同一かそれ以上。箱庭という歴史を内包した、思考の集合体。これを人間と呼べるのか。そうした問題提起でもあったように思います。ここまでのことが全部深読みのしすぎであったのなら恥ずかしいですが、かなり考察の捗る作品でした。たとえそれらが間違っていても、考察ができることは本作の最大の強みといえます。文章以上の奥行を、読者に伝えられるわけですから。私のような素人でもそれなりの考察ができたので、同じように考察しながら読書を楽しんでいた読者は一定数いることでしょう。序盤でギブアップした読者はまだしも、中盤まで読んだ読者の頭には、なにかしらの気づきがもたらされたはずです。読者に示唆を与える、という点においては、書店に並ぶ古典SF小説に匹敵するポテンシャルを感じました。

    それでは、続いては気になった点に触れていきます。
    全部で三つ。どれも前提として、「客観的に一つの作品として見た場合」という基準で挙げました。ちなみに近況ノートにいただいたコメント(スターシステム)については、さして問題とは思いません。それのせいで物語の本筋がブレることはなかったですし、むしろ考察の材料として機能していた印象です。では、三つの気になった点を以下に記します。
    ➀複雑な情景描写
    ➁物語の進行に伴う作風の変化
    ➂ハルカの行動原理の不明瞭さ

    まずは➀から。これは簡単な内容なので手短に。
    作中では一部、情景描写が必要以上に難解になっている部分がありました。特にDanceBoxでの踊り子のいる会場や、MeteoriteBoxでの空き瓶さんに会うまでの空間エレベーターの描写など。何度か読めば全体像が頭に浮かぶ一方、やはりフワッとした認識になってしまいがちです。原因としては情景描写に凝った表現や、婉曲的な言い回しを多用していることが考えられます。そのために場面の解像度が、かえって低下しています。一概にこうした表現を否定はしませんが、最初は情景描写を簡素化して全体像を伝え、次いで個性的な表現を用いて細部の描写を補足する。そうした手順を踏んだ方が、読者の理解は深まるはずです。

    続いては➁、物語の進行に伴う作風の変化。
    ➂の課題を招いている要因です。具体的な部分はのちに掘り下げるので、こちらでは大まかな概要をお伝えします。通読したところ、三番目の仮想箱から作風が変化したように見受けられます。それまでの形而上学的な思索から一変、仮想箱の面々と力を合わせてシステムに立ち向かうという情熱的な展開に。それまでの哲学的な話運びが、途端に軟化してしまったイメージです。いうなればコース料理の最後に、ファストフードが運ばれてきた感覚です。ある意味、三番目の仮想箱の内容はSFに疎い人でも馴染みやすい展開となっていました。仮にMeteoriteBox単品で長編作品があったのなら、この『仮想箱』という作品よりも注目を浴びるかもしれません。それほどまでに、中盤から作風が変化していました。この違和を減らすためには、MeteoriteBoxの作風を前の仮想箱の雰囲気に寄せる、ないしは作品全体の難解さを和らげることが必要です。後者に関しては作品の根幹を揺るがす無茶な注文と思うので、ここでは前者の場合の提案をさせていただきます。

    MeteoriteBoxの雰囲気を変える場合、ハルカの思考と行動をもう少し消極的にさせてみてはどうでしょうか。主体的にメイジに挑むのではなく、あくまでも傍観者を貫く。最終的に他の人物に感化されて、仮想箱の真理に辿り着くという流れにするのです。ハルカの積極性は前二つの仮想箱で明かされていますが、終盤のそれとはベクトルが違います。知的好奇心から、感情移入による干渉に変わっています。違和の根本には、ハルカの心境の変化に読者が追いつけていないことがあると思うのです。そのためにハルカが「仮想箱を楽しみに来た客」から「物語の主人公」になることが不思議でならない。DanceBoxでのケイコとの出会いによってハルカがすでに仮想箱に感化されていたとしても、システムに挑む動機として弱い。こうした小さな疑問が、次々と浮かび上がります。どうして、ハルカが壮大な計画を立てるに至ったのか。この点が十分に書かれなかったことが、作風の変化(そうした認識)につながっているのではないかと思います。

    ということで➂、ハルカの行動原理の不明瞭さになります。
    結局のところ、ハルカはなにを考えていたのかという部分ですね。とはいえ、本作は人物で魅せることが売りの作品ではないと私は考えています。ケイコやジェミーなどの興味深い人物は多数登場する一方、本作が重きを置いているのは仮想箱を通した哲学ではないかと思います。メタ的に見た場合、ハルカは「読者の目」の役割を果たせば十分です。その他のユーモアのある言葉や積極性、いわば人間らしさは副産物とも考えられます。しかしながら小説である以上、主人公を軸に物語を展開させる必要があります。そうした場合、ハルカに行動原理は不可欠です。仮想箱になにを求めているのか、どんな価値観で生きているのか。それらの描写が希薄であるために、MeteoriteBoxのくだりも相まって方向性が入り乱れた、どっちつかずの作品という印象が残っています。

    内容で魅せる作品なのか、それとも人物で魅せる作品なのか。前述したように本作を「内容で魅せる作品」と断ずれば大いに評価できる反面、「人物で魅せる作品」だと思って読めば、評価は低いものになります。こうした読者側の認識のズレを防ぐには、kinomi様の方で作品の方向性を定めることが重要になります。それに合わせて、ハルカの行動原理を描写すればよいのです。ひたすらに傍観者として書いてもいいですし、内面を掘り下げて人間味のある人物にしても構いません。あるいは徐々に心境が変わっていく様を丁寧に書き込んでもよいでしょう。なにかしらハルカの気持ちが読者に伝わる形になれば、作品への違和は抑えられることと思います。同時に、ハルカに対する見方も固定されることでしょう。

    最後に気づいた範囲で、誤植などの報告を。
    17₋SandBox₋14₋より:ヒトが音を捉える性能はそれなりに優秀で、メロディーは少しずつ音量を確かなものにしていく。 幾つ目かのビルの角を曲がって少し歩いた時、視界が開けて小さな広場が見えた。→文の間の不自然な一マス空け。

    18₋SandBox₋15₋より:無残な都市の残骸地どのくらい歩き続けただろう。→残骸地「を」

    25₋DanceBox₋02より:女性は交差させた腕をテーブルそっと乗せると体重をいくらか預けた。→テーブル「に」

    28₋DanceBox₋05より:立ち込めているようでもあり、逆放射状に集まる視線と中心で舞う動き沿って流動しているようでもある。→動き「に」沿って

    29₋DanceBox₋06より:少年は少し先の椅子を指指差す。→「指」の重複。

    42₋MeteoriteBox₋04より:もしかして私はとんでもないことを言っているのないかと気にしてしまう。→言っているの「では」ないかと

    ??₋外側₋02より:重なるのであればあなたはそれに相談できるか→句点忘れ。

    47₋MeteoriteBox₋09より:孤独なアンドロイド店員が深々とお辞儀をする見えたので、自分の尺度でお辞儀を返す。→お辞儀をする「様子が」or「のが」

    59₋MeteoriteBox₋19より:時代技術が人格の再現を自由にしたのならばダテマルくん言うことは容易に根拠を得る。→ダテマルくん「の」

    62₋MeteoriteBox₋21より:『③「ジェミーしりとりをしよう」 {え?しりとりジェミ?} 「さよう、——→{え? のあとの一字空け忘れ。

    65₋MeteoriteBox₋24より:見間違いじゃない、しゃがんで地面じっと見ると、→地面「を」

    72₋MeteoriteBox₋31より:俺たちエレゴーストの仕組みに近付いた感じた。→感じだ

    76₋MeteoriteBox₋35より:イオは表情を頷くと表情を引き締めて機械室奥の操作席に向かった。→「表情を頷くと」の言い回しが不自然。

    以上になります。
    批評内容に関してご不明な点や不備があれば、私の近況ノート『11/3開催 自主企画専用ページ』にて対応致します。気軽にお申し付けください。レビュー内容に関しても、ご要望があれば内容を変更しようと思います。ここで述べたことが、kinomi様の創作活動の一助となれば幸いです。

    作者からの返信

    これだけ長大な作品を通して、しかも深く切り込んでお読みくださりありがとうございました。レビューまでいただきこれ以上ない称賛です。
    本作がハードSFかソフトSFかで言うと、私にはまだまだハードSFは書けないと思っておりました。「宇宙船の内部構造をきちんと勉強しないままスペースオペラを書いても、装甲に針の穴ほど小さな穴が空いた際の緊張感がリアルに描けない」といった類の感覚です。『サイバーエデン~』をお読みいただいた際に言い訳がましく書いたことと重なる部分があります。しかし何とか絞り出して散りばめた要素、こちらは自然と身に着けていた多層構造をそれに相当するものと評していただけたことは嬉しかったです。SF読者に絞るならまだしも、10ではなく100人中1人に刺さればと思っておりましたが、鋭く長い棘を作れていたのだと自信が付きました。

    考察いただいた部分に対するコメントは、“どこまで作者の意図を聞きたいか”(=種明かしをしてもいいのか)という確認をしてからの言及が望ましいと思いますので、近況ノートにお邪魔します。
    「文章以上の奥行」をどうにか描けていたようで何よりです。絞り出したと書きましたが、筆致、示唆、走り出してからこじつけた構造を含めて、思えば“より奥に潜む何か、外側に存在する何か”でマトリョーシカのように物語を包んでいくことで核心の底知れなさを作り出そうとしていた気がします。

    また、ご指摘いただいた「気になった点」についても、上記とリンクしてしまう部分があるため合わせて記載させてください。
    ※いただいた内容には全面平伏です。

    誤字脱字は取り切れておらず申し訳ありませんでした。上手い下手とは別の礼儀だと思っておりますので、一切のノイズ無く読み進めてもらえるように急ぎ修正します。

    この度は本当にありがとうございました。この作品を書けて良かったと、改めて思いました。

  • 19_SandBox_16_への応援コメント

    読みます企画へ参加頂きありがとうございます。
    早速ですが応援のコメントを。

    緻密な描写が難解さを齎し、かなり取っ付き難い部分はありますが、腰を据えて読み込めば内容も理解が及ぶところなのでしょう。
    途中までしか読んでいないのと、難解さを感じさせるので理解が及ぶまで読み込むと、他の参加作品との兼ね合いもあり支障も出る為、的確な感想とは行きませんが、過去に似たような傾向を持つ企画参加作品を読んでおり、なるほど、嵌る人には嵌るのだろうと。
    読者をかなり選ぶと思うので、万人向けとは言えないのかなと感じます。

    仮に多くの人に読んで欲しいと考えるのであれば、分かり易さを持った文章にする必要があり、そうではないのであれば、このままご自身固有の世界を構築し続ければ、特定のファンを得る事は可能だと思います。
    特に文学作品を読み漁る人は、この手の描写を好むでしょうから、どれだけ手の掛かる作品を書いたとしても、理解すべく読み込んでくれるでしょう。

    「電気羊~」程度の作品であれば、もっとしっかりした感想を残せたと思いますが、今回は時間的制約もあり読解を断念しております。
    また次回同一作品で理解させるべく参加して頂ければと思います。

    作者からの返信

    >仮に多くの人に読んで欲しいと考えるのであれば、分かり易さを持った文章にする必要があり、そうではないのであれば、このままご自身固有の世界を構築し続ければ、特定のファンを得る事は可能だと思います。

    今ちょうど考えていること、揺らいでいる部分と重なるものがありました。私は後者を選ぼうと思っています。前者で戦えるような知識も技量も無く、目指すべきものは後者の先にあると感じているからです。その意味では文学作品を読まれる方が紐解いて下さる可能性があるということは救いの言葉でした。

    2回目を使って続きからというのは何だか主旨通りではないような気がしてしまいます。お言葉に甘えて次の機会をいただくとすれば長編ではなく、熱量を凝縮できた短編か中編を選びそうですが、300近い膨大な作品の中にあっても序章で引き込み最後まで連れて行くだけの何かを構築するとすれば、それが何であるのかを突き詰めてみようと思います。
    この度はお読みいただきありがとうございました。

  • 遅くなりまして申し訳ありません!やっと、本日完読させて頂きました……!

    個人的に好きなのはDanceBoxですが、仮想箱の個性を存分に生かした物語はMeteoriteBoxなんだろうなあ、と思います。
    どの仮想箱も、不思議な感覚に陥るのですが、仮想箱で「体験」したあとの、現実に戻る間際の「ふっ」とした寂しさ。これが、仮想箱の醍醐味なのではないかと、勝手ながら考えておりました。
    踊る人形しかり、ジェミーしかり、仮想箱のなかに取り残されているかのような存在が、仮想箱を覗く前とはなんとなく違う気がして。この世は一期一会といいますが、特にMeteoriteBoxは、繰り返していくことによる愛着が強くなっていきました。からの最後のジェミーの言葉が、ぐっと胸に刺さりました。

    素敵なお話をありがとうございました。また、完結お疲れ様でございました!

    作者からの返信

    (もう片方より前に下書きしておりましたが肝心の投稿が出来ておりませんでした)
    箱を出た後の物悲しさは描こうとしていたものの一つで、そこに着目するとDanceBoxは特別な別れ際を描けたのだと思います。もし別の誰かが訪れていたらその人はもう一度入って確かめたかもしれません。MeteoriteBoxは好きなものを好きなように書いたのですが、おっしゃる通り仮想箱の装置としての特性が上手く働いた世界となりました。登場人物たちもそれぞれが納得のいく選択ができたと思いますし、ジェミーも、あのお顔ですがきっと笑ってくれたはずです。

    たくさんの方の作品を読まれているようで、その中で分量の多い、しかも恐らく難解なこの作品を最後まで歩いていただいたことに頭が上がりません。
    説明書から続いて、仮想箱を手に取っていただき本当にありがとうございました。

  • 63_MeteoriteBox_22への応援コメント

    『あなたの完結作品、もう一度宣伝しませんか?(感想付き)』で企画主をしておりました、ソウイチです。
    このたびは本企画にご参加頂き、ありがとうございました。

    『完結作品専用書庫【おびよみ】(https://kakuyomu.jp/works/1177354054886408872)』に感想とキャッチコピーを掲載させて頂きましたので、ご報告します。

    掲載番号は「SF7」です。

    改めて、完結お疲れ様でした。
    この作品がより多くの方の目に留まるよう、祈っております。

    作者からの返信

    個人的に特別な意味を込めたエピソードを取り上げていただいたことに少々驚いております。目を通していただき、また素敵なご紹介をいただきありがとうございました。

  • 読み終わりました。

    世界の全てを把握する必要はないのだと思いますが、整理も兼ねて後ほど書くことは書かせていただきたいと思います。

    ありがとうございました。

    作者からの返信

    こちらこそありがとうございました。近況ノートにお礼のコメントを記載いたしました。

    編集済
  • 29_DanceBox_06への応援コメント

    動きをただの動きとしてとしての描写ではなく、情緒的にも個性的にも表現しようという想いが感じられます。

    素敵ですね。

    作者からの返信

    85番目の整理券かと思っていましたが嬉しいタイミングです。ここまでお読みいただき、良いところを拾っていただき、ありがとうございます。私もどうにかあれに抵抗した箇所でした。
    正座をして待つ心境です。ここから少し長くなりますが文字数はもとより物語の色による負荷が無いとは思えません。どうかご無理をなさらないよう。

    編集済

  • 編集済

    74_MeteoriteBox_33への応援コメント

    バルバロさんの自主企画(カクヨムWeb小説コンテスト“非”応募作品反省会『極小版』)から来ました。
    講評員1号ひるいです。(2号はおりません)
    僭越ながら企画趣旨に倣い、点数評価を付けさせて頂きました。

    ・作品のオリジナリティ:4
    ・キャラクター:3
    ・ストーリー:3
    ・世界観:4
    ・文章力:3

    カクヨムにもSFを書かれる方が何割かいらっしゃいますが、独特の鋭い視点を持った話で、惹かれると思うと、カクヨムでは、それがあまり読みつけないSFジャンルなことが多いです。

    その中でも群を抜いた視点を持つ方だと感じます。仮にSF脳というのがあれば、それなんですが、3次元であれ、いくつもの平行世界が舞台であれ、物語を進めるうえで、多層構造は全く苦にならないようだと見受けました。
    無意識の逆に、自然に、そうした感性や作業を装備しているとしか。
    通常運転でドライで客観性のある言葉を持ち、ありきたりな表現が使われることは、ほぼほぼありませんでした。
    (ありきたりな表現の方が伝わりそうなものも含めて)
    その稀有な感性は貴重だと思います。磨いて行ってほしいと願います。

    最初の箱が一番スリリングだったのではないでしょうか。何回読み返しても把握できず、あっちを読んだりこっちを読んだり、また冒頭に戻ってみたりしました。情報が少な過ぎてわかるわけがない!けれど計算と意図を感じる切り替えの連続に引き込まれます。
    個人的には、深層演算の中で、なぜ時間が機能を失うのか、が不明でした。ここに納得が行かないと、あとあと困る気がするのですが、理論に実感が持てないままなのです。

    講評に話を戻して。
    世界観、オリジナリティは文句のつけようがありません。読み終えた時どんな全容になるかはまだわからないので、4としました。

    3項目が3なのは同じ理由です。まだ伸びしろがあるということですが、なんとなく長編を書き慣れていない印象を持った為です。
    はじめの方、情報の少ない中で、冷静な主人公は大人っぽいイメージに感じました。途中でさらっとだいだいの年齢がわかり、意図的に隠してたんじゃないのかーいと思ったり、交流が起きると人間的な部分がどんどん出てきたり。
    作者も主人公も冷静で客観的な目線の持ち主のため、読み手は説明されてると思って乗っかっていたのですが、箱が進むにつれ、コレ普通に一人称なのだと気付きました。あるのは設定と多層構造の物語のディテールで、わりと主人公任せなのかな、と後半で認識を改めた次第です。
    客観性のある砂漠の箱での描き方から、主人公が能動的になって行くにつれ、物語のリズムが単調になっていくようです。
    状況は差し迫っているのに。不思議。

    どの人物にも、感情移入ができないのですが、描き方次第かなと思います。

    主人公は簡単に肩入れしますが、彼女にはそうするべき正義があるようで、それは読み手と共有していいような気がします。

    町内部の距離感が具体的であれば、主人公とともに、何分経ったのだろうと、考えたり、逆にもう時間が迫ってるのではと勝手に不安がることもできます。

    そうした細かな基本的な技術は、冒頭から展開された独特の切り口、タイトな構成には似つかわしくないかもしれません。

    今の時点では、
    読ませる力のある文体を持ち、何人に読まれても褪せない作りの世界観を構築しているだけに、それを展開する物語と牽引する人物と表現の甘さがアンバランスで勿体ないという感想です。

    kinomiさまのスタイルで、読み手に何を見せたいのか、見せたいものを魅せる方法を獲得されることを願っております。

    長くなりました。
    評価へお付き合い頂きありがとうございました。それでは〜。

    作者からの返信

    近況ノートにお礼のコメントを記載いたします

  • 70_MeteoriteBox_29への応援コメント

    あけましておめでとうございます。今年も更新を楽しみにしております。
    僭越ながら最新話のファンアートを描かせていただきましたので、そっとご報告に上がりました。内容に問題等ございましたら下げますので、お手数ですがご一報ください。
    【ファンアート】仮想箱 | 黒羽(すいほ) [pixiv] https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=66609794

    作者からの返信

    近況ノートにお礼のコメントを記載いたします

  • 69_MeteoriteBox_28_への応援コメント

    どうも初めまして、企画から参りましたバルバロと申します。
    つらつらと垂れる前に謝罪を一つ。
    私の8bit脳では貴著の多くを理解したとは言えません、またSFについての素養がないことも重ねてお詫び申し上げたいです。
    そういったことが影響してか、寸評がとっ散らかるかもしれません故、気分を害されたらぶん殴っていただきたいものです。


    点数評価:
    ・作品のオリジナリティ:4
    ・キャラクター:3
    ・ストーリー:2
    ・世界観:4
    ・文章力:4

    以下抽象的な言葉が続きます。

    端的に言って『関心』しました。加えて言うなら『為』になりました。自分がこういう作品に触れる切っ掛けを下さったことに、殆ど初めてに近い、数が極端に少ないジャンルが貴作であったことに心からの謝辞を。

    批評ではなく褒める以外を選ばなかった故に、言えることが少ないことをお許し下さい。後は点数からなにかを感じ取って頂けたなら幸いです。

    以上です、自分の至らなさ、力量の無さをこの場で嘆くことをお許し下さい。それでもなにかの足しになれるのであれば、これ以上無い喜びです。

    作者からの返信

    近況ノートにお礼のコメントを記載いたしました