第20話「だからなのよ」学校へは行かなくていい!?
4月27日
母親に育てられてないわたくしにとっては、目上の大人に反抗するということがとても勇気のいることで、実は反抗期がまだ来てない、というか今。
むかしは気にならなかった、祖母の「ふっ」という鼻で笑うしぐさが、気になる、し。
わたくしの椅子に荷物を積むのが、胸もやなのである。
今日も今日とて、自分の衣服をわたくしの椅子に置くので、母が、
「それは別のところに……」
と言うと、
「これは繕い物だからたい」
と言って譲らない。
わたくしの椅子は物置にされている。
祖母、何気にひどい。
傷ついたわたくしは、自分の部屋に帰って考えました。
そうして一つの結論に達しました。
嫌なものは嫌と言おう。
たとえ目上でも、言い方を気遣えばわかってくれるはずだ、と。
それで、キッチンに入って思い切って言いました。
「おばあちゃん、繕い物は終わった?」
「え?」
「繕い物は終わった?」
「え?」
これが四、五回繰り返されたのちに、母が、
「まだよ。かあさん、やるから」
と。
見れば、繕い物は裁縫箱と一緒にわたくしの椅子の上に、鎮座ましましている。
わたくしはそれをそっと持ちあげ、祖母に差し出して言った。
「ここ、繕い物置き場じゃないから。自分の椅子において?」
まあ、我が家に来たばかりで自分の椅子など、彼女にはないも同然だったが、家族として言いたいことは言わなきゃおかしいのだ。
わたくしは無事、自分の椅子を奪還した。
そして、椅子を自分の部屋に持って行った。
誰にももう、二度と貸さない。
あんな扱いされるくらいなら、そう思って当然だと思った。
こうしてわたくしの、小さな反抗期は穏やかに過ぎたのだった。
追記。なんだか祖母が、夕飯のとき無口だった。
ちょっと気になったけれど、思えば家にいたときからずっとだ。
祖母は無口な人だったかなあ?
人のおしゃべりに「ふふっ」と笑うだけの人だった気もするし……。
でも、わたくしの言動と関わりがあるとか、考えるのはよそうと思う。
☆☆☆
同日。
変幻自在のぐにゃぐにゃした世界について、友人と話し合った。
いじめである。
心理学の世界では大抵、いじめる側に問題があって、しかもいじめる子の親の方にカウンセリングが必要な場合があるそうな。
自分の子供をいじめる子供が許せないお母様。
加害者を憐れみながらも、なんの手立ても考じない傍観者のお母様。
友人は言います。
加害者の子を叱ったうえで、愛してあげれば、いじめはなくなるのでは、と。
正直、経験から言ってそれは可能なのだけど、今の親御さんは非常に個人的な情報を流しすぎてて威厳もない。
ツイッターで愚痴ったり、自分の方が上目線でいじめを語る被害者に、そんなことができるだろうか? という疑問。
みんな、自分の子供を守りたい。
ひいては自分も守りたい。
良かれと思って被害者に声をかけると、とんでもないしっぺ返しが待っていたと友人は語る。
いきさつを話すと、
「ブロックは嫌です、お別れはミュートで」
というツイートを引用ツイートしたら、
「傷つきました」
とイキナリ! リプライしてきたそうで、そんなの放っておけばいいのに、友人は、どうしてそうなったのかをつきつめようとしたらしい。
そうしたら、ろくに返事もしないで、友人のツイートをRT、いいね! した上でブロックしてきたそうです。
確認したら、友人が反論できないようにブロックしたうえで、
「また叩かれた」
って、被害者ぶってた。
そんなのおかしい。
友人が傷つくことを書いて、絡んできて、
「どういうことか、語ってほしい」
と友人は歩み寄ったのに、それが全部悪口に聞こえるらしくて、ブロックは嫌いと言っていたその人は友人をブロックして彼女を傷つけました。
こういうのはたちが悪いと思います。
「わたしは信念もってやってます。あなたが信念もない臆病者なら、わたしは、蚊がとんでるなあ、で済ませます」
って友人はツイートしたけど、その人、
「またtwitterで叩かれた。わたしは信念もない蚊なんだってさ」
とモラハラじみた、いじけた発言をしてました。
それって、自分は信念もない臆病者ですって公表しているようなもので、
その人自身のためにならないと思うんです。
文句を言うだけの根性があるなら、返事くらいはしたらいいのに……。
ちょっとあきれました。
☆☆☆
わたくしは小学生の時に、同じくらい貧しいおうちの女の子が、父親から手ひどい扱いを受けている、と言うので、
「ここは暖かいもてなしをしよう」
と、父に頼んで中華街でコースを頼んでもらった。
「気取ってる」
と、友人はトイレの真鍮の椅子に腰かけて吐き捨てました。
あと、わたくしの父が病院から戻ってきたとき。
「老けてる」
と観察して言いました。
わたくしが、それを父に言ったら、怒り、
「そんなことを言うなら、あんたとはつき合わない、と言いなさい!」
父は命じたので、反対のことをしました。
その子は中学生になって、いろいろな人にいやがらせをしたので嫌われました。あたりまえのようにいじめにあったので、つき合いがあるのはわたくしのみとなりました。
交換ノートにも、いびつなイラストのみになり、それがどんどん、ちっちゃくなっていく。普段の生活は変わらず、わたくしのスニーカーがゴミ箱に投じられていたときも、一緒に探して見つけ出してくれたけれど。そのうち不登校になって、年賀状も返ってこなくなりました。
委員会を『家族会議』という理由でさぼっていたのを目撃してしまったわたくしには、彼女の変化は思わしくないように見えました。
彼女は父親に、
「学校なんかに行かなくていい」
と、命じられたそうです。こういう高圧的なところが、うちと同じで、だから友達になったんだなと思いました。
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