第17話「大避難」6万人…!?
4月24日。
24日、祖母はよく眠れたと言っていたが、昼間もじもじしだすので、
「退屈なの?」
と聞いたら、ソーラー電池で動く首ふり人形を机に置いて、同じにしているんだと言う。
なんのこっちゃと思い、TVをつけると、ソファが遠かったらしくて、近くまで行って画面を見てる。
二人掛けのソファをTVのところまで持って行ったところ、腰かけながら、身を乗り出すように画面に見入っている。
NHKはずっとニュース速報で熊本の震災の情報を流していた。
初め、楽しい番組でもやっていたかなと思っていたら、
「六万人避難だと」
と漏らした。
そして、電車運行止まり、高速運航停止、と読み上げていく。
うん、祖母の実家は避難勧告が出されてはいるが、交通網がめちゃくちゃで、九州からは出られないんだな、と思う。
伯母さんに祖母の無事を伝えて、電話越しに話してもらうと、伯母さんは北の温泉に行って、無料の旅館に泊まってくるそうな。
避難所では苦労なさっただろうし、それは精神衛生上とてもいいと思う。
ツイッターを見たら、熊本市の中央にある小学校体育館で、個室が六十個できた、作られたとあった。
ちょうどTVでもニュースが流れたのだが、二度目に同じ画像を見た時、ふと、
「平安貴族みたい」
と言ってしまった。
広い空間を布などで仕切ってプライバシーを守る、というのが、屏風で部屋を作っていた宮廷人を思い出させたのだ。
アイデアの根底に、あったのかもしれない。
エコノミー症候群改善に、テントがずらずらと並べて張ってらして、子供たちのほっとした笑顔が印象に残った。
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