act.XX エピローグ
「また例の件で依頼がきておりますが」
腹心ミステールの報告に、ラファルが嫌悪感を露にする。
「くどい。断れと言っただろう。不実な挙式を守るつもりなど毛頭ない」
「はあ……」
困り果てたミステールに、ラファルはため息混じりの苦言を呈した。
「共有掲示板にでも放り込んでおけ。どこぞの物好きなグランチャーどもが勝手に見つけるだろう」
「……」
「社長、準備が整いました」
部下からの報告に、ラファルの表情が一変する。
心からの笑みを構築し、ラファルは本日の主役である花嫁へと近づいて行った。
「あなたは幸せですか」
その問いかけに、花嫁はにっこり笑って頷くのだった。
ラファルもそれ以上の笑顔を差し向ける。
「そうですか。今日というこの日を最高のセレモニーにしましょう」
その時だった。
突然ステンドグラスを割り、巨大な傘を背負ったグランチャーが侵入してきたのである。
「ファントムだ。ファントムが出たぞ!」
ちっと舌打ちし、ラファルが振り返る。
毅然たる態度でラファルはファントムと向かい合った。
「性懲りもなくまた現れたか、ファントム。いい加減に諦めたらどうだ」
すると純白のタキシードに紺碧色のコートを羽織り、大きな赤い蝶ネクタイと偏光グラスをかけたファントムは、ちっちっちと指を振ってみせた。
「ファントムではない。私の名は、スーパー・ファントム。またの名を怪盗ダブリュー・エックス・ワーイ!」にやりと笑った。「花嫁泥棒である!」
了
怪盗ウエディングX @dirtytom
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