第17話その後

 友香が塾講師になって二ヶ月ほど経ち、生徒は徐々に友香に打ち明けるようになった。

 また友香の対人、会食恐怖症は見違えるほど改善された。

 発病して以来、一体どれほどの時間が経っただろうか。

 二度切った髪は肩まで伸び、風になびいている。

 この日、友香は美容室へ行くことになっている。もちろん、髪を切るためだ。

 これまでは、髪が伸びた分だけ病気と戦ってきた。

 けれど心身ともに逞しくなった今、友香にはもう戦いの証は要らない。

 十分戦った。その記憶だけで良い。

 空を見上げると雲一つない深い青の世界だった。

 この世界には、友香の味方が存在する。

 友香は偶然飛行機を見付けた。自分とは別の道を歩む太田や原尾、遠くはI県に住む森本に届くよう、飛行機雲にメッセージを託した。


 私、生きています。

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