第18話あとがき

 皆さま、はじめまして。加藤ゆうきです。

 この度は本作品にお目を通してくださり、心から感謝しております。

 今回はノンフィクションがテーマであるので、認知度の低いうつ病、不眠症を取り上げました。

 結論から申し上げますと、上記の病気は接し方、治療法さえ間違わなければ必ず治るものです。もちろん治療期間に個人差はありますが、焦っては逆効果です。

 また、あらすじにも記載しましたけれど、ストレスの多い昨今では、誰が発病してもまったく不思議ではありません。よって、仮に発病したとしても、周囲に隠す必要がありません。むしろ、発病するまで頑張った証だと思っても良いでしょう。もちろん病気のない世界がベストですが。

 さて、病気のことをご存じになったところで、皆さまにお願いがございます。

 もし身近に精神疾患を患ってしまった方がいらっしゃれば、決して焦らせないでください。患者さんは混乱するだけですから。また、治療は長期だと思ってください。そして「頑張って」という言葉は、健康な方にとっては励みになることが多いでしょうが、患者さんにとってはタブーですので避けてください。

 今回のノンフィクションでは、患者の主人公にかかった時間は約一年でしたが、原因となったパワーハラスメントを含めて、あくまでも一例です。また、病気を受け入れての雇用も滅多にないことでしょう。

 次に事業主さまへお願いです。もしご自分の部下に発病の疑いがある場合、決して見捨てないでください。「治るまで待っているよ」その一言だけで部下の方が救われる場合もあり得ます。そして発病の原因を徹底的に調査し改善に努めてください。原因の多くは職場の人間関係だと言われています。常にチェックしてください。そうでなければ従業員の誰もが発病してしまいます。そのような事態に陥ったとき、困るのはあなたさまだと思います。

 今回の作品で何かの参考になれば幸いです。

 次に、患者さまにお願いです。生きてください。苦しくても、苦しくても、ただひたすら生きてください。そうすればいつか完治する日がやって来るでしょう。今お辛いのは、執筆させていただいた私が分かっています。少なくとも、私は皆さまの味方です。味方は、あなたさまの回復を願っています。ご家族に中々ご理解いただけないとおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。その方たちはおそらく混乱していらっしゃるのです。あなたさまを拒絶していらっしゃるわけではないはずです。ご家族の混乱を防ぐためには、まず知識を取り入れましょう。誰かが発病してからでは慌てるばかりで遅いのです。

 最後になりましたけれど、今回の執筆において私個人の感想を申し上げます。

 正直、初めてうつ病、不眠症に触れたとき私自身も混乱しました。

 まさかこの病気がこれほど身近に存在しているとは思わなかったからです。

 少しでも病気を理解した上での執筆においても、やはりさまざまな感情が混み上がってまいりました。

 主人公に感情移入しては実際に胸が苦しみました。これがもし自分だったら……と思うと鳥肌が立ちました。眠れない。人間が怖い。その気持ちが強いばかりに人前で食事が摂ることが難しい。また飲食店に入ることもできない。眠ろうとすれば悪夢にうなされる。起きていてはフラッシュバックに襲われる。無自覚な雄叫びもある。これらはすべて大変なことです。また、パワーハラスメントにおいても暴言に耐えることはできなかったでしょう。主人公はおそらく辛抱強い性格だったのでしょう。だからこそ発病し、病気と戦った。これは私にできるか、と聞かれたら簡単にはお答えできないでしょう。けれど病気になったら戦わねばならないでしょう。病気の原因を作った人間は決して患者を助けることなどないのだから。そのときが来ないようただ願い、普段よりポジティブ思考訓練をそようと思わせられました。

 次に主人公の母親の気持ちになりました。大事な一人娘なだけあって、ショックは大きかったでしょう。もちろん二人以上のお子さまがいらっしゃるご家庭でもショックを受けることでしょう。ご家族にとっては患者さんのお世話は精神的負担が大きいです。突然のできごとに混乱することも多いはずです。もし私が母親であれば、患者さん同様精神的に苦しんだでしょう。けれど私が主人公の母親に感心したのは、混乱しつつも知識がなくとも、決して娘を見捨てなかったことです。これは患者さんにとって大きなことです。口にしなくとも、感謝していることでしょう。

 また、主人公の味方である職場の先輩の立場に立ってみましょう。おそらく大きな壁から守りきれなかったことを後悔するでしょう。彼らもまた主人公同様己を責めることでしょう。患者さんに対して頭が上がらないことでしょう。けれど第三者から見ると、患者さんは自分の味方でいてくれることに感謝すると思います。味方を責めることは滅多にないでしょう。

 そのような思いで執筆させていただきましたけれど、一つだけ私にも不可解な点がございます。それは登場した役職者の思惑です。一体何を考えて解雇まで陥れたのか、私には検討もつきません。

 長々としたあとがきになりましたけれど、読者の皆さま、最後までお読みいただき、重ねてお礼申し上げます。 

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