お題:Re:magnet

 誰かは、恋を磁石に例えていた。

別の誰かが、友情を磁力に例えていた。

ある人は、確か絆を。

またある人は、別れすら。


 思うに、人の関係は磁石に似ている。あ、これは私の持論だけれど。

通りすがっただけで引っ付くほど、強力な相性だってあるんだろうし、あるいは無差別に巻き込むような魅力のある人だっている。

 合わなければ、反発する。磁石もそうだし、人間だってそう。長くくっついていたのに、ある日突然極が変わって……。


 そう、そうなのだ。今屋上でぼんやり夕日を眺めている涙目の女子高生わたしだって、誰かといつか引き合うのだ。できれば、今ここで地面に惹かれるのはやめてほしいけど、いつか――。

















Re:magnet ~再び引き合うキミのウタ~

















「うっそ、ありえなくない? え、チョーいい感じだったのにー」


 目の前で、私以上に目を丸々とさせて、私以上に前かがみで話に食い入ってくれているのは、古くからの友人。小中高と同じ時間を過ごした、ある意味別れた彼よりも愉快な存在。ただ――。


「で、どこまで行ったんだっけ。行くとこまでいったなら、ゲスだよねー」


――言葉に遠慮が、ない。卑猥なハンドサインを付けて、にやにやと笑う彼女。

そんな彼女に、私はただ、今回の"磁石きずな"がいかに終わりを告げたのか……終わってしまったのか、話すことしかできなかった。

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ちょっと一息短編集 たり @euth

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