お題:芽吹き
なんというか、最初は全然そんな気持ちなんかなかったのだ。言うなれば、弟みたいな存在だったし、時々甘えたようにしてくる態度もかわいいものだったし、なんというか……違う、そう、勘違いして囃し立ててきた外野共!
「どうしたの?」
パニック寸前まで沸騰した頭をクールダウンさせようと立ち止まるアタシに、いつものように声をかけてくれる彼。そう、弟分……サークルの後輩で、甘えん坊で、女の子みたいに表情豊かな子。
「なんでもないよ、大丈夫」
そういって笑顔を浮かべるが、致命的。声は上ずってしまっていた。
「そう? 疲れたら言ってね?」
そんなやさしさと同時に、いつもするようにポンポンと頭を撫でる彼。
ああ、やめて、今だけは……。
にぎやかな往来の音も聞こえなくなるくらい、心臓がうるさい。
ともかく、叫びだしたい衝動をぐっと飲みこんで、アタシは何気ない風を装うしかないのだった――。
……この気持ちに恋だなんてレッテル貼り付けやがって!
上手くいかなくなったら外野共、お前らのせいだからな!
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