お題:めしたりぬ(たりさんの食べ物エッセイ)
せっかくなので「いい感じの」店の紹介でもしようかと思ったのだけれど、このタイトルの印象から私は「普段食ってるものとか書けばいいんじゃないか」などと思うに至った。
残念ながら、私は一人暮らしではない。気ままに食べようと思ったときに食べられる生活はもう失ってしまった。家で食べる食事以外に「めし」と呼べるものを、実はここ数か月口にできていないのではないだろうか。ちょっと思いを馳せてみることにする…………こうやって蛇足を付け足しつけたし、文章が蛇の道のようになるのは学生時代からの悪癖だ。強いて言わせていただけるのであれば、レポートに文字数を設定する学校教育の成果のたまものといえるだろう。要約すれば300字あれば事足りる内容を、2000字などで書かなければいけない。乳酸飲料の原液を薄めるように、引き伸ばし引き延ばししたものが評価されるのではないだろうか。筋道立てて説明するのが苦手なだけだからそう思うのかもしれない。
さて、話を戻そう(この言葉はとても便利なもので、言うなれば今までの流れをなかったことにしつつ話をいかにも進めているという雰囲気が味わえるので好きだ)。
「めし」らしい食事を食べたのはいつだろうと考えるに、およそ一ヵ月前に時間を持て余した時があった。そういう時に限って懐事情が良く、ついつい散在してしまうのが悪い癖で……悪い癖を数え始めればキリがないため、割愛させていただくとするが……今回その悪癖の矛先は、家から車で20分ほどの道沿いにある店に向けられた。
店の名前を出すのは忍びないため「A」とでもさせていただこう。その店は私が子供の時には既に存在していた。何度も通った道で、気にはなっていたのだがついぞ入る機会のないままにこの年になってしまった。そもそも、食事処であるということしか前情報がないままではあったが、一ヵ月前は……それこそ剥き出しのナイフ(笑)のような心情であったため、ぷらっと立ち寄ってみた次第だ。
さて、この「A」はモダン焼きが売りらしい。入口に並んだメニューの多くはモダン焼きであり、料金を追加してサラダやサイドメニューをつけるシステムになっているようだ。店内は薄暗く、しかし外装から想像するほど悪くなく。左手には喫煙席が設けられており、右手の禁煙席らしい座席と座敷には、昼時ということもあってまばらながら家族連れなどが腰かけていた――。
たりさんの"めしたりぬ"は不定期連載です。メルマガに登録して更新通知を受け取ろう!(よくあるブログの下部みたいなので〆
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