虫が知らせる
『虫が知らせる』とは、嫌なことが起こりそうな予感をなんとなく感じること。胸騒ぎなどがして悪い予感がすることです。
どちらかというと直感で生きているほうなので、対人関係で「なんだかこの人、いいものを背負ってない」とか「周囲の人を引きずり下ろして巻き込むタイプかな?」と『虫が知らせる』ことがあります。そして大体当たるんです。
けれど、それ以外で、しかも人生で初めて「あれは虫の知らせだったのか」と思えたのは、祖父との別れでした。
母の父である祖父は交番勤務のおまわりさんでした。背筋のまっすぐ伸びた、鼻の高い人で、浅黒い肌をしていました。私は幼い頃から彼が大好きでした。
私が13歳のとき、山形から北海道に引っ越すことになり、空港まで祖父が車で母と私と弟、妹を送ってくれました。
祖父の軽自動車の窓から空港が見えたとき、初めて胸騒ぎを覚えたのです。そわそわして、胸がきゅうっと狭くなるようでした。そしてふっと「祖父と会うのはこれが最後だろう」と急に確信したのです。
それは空港に行ったから、引っ越すから、という状況を抜きにして、頭の中にぽんと予言めいたものが降りてきた瞬間でした。
実際、彼とはそれっきり会うこともなく、再会したのはお葬式での棺越しとなりました。
それ以来、私はいわゆる『直感』というものを馬鹿にしないようにしています。
よく『女の直感』って言葉がありますが、それも含めてピンとくるものって馬鹿にならない。本当に。ただし、男性の浮気に勘づくときは『虫が知らせる』というよりは、違和感がもたらす直感が多いと思っていますがね。
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