妊娠祈願

「あそこの神社、お参りすると必ず子宝に恵まれるんですって」

「へぇ、そうなんですか。でもまだ私には必要ないわ。」

ある日の昼下がりの喫茶店、若い婦人が二人、そんな話をしていた。

どうやら話題の神社の話のようだ。

「私、行ってみようかしら。結婚してまだ二年だけど、姑がうるさいのよ。」

「それは大変ね。いい結果になるといいわね。

彼女はその神社へ向かうことにした。

噂にのぼるその神社は話題になっている割には人が少ない。

神聖な場所は荒らしてはならないと無意識のうちに冷やかしは来なくなっているのだろうか?

神社には不思議な貼り紙があった。

「お礼参りは不用です」

なるほど、これが人が少ない理由かもしれない。

他は一般的な神社とそう変わらない。

彼女はお参りを済ませ、そのまま帰路についた。

数日もしないうちに彼女の妊娠が発覚した。

これも神社のご利益だろうと、彼女は喜んだ。

ネットでの口コミも良く、評判は瞬く間に広がったが、何故かやはり、人が大挙して押し寄せるようなことはなかった。


「うまくいっているようですな。しかし、こんな罰当たりな商売して大丈夫なんですかね?それに万が一流産なんかした時も心配だ。」

「心配することはないですよ。あくまでここが保証するのは妊娠のみ、神社にクレームだなんて罰当たりな事、神頼みをする人にはいないでしょう。そもそも、神なんて所詮、空想の産物です。人が作ったものを人が利用して何が悪いんですかね。」

「そんなもんなのかね。しかし妊娠してる人間だけが来たくなる電波を飛ばして呼びかけるなんて、よく思いつきましたね。」

「脳が検知できるのはこのくらいかなと思ったんですよ。しっかし、次はどうしましょう。ネタがありません。」

「はは。そりゃ参った。それではこんなのはどうでしょう…」

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暴走元素19番 南高梅 @love_scarlet_2323

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