第21章 泣き声の聞き分け
お腹すいている時、おむつが濡れている時、求めるものに応じてそれぞれで泣き方が違うというのを昔テレビで見てから、実際に聞き分けられるのかぜひ挑戦してみたいと思っていた私。子供が生まれてさっそく観察を開始した。
生後0ヵ月。「ふふふ、ふふふ、ふーあっふーあっ」「ぁあーぁ、ぁあーぁ、(あーーーー※声にならない)」
何を求めているのか分からない。違いもよく分からない。始めに笑っているかのような助走が入る。高まってくると声にならない声をあげる。どんな泣き方をしていようが乳を含ませたら吸う。
ただ延々泣き続けることが可能。入院中あまりにも泣き続けるので、この子泣きすぎて死ぬのでは?と恐怖を覚えたほど(助産師さんによると「一晩中朝が来るまで泣き続ける子もいるし死なないんで大丈夫です」とのこと)。
おむつかぶれのせいか、うんちした時のおむつ替えの時に虐待を疑われるほどの渾身の泣き声をあげ、さらに息を吸うのを忘れて赤黒くなることあり。
生後1ヶ月。「うあーあ、うあーあ、ふうあーあ」「あーあ、あーあ、(くあー※あくび)ぁあーあ」
ちゃんと声が出るようになり、大泣きすると涙が出る。息継ぎも覚え、赤黒くなることが減る。どうやら最近のオムツは性能が良いのか、濡れても泣かないことが判明。しかしおむつかぶれされたら困るので、濡れたら色が変わるお知らせラインを目視確認して交換。
とにかくあくびをよくするので、ぐずって泣いている時も途中であくびを挟んだりする。あくびの終わりから上手に次の泣き声に繋げる。
生後2ヶ月。「あ!あ!あ!ああぁああーーー、ぁあああああ、あーあーぁああああああ」
一つの泣き声に色々な高さを織り込むようになる。ようやく泣き方の違いが分かってくる。お腹がすいている時は、泣きはじめが「んあー」と口が狭い状態から始まり、あやしても激しくなる一方で涙が出てくる。単に機嫌が悪い時は、泣きはじめが「あー」で、いきなり大口開けた状態でハッキリ発声する。涙は出ない。たまに「あキャー!」と一際高い声で泣くことがある。
2ヶ月後半になると、ぐずる時は泣きだす前に鼻の下に力を入れて口をひん曲げて、「うー」と堪えるような顔をする。また、機嫌が悪くて泣きわめいている時は、どんなに頑張っても絶対にこちらと目を合わせようとしない(追いかけても巧みに顔をそらす)。
泣く前には「スンフースンフー」荒い鼻息をし、それが短く激しくなって泣きに繋がる。
生後3ヶ月。「ふあーーーあぁ…ひあ―――…あああ、あああ、ふあああ」「んーあ!んーあ!んぁあああああああああぁぁ」「あいあいあいあい」
ひあーと弱々しい声をあげてこちらの情に訴えかける「気の毒そうな泣き方」を習得する。眠いのに眠れない時などに発動。
また、機嫌の悪さが怒りに変わった時には、力強い泣き始め「んーあ!」という短音を繰り返したのち、「あ」を山形に繋げた音程で声を張り上げる。
3ヶ月後半は手を盛んにしゃぶるようになったので、不機嫌な時は手を口に突っ込んだまま「あいあい」文句を言うような泣き方をする。
生後4ヵ月。「ぁぁぁぁ…」「ひーーひーー」「ひーーん!」「あああぁ…あーぁ♪うーぅ♪」
寝起きに不憫そうな弱々しい泣き方をする。予防接種後に腕が腫れた時には、痛いのかいつもより高めの音でひーひ―泣いた。
この頃から眠ったはずが眠りが浅くなる時があるのか、たまに「ひーん!」と悲しげな寝言を一声あげることがしばしばあった(見に行ったら寝ている)。
色々なものに興味が出てきたため、泣いていても音の出る歌絵本を鳴らしてやると、いったん泣くのをやめて歌に合わせて声を上げるようになる(空腹のため泣いている時は決して泣き止まず、むしろ激しくなる)。
生後5か月。「あひゃ!あひゃ!あひゃ!ああーーーーーーーーーー!!!」
動きが激しくなってきたため、たまに頭をぶつけたり痛い目に合うと、特徴的な短音を発した後、力強い長音で泣く。この場合痛みがなくなるとケロリとするので、比較的短時間で泣くのをやめる。
以上、生後半年までの泣き方の遍歴である。たった半年でこんなに泣き方を変化させ、これだけのバリエーションを出せるようになるとは、赤ん坊の進化というものは想像以上だった。これからもっと激しく大きく感情豊かに泣くようになると思うと、楽しみなような恐ろしいような複雑な気分であるが、その時々の成長を見守っていこうと思う。
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