吸血鬼にはご用心

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第1話

今宵、君の血をいただこう。


俺は、吸血鬼。でも血がなくても生きていける。

学校にも通っている。


トマトジュースはかかせない。

毎日飲まないと命に関わる。


変な吸血鬼といえば変だが、俺にとってはそれが普通。



誰も俺を吸血鬼とは疑わない。


けど、たまには人間の血もいただきたくなる。


そう、綺麗な女を見た時なんかは。

ふわふわのロングウェーブの髪型の女。


俺の横を通り過ぎた。

思わずゴクリと唾を飲む。

いい香りがした。


決めた今夜は君の血をいただこう。

大丈夫死にはしない。

少し血をいただくだけ。

献血したと思えばいい。



月が照らしだすビルの屋上に立つ。

夜中の2時。


バサッと黒い翼を広げる。

普段は、もちろん翼は、消している。



月に向かって飛び立つ。

獲物にめがけて一直線。


マンションのベランダにゆっくりと降り立つ。


パチンと指を鳴らすと窓の鍵が開く。


吸血鬼なのに便利な能力も備わっている。


 よく眠っているようだ。

ニヤリと不適に笑い、部屋の中に入っていく。


不法侵入にも関わらず

「お邪魔します。」と小声で言ってしまう。


部屋の中は、綺麗に片づけてられている。とても清潔感あふれる部屋だ。


ベッドに眠っている女の人を見て、何故だか愛しく思ってしまう。


それでは、遠慮なく

「いただきます。」

優しく口づけをするように首筋に近づく。


「うっ…。」

思わず飛び退く。

こ、こいつ…。


俺は、獲物を恨めしそうに見て、窓から飛び出した。


俺は、女の血をいただく事が出来なかった。


何故なら、女の口から大の苦手なにんにくの臭いがしたのだ。


俺は、悲しい気持ちで大空に飛び立つ。


綺麗な女の人でもにんにくを食べるようだ。


今日の晩飯は、餃子か?にんにく入りのラーメンか?

だーっっ!そんな事どうでもいい!



俺は、吸血鬼。

普通の人間とたいした変わらない生活を送れる。

だが、にんにくは大の苦手。そこはやっぱり吸血鬼。




トマトジュースを買って我慢しよう。

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