第2話 プロローグ(2)
「....っと」
トラックが減速し、止まった。
「どうした嬢ちゃん」
ハンドルから手を離し、あれと指さす方向には男が一人道路の真ん中にうつ伏せに倒れていた。
「おいおい、お昼寝にゃまだ早えぞ。それともひき肉にされてえのかね」
「そんな訳ないでしょ。ほら行くよ」
「へいへい」
トラックから降りて倒れた男の元へ行く。
「あの...大丈夫ですか?」
返事がない。
「唯のシカバネのようだ」
「茶化さないの!」
「へーいへい....っと!」
返事をすると同時に、倒れていた男は蹴りとばされ壁に叩きつけられる。
「ちょっとおじさん!急に何をっ」
壁に叩きつけ付けられ男は泡を吹いて気を失っていた。
「よっと!」
無精髭の男が彼女を突き飛ばす。
そして、彼女の立っていた場所のアスファルトが弾け同時に銃声が響く。
「...流石ね。おじさん。南第二区軍警実行第一部隊長リン・カーターの腕は落ちてないようね」
尻餅をつきつつ感嘆の声をもらした。
「やめい。それは三年前までのハナシだ。....おっと」
リン・カーターと呼ばれた男が上体を右に反らす。
銃声が響き、彼の鳶色の軍服を掠め、足元のアスファルトに穴を空けた。
「ふん。三人かな....おい!出てこいよ!相手してやるよ!」
言われた通り三人の男、賊が現れた。
一人は建物と建物の間から。もう一人は近くのテナントの中から。もう一人は屋根から飛び降て来た。
「....チッ。大人しく荷台のものを渡せば危害は加えねえ」
フードを被ったリーダーらしき男が言う。
「うへぇ。囮の奴を蹴飛ばされて、銃弾もよけられた相手にそれ言えるんだ。なかなか負けん気あるじゃねえか。嫌いじゃねえぜ。そういうの」
「...あの世で後悔しな。殺るぞ!」
「「おおっ!」」
三人がそれぞれ銃を捨て、ナイフや鉄パイプを構える。接近戦を考えての事だろう。銃弾を避ける相手には妥当だろう。頭が回り、なかなかこなれている。
「おじさん。どうする?」
「まあ、上への報告が少し面倒になるが仕方ねえか」
ふう。とため息をつき。
「南第二区軍警荷物配達部隊総員!武器使用を許可する!」
「そんな部隊聞いたいことないけど...了解!」
彼女は腰の小太刀に手をかけ――
「まあ、こんなもんだろ」
足元には三人の男が転がっていた。
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