第60話説得(内容改稿するかもしれません)

プラナリア・ユーズヘルム。


アリレムラ・ユーズヘルムの第3子に相当し、革命軍の実質的な司令官である少女。


その少女は、勇者二人が残った会議室でその言葉を唐突に口にした。


「……あ?」


その予想外の彼女の言葉に鎌瀬山は拍子の抜けた表情をしてマヌケそうな声を漏らした。


「ですから、私が次期皇帝になるための作戦です」


「別に聞き取れなかったわけじゃねぇよ。ただ、なんだ……、革命が成功して次期皇帝になんのはさっきのアリレムラじゃねぇのかよ」


鎌瀬山らしく、一州の長でさえもその肉親の前で呼び捨てにする。

彼らしいといってしまえば彼らしい。


「えぇ。ですから、父ではなく私が皇帝になるために貴方方に協力してもらわなければなりません」


「話が全く見えねえんだが……タロウ、また厄介ごとに巻き込む気だなてめぇ」


ため息をつきながら鎌瀬山の視線は僕へと向かう。

全く心外な話だ。

何か変なことが起きれば僕のせいにするなんて……。


「まぁ、落ち着いてよ鎌瀬山。彼女が次期皇帝になってくれれば僕たちの益になるんだし」


それに。と言葉を続ける。


「彼女が次期皇帝にならなければ英雄王達がどうなるかわからないよ」


「__それは、どういうことだ?」


「君は公国での戦況がどうなっているか知っているかい?」


「まあ、ぼちぼち順調だって話だな」


「その話は何処で聞いたの?」


「あー? それは町で聞いたに決まってんだろ。あんだけ噂になってりゃ、嫌でも耳に入ってくるわ」


「そうだろうね。勝っていると言う噂、僕も何度も聞いたよ。でもさ、その噂だけが不自然に町で流れている。とは思わなかった?」



「……あんまそんなことに気にする余裕はなかったな」



「まあ、鎌瀬山は追われていたからしょうがないね。でも外に出歩けば君も気づくはずだよ。中身も何もない勝利という言葉だけが一人歩きしている事実をね。不思議だよね」


公国襲撃の知らせを受けて討伐に向かった英雄王、蜜柑、幼女の三人。

彼らが此方から公国に飛んでからもうかなりの日数が経つにも関わらず、鎌瀬山の耳には情報が全く入って来てなかった。

只只、中身の無い勝利という言葉だけが帝国国民の口から発せられていた。

鎌瀬山自身、それが少し可笑しいように心の奥底では感じ取っていた。

しかし、そんな事に気を回すほどの余裕が最近まで無かったのもしかり、研究所の一見から逃亡者として逃げていたから自分の耳に入らないのも当然かと鎌瀬山は考えていた。


しかし。それは違った。

現在、公国に関する情報は各国の首脳陣以外。

全て秘匿されていたのだ。


鎌瀬山も太郎がそこまで言えば、何が言いたいのか分かる。


「……詳しく聞かせろ」


以前の鎌瀬山ならもっと動揺し、騒いでいただろうに、落ち着いた様子で太郎に話を促す。

その様子に太郎は鎌瀬山の成長具合を実感する。

やはり、この短い間でだいぶ成長したみたいだね。

太郎はその事を嬉しく思いながら、プラナリアの方に向く。


「ああ、勿論。プラナリア、少し時間をくれる?」


「構わないですよ」


「それではまず、今の状況を伝えようか。公国における最終防衛ラインである『ナマクリム城塞』。そこで魔王グラハラム軍と公国軍は膠着状態だそうだ。英雄王、蜜柑が前線で指揮にあたり、続々と集まりつつある高ランク冒険者や派遣された騎士達も戦前に加わっているらしいけど、被害は酷く、終始防戦のようだね」


ナマクリム城塞による防衛線。

勇者二人による支援が無いと瞬く間に前線は崩壊してしまう程、現状の公国側の戦力は苦しい。


「帝国のいけ好かない勇者は何してんだ?」


「ああ彼かい? 彼は、行方不明だ。いや、行方を眩ましたという方が正しいかな」


「は?なんだそりゃ……英雄王と蜜柑ちゃんが頑張ってるってのにか?」


「あぁ。でもまあ、闘いが怖くて逃げるような性格でもないし、彼なりの考えがあったんだろうねきっと。そもそも、初戦で彼が居なかったら勇者含め壊滅していただろうって言われているくらい戦功を挙げたみたいだし、今も裏で何かしてたりするんじゃない?」


「ち、どうだかな。案外ビビって逃げたんじゃねえか?」



「まあ、今まで勇者として対等な力を持つものがいなかったから今回の戦いで臆したというのも考えられないことじゃないね。英雄王は幹部と戦闘を行ったそうだが討伐報告はないから引き分けだと思われるし、蜜柑に至っては殺されそうなところを不動に拾われてナマクリム城塞に合流したっていうんだ。魔族の幹部クラスは勇者と同等の力を持つということだし激しい殺し合いだっただろうからね」


「正義が幹部と引き分けかよ……っておいまてよ。合流ってのはどういうことだ?転移された先はナマクリム城塞って話じゃ……もしかして、戦闘中は単独行動にしてたって事か?」



「違うよ。どうやら転移陣を弄られてたらしくてね。公国に転移された勇者はそれぞれバラバラに幹部クラスが待つ場所に飛ばされたみたいだよ」


「っ! なんだよそれ……んな話全く聞いてねぇぞ」


「まあ、当然だよ。転移陣が弄られていたなんてそんなことが知られたら民の混乱は避けられないからね。諸国間のトップだけの機密情報入りだよ」


公国への転移は同時に敵の腹の真ん中へと転移される罠へと化していた。

そのせいで勇者は散り散りにされて、幹部と戦闘させられる羽目になった。


魔王グラハラム。

彼は魔王の中でも比較的新しく即位した魔王だ。

そして、ここ数年領土拡大に力を入れている人物だ。

狙いは新しく召喚された勇者の始末という線が妥当な所だろう。

しかし、それだと疑問点が残るのだ。


勇者が向かってからの初戦の結果は、魔王軍は幹部を一人失う形となったが、一人の勇者と引き分け、一人の勇者を邪魔が入り始末は出来なかったものの打倒する形に収束した。


そして__。



「おいタロウ、後方支援で前線に出てねぇから言わねえのかわかんねぇが」


どうやら鎌瀬山は気付いたようだ。

僕が意図的に出すことの無かった彼女の名前を、最後の王国勇者の名前を。


そうだ。

今回の公国遠征において、公国側は。



「幼女は今どこにいるんだ?」


「幼女は蜜柑と共に幹部クラスと交戦中に現れたグラハラムと戦闘後、敗北。結果、魔王グラハラムによって連れ去られたよ」




勇者投入と同時に、一人の勇者を失っていた。



――――――――――――――――――――――――――――――――


僕の言葉を聞くと同時に鎌瀬山は立ち上がり、扉へと向けて歩き出した。


「何処に行く気だい?」


「決まってんだろ。公国に行く。行かねえと」


僕の言葉に鎌瀬山は振り向いて、応える。

その表情はらしくもない真剣さがあった。


「……君一人が行っても無意味だよ」


「んだと!?」


「事実だよ。断言する。君ごときが行ったところで何も事態は好転しない。それに、君は公国にすら辿り着けないかもしれない」


「どういうことだ?」


「とりあえず落ち着きなよ。座って話を聞かないと頭に入るものも入らなくなるよ」


「ちッ」


扉へ向かおうとしていた鎌瀬山は踵を返すと、元の席へと乱暴に座る。

その仕草に、一瞬、ビクっとプラナリアの身体が震えたが気にしない。


「まず現状の公国は、英雄王と蜜柑が前線で指揮していることでやっと防衛線を守っている状態だ。おかしな話だろう?もう王国の騎士も他の国の戦力も冒険者も続々と集結しているのに、それでもやっとの状態で守っているなんて」


そもそも。

もう既に日数的にはあらかた援軍は公国に揃ってきている筈なのだ。

帝国騎士団は第6騎士団から第9騎士団までは遠征に向かったはずだし、名を馳せる高ランク冒険者だって各地から向かった。

そして、王国はもちろん周辺諸国も援軍を出したはずだ。


本来ならこれだけの戦力が集まっているのだから、攻勢に出ても良い現状の筈だ。

それなのに、現状は最終防衛ラインを勇者二人を使ってやっとのことで維持できる状態に留まっている可笑しさ。


何故、そんな事態が起きているのか。


「公国の周りを覆う様に霧が発生しているみたいなんだ」


「あ?霧だ?んなもん発生してたところで何も支障はねぇだろうよ」


「ただの霧ならね。でも、公国の周りに出来た濃霧は違う。一寸先も見えない濃度で騎士団は行軍を始めたらしけど、気付けば入ってきた場所に戻ってきていたらしい」


「なんだそりゃ。……この世界の人間が方向音痴だっつう冗談じゃねぇよな」


「あぁ。そんなことはないよ。ただこの事でわかるのは、この濃霧は意図的に発生させられて公国に立ち入る存在を阻んでいるという事。魔術による連絡はとれるみたいだから公国の状況はわかるみたいだけど手出しができないみたいなんだ」


「その霧は魔王軍の仕業ってわけか」


「恐らくね。でもそれも完璧ではないらしくて、極稀にその濃霧を突破して公国に侵入することが出来る人もいるみたいだけどね……まあ、だとしても数人が入れたところで戦況に大差はない。それこそ高ランク冒険者が入れれば少しは変わるだろうけど、今のところ侵入できたのは騎士団の下っ端数十人だけらしいからね」


公国の周辺に発生した濃霧は、公国に入ろうとする者の行く手を阻み、それは公国から出ようとする者の行く手をも阻んでいた。

それはすなわち、現在公国に存在する人族は公国内に閉じ込められたことになる。


救援物資すら届かない、届けることの出来ない現状で、公国はジリ貧だ。

このどうしようも出来ない状況に、各国が下した判断は。


「静観だ。現状が打破できない以上、援軍戦力を公国周辺に残したまま静観するすることに、各国は決めたらしい」


「それじゃあ幼女はどうなるんだよ!!」


握りしめた拳を振り下ろし、会議室内には大きな音が響く。

鎌瀬山としても、普段はちゃらんぽらんでいい加減な奴に見えるけど、彼は彼なりに仲間を大事に思っているらしく、普段の彼らしくない態度で焦りに身を震えさせる。


「幼女は捉えられたままだ。勇者が動くことが出来なければ何処に連れ去られたかわからない幼女の救出なんて出来る筈もない。かといって、転移魔術は一度に行ける人数も限られているしインターバルも長い……それになにより、公国への転移は現状何処に飛ばされるかもわからないんだ。そんな危険なものを使うはずがない」


「だから俺が行くって言ってんだよ!!勇者じゃねぇやつならそうだろうが俺が行けばよぉ……変なところに飛ばされたって」


「英雄王が引き分けに持ち込まれたか、彼から逃げおおせるだけの幹部が何人もいる真ん中に放り投げられるかもしれないんだよ。そうなってしまったら幼女救出どころじゃないだろ、むしろ最悪人質を増やすだけだ。それに何処の国も転移魔法は使わせてくれないさ。下手したらもっと多くの勇者を失う事になる賭けなんてやる筈がない」


「ッ!!ならこの世界の人間は幼女を見捨てるってことかよおい!?てめぇの都合で召喚しておいていざ危なくなったら助けるそぶりも見せずに見捨てるってのかよ!?」


「あぁ。今の帝国も、他の国も、きっと許可は出さない……というより、それは諸国間会議で一番に決められた。これ以上の勇者及び戦力の転移の禁止。人族は、公国を見捨てた……というよりは、手出しをしたくても出来なくて見捨てざるを得ないんだ」


一時の静観。

最も。

諸国間会議でそう落ち着いたのは、帝国勇者・不動青雲がまだ行方知れずで動き出していないことも大きく起因している。

現状、ナマクリム城塞という最終防衛ラインを保てはいる。

ならば、現状公国での最大戦力の不動青雲の暗躍が解ければまだわからない、とそう結論付けた。


だから、無駄に戦力を送らずに不動が動き出すのを待つのだろう。

不動の振る舞いはともかく、彼自身としての勇者として恥じることの無い戦力は各国共通で信頼されきっている。


今の現状、戦力は転移でしか確実に送れず、遅れたとしても敵陣のど真ん中かもしれない。

なら、戦力をむやみやたらに送らず静観が一番リスクが少ない手段だろうね。


最悪、四人の勇者を失っても他六人の勇者は守ろうという魂胆だろう。

……今は一人減って5人だけどね。


「勇者至上主義だなんてこの世界は言っているけど、結局、勇者も自分たちを守る為の一つの戦力にしか思ってないんだよこの世界は。だから、平気で切り捨てるし、自分たちの益のある方へとこの世界の人族は流れるんだ。僕等勇者は所詮駒の一つでしかない」


「ふざけんじゃねぇよ……俺は仲間を見捨ててまでこの世界の為に尽くすつもりはねぇよ。俺から皇帝に言って許可を出させてやる。抵抗すんなら多少手荒な真似をしてもな」


「無理だよ。そうなれば皇帝だけでなく、帝国そのものと闘う事になる。そうなれば九図ヶ原と喰真涯の二人の勇者との戦闘も避けられない。とてもじゃないが君一人では勝てないだろう」


「てめぇは!!」


鎌瀬山は勢いよく立ち上がり僕の方へと歩いてきて、力任せに胸倉を掴んで僕を持ち上げる。


「てめぇは何で動こうとしてねぇ!!幼女がやべぇんだぞ!?正義だって蜜柑ちゃんだってよぉ。なのにてめぇは、この情報を知っておきながら……」


「僕だって幼女は心配さ。だけど、今動くのは利口じゃない。今は完全に彼方のペースだ。戦況も情報戦も全て負けている。その状況下に如何に勇者とはいえ、少数で突っ込むのは余りにも無謀過ぎる」


「だがてめえなら!」


「言っただろう?勇者クラスの化け物が何人も相手側にいるって。君が僕の事をどう評価してるか知らないけど、流石に僕だって、一人で公国に行って幼女を救うのは無茶が過ぎるよ」




「なら、どうすんだよ?どうすれば__」



「決まっている。革命だよ」


「そんな余裕あるのかよっ!?幼女はもう捕まっちまってんだぞ!」


「それを言ったら余裕は無いだろう。最初からね。……鎌瀬山、非情な事を言わせて貰うけど、僕は幼女が既に死んでしまっている事も視野に入れている」


「_なっ!?」


「敵の手に堕ちているんだその考えが入るのは当然の事だろ? けど、だけど、僕は彼女が生きている可能性は高いと考えている。それは勇者である幼女を連れ去ったという点だ。もし彼らが勇者を邪魔だと考えていたら連れ去らずとっとと殺すことも出来たはずだ。つまり彼らには勇者が必要だったとも考えられる。それが生け贄なのか、何なのかは分からないけどね」


「だが、もし生け贄だとしたら、急がなきゃならねえのはかわりねえだろ?革命なんて事してる場合じゃ」


「急がば回れってことわざがあるだろ?これが堅実で最短なルートだ。これからの僕らの事も含めてね」


「ちっ、回りくど言い方すんじゃねぇよ。俺に分かるように言え」



「そうだね。実際、僕ら二人いれば公国に行くことは可能かもしれない。けど、現状を打開出来るかは未知数なんだ。そしてそれじゃあなんも意味がないんだよ。確実に現状を打開するにはそれじゃあ足りない。その為に革命を起こす訳なんだけど、只革命を起こすだけでも意味が無いんだ」


「何でだ?」


「現状からして、太守であるアリレムラ・ユーズヘルムを次期皇帝にしてもきっと公国への対処は今と変わらないからさ。既に諸国会議で決まったことをわざわざ国が不安定な時期に反古にする必要がないからね」


「つまり、結局何も変わらねえ、只革命を起こすだけじゃ意味がねえか……それで何故その女なんだ?」


「簡単な話さ、僕たちの息の掛かったプラナリアを次期皇帝に出来れば、彼女は帝国の全権限を手にする。その意味がわかるだろう?」


「ああ、分かる。分かるさ。だがな、それでどうする気なんだ?革命を起こして帝国の実権を握ってよぉ」


「そこから先はちゃんと考えてある。その為の条件も彼女に取り付けてある」


太郎がぼかすように喋る事に鎌瀬山は苛つきを隠せない。


「ちっ、ああ、ああ、ああ、分かったよっ!で、その条件ってのはなんだ?」


だが、彼はその考えを聞こうとしない。

ぼかしたような言い方にも訳がある。それを理解しているからだ。

だから、太郎とプラナリアの締結した条件に話を向けた。


「大雑把に言うと、緊急の諸国会議の開催。及び、二個大隊の貸与、魔王軍への戦闘援助と言ったとこかな」


「それであいつらは救えるのか?」


「全員を救えると断言することは出来ないよ。けど、現在公国にいる彼らならまず救うことは可能だ」


「……分かったよ。協力してやるよその悪巧みによ」


「へえ……随分物分かりがいいね。何か企んでたりする?」


「そんなんじゃねえよ。只、自分の出来ることってのが最近分かるようになってきただけだ」


「そっか」


そんな鎌瀬山の成長に太郎は少し寂しげな瞳を見せる。



「どうやら説得には成功したようですね。では話を進めましょう。余り我々だけで話していると、怪しまれる可能性がありますからね」


「うん、そうだね。待たせたねプラナリア。クーデターの作戦会議と行こう」


「まず、あんたを即位させるにはどうすりゃいいんだ?」




「簡単な事ですよ……私が皇帝に即位する為には、革命軍側で私以上の地位を持つ者が邪魔なだけです。つまり、父上、兄上姉上達を失脚するか殺せばいいだけです」


プラナリアはその言葉を笑顔で言い切った。




_________________。



帝国。ひいては、この世界の人族の上層部。

彼らは勇者を駒と見て、不利なら切り捨てる手段を平然ととる。

現に幼女は見放された。



そんな事実を目の当たりにしてしまうと、お伽話に出てくる勇者達の本来の姿と言ったものが臼ぼんやりとだが、頭の中で想像がつく。


国の為、人の為、死んでいた勇者。

彼らは本当に勇者だったのか?

召喚され否応なしにも闘いたくもない闘いをしていただけの人ではなかったのか?


そんな疑念が沸いてくる。


太郎には今の王達を見て、僕らは只の駒として召喚された、使い潰しの道具に過ぎないと感じていた。

しかし、古くからあるこの勇者に対する体制を変えることを太郎は選ばなかった。


奴らを一人一人説得して周る時間なんて無いし、そんなことをしても無駄でしかないからだ。


だから。

壊してしまえば良いのだ。一度。

その為にまずは頭を僕たちに有利な存在に挿げ替えてしまうのだ。

そして、この体制を壊し、自分達、勇者を中心とした国の創造を。





その点を言うなら、帝国という国は理想的であった。


人族では王国、グルナエラ連邦に並ぶ権力を持つ大国。

国力に関して言えば人類一の国家。

そして、不安定な国内情勢。


奪い取るには好都合な国であった。

人族内で分散しているこの状況をこの国であれば変えられる太郎はそう考えた。


しかし、太郎自身も想定外の事が起きていた。

勿論、公国の事だ。

英雄王達であれば特に問題もないだろうそう思っていた矢先だった。

しかし、それを太郎自身が知ったのも数日前の事。

今更、計画を白紙にするわけにはいかなかった。

だから今回、予定を変更し、プラナリアと契約を交わした。 

今回、太郎の中にも僅かばかり焦りがあった。


「さて、間に合うと良いけど……」


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