第39話確かな変化


「残りはここだけかな」


足を踏み入れたそこは人の醜悪さを押し込み凝縮された。人の悪性を体現した場所であった。


「はあ……よくまぁここまで酷いことが出来るものだ」


東京太郎は眼下に広がる光景を見て呟いた。


頭が半分なくとも、体が半分なくとも、無理やり接合され手足が複数あっても。

それは生き物の形をしていなくても。


それでもそれ等は生きていた。


執着したくない生に執着させられ。

既に事切れている命の灯を無理やり燃やされ。

ただ呼吸をしていた。


ここには失敗作、廃棄予定の魔族が集められていた。

貴重な素材を最大限有効活用するという建前で利用できる部位だけを抜き取り、実験データをとるためだけに成功するはずの無い実験で身体を弄られる。権利を失いモノとして扱われる彼らは生きてはいたが死んでいた。


ふと、一人の魔族の少女が顔を上げる。


それは皮肉にも、鎌瀬山を最初に見つけた少女。

鎌瀬山に救いを求めた少女であった。


右目が無く、否、右目から右頭部にかけて存在せず。両足も左腕も無く、服を着てない腹部には槍で貫かれたような跡が残っており間違いなく臓器が幾つも無くなっているのだろう。



残った左目は東京太郎を視界に捉え、震える唇は声にならない声を発する。


『ころして』


と。


かつて。

鎌瀬山はその救いを求める声を聴きながらも、その救いを為せなかった。

なそうとしても寸でのところで彼の理性がそれを止めた。


「……そうか。君たちはそれを望んでいるのか」


しかし東京太郎は違った。

彼のその瞳には慈愛も情愛も同情もなく、右手を眼下の少女の下へと翳す。


黒点は次第に少女を覆い、増え広がり、次第に眼下に存在する魔族の全てを覆っていく。


「安心するといいよ。君たちの望む救いというモノは僕が与えてあげるよ」


何の感情も灯らない冷たい声音。

けれども、少女達にとってはその言葉は何よりも優しく聞こえた。


黒点アーテルは少女の身体を優しく包み込んでいく。

絶対の死を齎す《もたらす》その存在は少女にとっては救いであった。

包み込まれるそれらに暖かさを感じる。

少女は今まで自分の身体中を襲っていた激痛が消えていくのと同時に自分の意識が此の場から遠退いていくのを感じ取った。


それは『死』なのだろう。

ずっと思い描き、抱き、それでも尚追い求めた救い。

目の前にありながら手の届くことのなかったそれに、少女の手はついに届く。


『ありがとう』


安堵した様子で優しい表情を浮かべた少女はその一言だけ唇を動かして、黒点に飲み込まれ消えていった。

全ての魔族を覆っていた黒点は捕食を終えると同時に霧散し消える。


呻き声が充満していた室内はシンと静まりそこに最早生者はいない。


「殺しといてお礼を言われるなんて不思議な気分だよ」


廊下から聞こえる駆けてくる音に耳をひそめながら、その駆け足は背後で止まる。

自分の後ろに立つ男が誰なのか考えるまでもない。

太郎は口角を僅かに上げる。


「どうかしたの?鎌瀬山」


太郎は何気ない様子で後ろを振り返り、鎌瀬山に語りかける。

世界が閉じた。


-------------------------------。



「あの野郎どこ行きやがった」


「所長の居そうなところは、えっとえっと、あと薬品保管所か、所長室、かな?えっと」


「往生際、悪い……」


鎌瀬山の呟きに慌てたように喋るニーナ、それと対称的に淡々と喋るクルムンフェコニ。


「全くだ。ったくこれで俺はもう帝都には帰れねぇだろうし早いとこ片づけて逃げてえ所なんだけどな」


「え!?えっとえと……ニーナのせい?」


「ふん。子供が気にすんな。お前のせいじゃねぇ。俺がやりたいようにやってるだけだ」


呆然としていたニーナ以外の強化兵達等は意思を持たず流されるままに鎌瀬山についていくことが決まるが、逃げる前に姿の見えない所長を探すため、ニーナに彼が居そうなところまで案内してもらっていた。


実験室。研究室。執務室。会議室……。

いくつも周ってみたが所長の姿は無く……それどころか。


「おかしいな」


鎌瀬山はある異変に気づく。

薄気味悪い程に閑散とした研究所内を周りながら段々とその異常性に気づいていた。


研究所内に人が誰もいない。

それどころかまるで生き物がいないように、静まり返っている。


「えっと、カナリさん?どうしたの?」


「……誰もいねぇんだ」


「逃走?」


クルムンフェコニが呟く。

確かに、天井を破壊したりなど大規模な事をしてしまったからには今回のことは研究所内では周知されたものになっているだろう。その可能性も十分にあるのだが。


「そいつらだけじゃなく実験体にされてた魔族や奴隷もいねぇ。普段は嫌って程見るのによ」


特に実験室、研究室。

培養器のようなカプセルは全て破壊され容器内にあった緑色の培養液は全て床へと零れ落ち、鎖につながれていた奴隷達も跡形も無く消えていた。


研究員たちがたかが奴隷や魔族を一緒に避難させるとは思えず、鎌瀬山の中で嫌な悪寒がはしった。


「えっとえっと、ここが薬品室。所長室はもっと遠いから先に!!」


「薬品室か。所長室に居そうな気もすっけど一応見とくか」


ニーナに指さされた一室。

薬品室と書かれた看板のかかる扉を鎌瀬山は開け。


「ッ!?クル子、ニーナ。お前らは来んな……」



部屋の中に踏み入れた瞬間、充満していた血の匂いを鎌瀬山は嗅ぎとった。

クルムンフェコニとニーナを外で待機させた後に、鎌瀬山は警戒した様子で部屋の奥に足を進める。

部屋全体は異常なほど赤く、物切れの肉片が辺りに散らばっているが、室内は他に荒らされた様子も争った様子もなく、それが不気味さを際立てていた。


周囲を見渡していた鎌瀬山はある一つのモノに視点を止めた。

それは眼鏡だ。


自分が探していたはずの男の眼鏡。

それとその奥に何かが転がっているのを捉えた。


鎌瀬山はその血だるまになった何かに近付き、足でひっくりかえした。


「やっぱりな……くそっ」


それは所長の頭であった。

絶望に歪んだ顔。

そんな顔を見て、ざまあねえなと思ってしまう。


「……で。この状況はどうなってんだ」


次に鎌瀬山は思考を切り替えこの状況を整理し始めた。

まず、これを誰がやったか。

それを考える上で一番可能性が高いのは間違いなく此処に捕らえられていた魔族に復讐されたという線だ。

そしてその魔族により既に他の魔族が外に逃げ出しているのだとしたらこの研究所に誰も残っていなかった事にも納得がいく。


しかし、何か違和感があった。


一旦部屋を出て、クルムンフェコニ達を確認する。


「あっ、カナリさんどうしたの?」


「どう?いた?」


「ああ、まあいたぜ。死んでたがな……。なあ、この状況どう思う?」


「そっかぁ、死んじゃって……って!ええ!?死んじゃったの!?脱走した魔族にやられちゃったのかな!?」


「裏切り、とか?」


「やっぱそう考えるのが普通だよな。けどよ、それだとなんか胸の奥がモヤモヤするんだよ、何かが可笑しいって」


「えっと、そうかな?変な所なんてなかったと思う。いつもと変わらなかった!!」


「そうか。なら、俺の気にしすぎだったかも知れねえな。とっとと俺らも逃げるとするか」


来た道を戻ろうとする鎌瀬山。

しかし、クルムンフェコニの一言で足を止める。


「いつも通り、……おかしい」


「おいクル子、今なんつった?」


「あ、あ!!。人がいなかっただけでえっとえっと、研究所自体はいつもと何も変わってなかった!」


「どういう事だ?」


「まるで人だけが、いきなり、消えた、みたいに……」


「……確かに魔族が脱走したならもう少し暴れた痕跡があってもいいはずだな」


そう考えるなら自分達以外にも部外者がいる可能性が高いということだ。


「えっとえと、私たち以外にも誰かいるのかな?」


「そうなるな。まあ、俺達にも都合が良いし、ソイツの事は無視しておいて……」


一瞬、鎌瀬山の思考が止まる。

何を考えたか、その一瞬で考えてしまった最悪の節。


「ん、どうした?」

「えっと、どうしたの?」


心配する二人の声も耳に入る余裕がないまま、鎌瀬山の脳は動く。

人だけが消され、荒らされた様子も破壊された気配も無い研究所。

だとするならば目的は証拠隠滅。

しかもそれはこの研究所の研究試料といった類いのモノではなく、タイミング的にも現状の事態を外部に伝わるのを防ぐ為にやったモノにしか見えない。

つまり、自分達が暴れた事を隠蔽するために誰かが動いているという事だ。


その誰かが誰なのか。鎌瀬山が答えに辿り着くのにそう時間はかからなかった。


鎌瀬山の脳裏にある一人の男が浮かぶ。

鎌瀬山が知る中で、わざわざこんな事をする人物が一人、該当する。


「くそっ。お前らは此処で少し待っていてくれ」


「えっとえっと、」


「あー、クル子!ニーナをたのむぞ」


「ん。気を付けて」


「ああ」


それだけいうと鎌瀬山は廊下を駆け出す。

ここからいる可能性があるのは所長室かそれかあの場所しかなかった。

そして、もし自分が想像する通りであるなら間違いなくソイツは後者にいるはずであった。

そして入口へとたどり着いたとき、その眼前には一人の勇者が居た。

彼が自分が着く数瞬前に何をしていたのか。何をする目的でここに居るのか理解して。


鎌瀬山は彼の名を叫ぶ。


-------------------------------


「タロウてめぇ!!」


息をつく暇も無く、ここまで駆けて来た鎌瀬山は東京太郎へと右手を突き出しその胸倉を掴んだ。

肩で息をする鎌瀬山は東京太郎を睨み、その背後、実験体として使われていた魔族がその場に一欠けらもいないことを確認する。


それだけで、鎌瀬山は理解できた。

あの魔族たちが、自分に救いを求めた魔族の少女が既にこの世にはいないことを。


「何をそんなに怒っているんだい?」


対して。

太郎は動じることなく、睨みつける鎌瀬山の瞳を除き込む。

憤怒に彩られたその瞳は太郎の期待していたモノであった。


「タロウ、てめぇここに居たヤツラ全員殺したのか」


「ああ、殺したよ」


太郎は只淡々と呟く。

鎌瀬山が出来なかったそれをやって平然と。


タロウの胸倉を掴む鎌瀬山の力は強くなっていく。

それは行き場の無い怒りをぶつけるような行為で。

鎌瀬山自身、何故自分がこうも、太郎が魔族を殺した、という事実に対して執着しているのかわからない。

けれど、この胸中に煮え立つ怒りは抑えることが出来ない。


鎌瀬山はただ一度だけ、殺してもらうことを懇願したあの少女が頭から離れなかった。

心のどこかで別の救いを。

鎌瀬山は別の形であの少女を救ってやりたかったのだ。


方法も何も思い付いていなかった。

けれど、救えるはずだと。

何処かそう夢を見ていた。信じてこんでいた。


しかし、夢から覚め、現実を直視した。

そしたらその行き場の無い怒りの矛先がどうしようもなく胸の中で渦巻き、結果として太郎に向いてしまった。


「適材適所だよ鎌瀬山。君が言った言葉だ」


徐々に力が強くなる鎌瀬山の右手首を持って、無理やり胸倉から手を離させた。


「あ?」


「君には出来なかった筈だよ。彼女たちを殺すことは。だから僕が殺した」


「何言ってんだてめぇ……この研究所は俺がぶっ壊した。なにもこいつらを殺す必要はねぇだろうがよ。音ノ坂に言って革命軍に連れて行かせりゃいい。勇者の俺達が言えば……」


「あぁ、可能だろうね。勇者である僕たちが言えば革命軍は例えそれが嫌な事であっても実行するだろう。けどさ、それでどうするの?」


「あ?どうするって」


「ここにいる魔族は皆生きている状態じゃない。生かされている状態だった。五体満足じゃないどころか元の形をしていないヤツだっていた。それを君は連れて帰ってどうするつもりだったんだ?」


「ッ!!」


鎌瀬山は何か反論しようとするが、その言葉は直ぐに出てこない。


薬物に浸かり、延命をされている五体満足じゃない魔族たち。

彼等を連れて行ったところで、ただ死に場所が変わるだけで何かが解決するわけじゃない。


幼女おさなめに頼めば……アイツの限外能力なら!!」


「……それは無理だろうね。幼女のあれは怪我を負う前の状態をコピーして一定時間の間その状態を維持するようなモノだ。既に失ったモノにかけても治る事はないよ」



「くそッ!!」


鎌瀬山は吐き捨てるように叫ぶ。

やり場のない苛立ちをぶつけるかのように壁を拳で叩く。

壁には亀裂が生じ、その力強さが物語っていた。


「どうしようも……無かったのか?」


「どうしようも無かった。現段階ではという言葉がつくけどね」


「なら!可能性があったなら」


「その可能性の為だけに彼らを生かすことは僕らのエゴにしかならないよ」


「……っ」


その太郎の言葉に鎌瀬山は何も言い返せなかった。

鎌瀬山自身も分かっているのだ。これが自分の我が儘でしかないことを。

だけど、それでも納得が出来なかった。


「今後の事だけどまず分かっていると思うけどこれで君はもう帝都には帰れない。だからアリレムラ領を目指す他ない。あそこは革命軍の総本山、強化兵含めて君たちを歓迎してくれる筈だ。今は僕が外部への連絡を全てシャットアウトしといたから何も問題なく外に出られるはず。だから今の内にとっとと逃げるといいよ」


落胆する鎌瀬山の横を通って、東京太郎は労う様にその肩を叩きながら扉へと歩を進める。


「おい、タロウ」


「なんだい?」


その過ぎ去っていく東京太郎を背に、鎌瀬山はタロウを呼び、問う。


「ここの研究員と所長はてめぇがやったのか?」


「そうだよ」


「……てめぇはどうしてここにいたんだよ」


「……只興味があったから来てただけだよ。だから君が此方に来たのは驚いた」


「じゃあお前はこっからどうする気なんだ?同じ王国勇者って立場だからお前も帝都に戻ると色々面倒なはずだろ?」


「僕もアリレムラ領に向かうよ。その前にすることがあるから少し遅れるけどね。質問はそれだけかな。じゃあまた」


その一言を残して、東京太郎は去る。


「クソがッ!!」


東京太郎が出て行った後、鎌瀬山は再び壁へとその拳を打ち付けた。

亀裂は増し、大きな衝撃と共に壁は崩れ落ちる。


結局、自分は何を出来たのだろうか。

決して太郎の言った言葉に納得した訳ではない。

しかし、もしどうしようも無いときに自分はアイツらを殺してやれただろうか。

そんな事を考えてしまった。

そしてその答えを出せない自分の弱さに嫌気がさす。


崩壊する室内で鎌瀬山はその場から動かず、自分の無力さを感じながら立ち尽くしていたが二人の顔が思い浮かんだ。


「クル子達の所に戻らねえとな」





戻ってきた鎌瀬山を見てすぐさまクルムンフェコニとニーナは駆け寄った。


「あいつと会ったか?」


鎌瀬山の第一声の意味が分からず、不思議そうな顔を浮かべる。


「あいつ?えっとえっと誰も会ってないよ?」 


「うん、誰も、来てない」


「……そうかならいい。行くぞ、クル子、ニーナ」


太郎がここから出るにはこの道を通らざる得ないはず。

だが、来てないということは別の方法で出たと考えるのが妥当だ。

謎は残るが太郎であるならば不思議な事ではないかと鎌瀬山は思う。


「えっとえと、うん」


「……?…ん」


鎌瀬山は平静を装おっていたがどこか違和感を感じとるニーナ。

クルムンフェコニもその事に気付いていたが鎌瀬山が自分から言ってこない意味を考え、何も聞くこともなく、ただ鎌瀬山に着いていく。


無言で歩を進める鎌瀬山の後ろをクルムンフェコニとニーナがついて行く。

沈黙が続き、3つの足音だけがその場に響く。


そして暫しの時間が流れとうとうその空気に耐えられなくなったニーナが口を開く。


「あのっ!」


「どうした?」


「えっとえっと、何かあったのかなぁ?なんて」


「いや別に、特になんかあった訳じゃねえよ。気にしなくていい」


「そっか」


鎌瀬山は此方を振り替えることもなく、すげなく答える。

しかし、その横顔は照明のせいか何処か暗い影を落としていた。


だから。


「あ?」


辛そうなそんな横顔を見てしまったニーナは鎌瀬山の左手をぎゅっと握った。


「ククラさんが言ってたの!辛いときは手を繋ぐと良いんだって。一人で苦しむんじゃなくて分かち合う為にって!」


「……っ」


そんな事をいきなり言われた鎌瀬山は戸惑ってしまう。


「ほら、クル子さんも!」


「ん」


鎌瀬山の左手をクルムンフェコニ、右手をニーナが繋ぐ。


その幼い少女特有の柔らかな感触に両の手が包まれて、鎌瀬山はいぶかし気に両脇を見る。

鎌瀬山の手を握りしめ、平然とした態度をとる左手のクルムンフェコニ、笑顔を向けしっかりと手を包むニーナを二人の対称的な少女。


その二人の少女を見て、胸の中につっかえていたわだかまりも、煮えたぎっていた自分に対しての怒りも、どこか霧散していく。

そんな気がした。



「ちっ、なにやってんだ俺……情けねえ」


こんな小さな少女達に気を使わせているという事実に。

自分が情けなくなる。


「わりぃな。気ぃ使わせちまった」


「えっとええっと。元気になってよかったよ!!」


「鎌瀬山、表情隠すの、下手くそ」



「全くだ。はあ、とりあえずあいつら回収してここから食料持って……おい、竜車無事だよなタロウ君よぉ」


「タロウ君?それ誰ー?」


「気にすんな独り言だ」


「はーい!!えっとえっとそれで、カナリさん!!ニーナ達どこ行くの?」


「あの野郎の言葉通りにすんのも気に喰わねぇが、アリレムラ領だ。あそこならお前らを匿えるからな」


殺さなければならないときに鎌瀬山は殺すことが出来るのか。

その答えは出ていなかった。


けど、今はそれでいいかと鎌瀬山は思う。

結局のところ、鎌瀬山はこちらに来てもあっちにいた頃と何も変わっていない。

どんなに強くなろうと自分は勇者なんて大層なものには成りきれない弱者でしかないのだ。


人の根幹はそう変わるものじゃない。

勇者に成って、でも成り切れず、それで他の何かにも成ることも出来ない。


中途半端な存在。


それが鎌瀬山釜鳴という男。


けど、だからこそだろうか?

そんな自分でもこの二人の前でだけは勇者であっていたい。

そんな風に思ってしまう。

そして、そんな自分の相も変わらない見栄っ張りの性格に辟易してしまう。


それは鎌瀬山釜鳴の確かな変化であった。

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