第17話 殺人鬼

 それからとゆうものスマホがピタッと振動しなくなった。お互いに動きがなくなったのか、はたまた戦っている最中なのか。

 桃の家にいる俺たちには、外の情報が一切わからない。2時間が経過していた。


 ブーブーブー、ブーブーブー。


【馬場明、ゲーム続行不可能の為脱落。警察チーム残り10人】


 そうだ。まだこれがあった。ゲーム続行不可能の為、脱落。

 これは、樹からの最後の電話で樹が言っていた。五月と愛花は殺されたと。つまり殺されたからこれ以上は、ゲームの続行が不可能と解釈するのが必然だろう。

 それにしても警察だけが次々とゲーム続行不可能になっている。殺人鬼は一体誰で、何が目的なんだ?


 ブーブーブー、ブーブーブー。


【本日のゲームは只今を持ちまして終了です。お疲れ様でした】


 3日目のゲームが終了した。

 泥棒チームは、理久の1人しか捕まっていない為、初めて警察側の脱落だ。理久も後で絶対に助けに行く。


 ブーブーブー、ブーブーブー。


【ルールに従い、警察チームの以下2名を脱落とする。大友康貴、古賀桜。警察チーム残り8人】


 これで泥棒は、理久が捕まっているが11人。警察は8人になった。

 30人いたクラスメイトも今では19人だ。脱落者は死。政府の人間に銃で撃ち抜かれる。逃げようにも逃げられない。

 ついこの間まで教室で授業を受けていたのが懐かしい。笑いが絶えないとてもいいクラスだった。戻れるならこの選別ゲームが始まる前に戻りたい。



◆  ◆  ◆


 体育館には明日香に捕まった理久が1人でいた。

 体育館の外から桜の叫び声が聞こえたとのと同時に銃声が数発。それから桜の声は聞こえなくなった。

 銃声から数分後、金属と地面が擦れる音が体育館に近づいてきた。


「なんだ?」


 金属音が消え体育館の鉄扉が開いた。


「おい、なんだよそれ? 落ち着け、落ち着け。1回落ち着こう、なっ?」


 だが、その人物は足を止めずに理久に近づく。


「友達だよな? 待って……。待ってくれ! グッ、オブッ……」


 理久の身体と金属が何回もぶつかることで起こる不快音が体育館に響く。

 その人物は、理久が動かなくなったことを確認すると何事もなかったかのように平然と体育館から出て行った。



◆  ◆  ◆


 ブーブーブー、ブーブーブー。


「なんだ? もう今日のゲームは終わったはずじゃないのか」


 スマホの画面を見る。


【中澤理久、ゲーム続行不可能の為、脱落。泥棒チーム残り10人】


「なんで? なんで理久が脱落なの?」


「俺にも分からない……」


 理久が殺された?

 理久は体育館にいるんだぞ。


 ブーブーブー、ブーブーブー。


『なんで理久が脱落なんだ?』


 俊介からだった。


「ゲーム続行不可能の為ってあるだろ。これは、誰かに殺されたってことなんだよ」


『俺たちの中にそんな奴がいるのかよ。いくらなんでも殺すなんていかれてやがる!!』


 俊介が声を荒げる。


「俺もビックリしてる」


『その殺人鬼に注意しないといけないな。みんなに電話で伝えておくよ』


「うん。頼む」


 電話が切れた。


「という訳でこころと桃も注意してくれ」


「うん。ずっと3人一緒だったら大丈夫だよね」


 誰かはわからないが確実に俺たち、2年C組の中にクラスメイトを殺す殺人鬼が紛れ込んでいる。

 この異常な状況でおかしくなったのか、あるいは本性を現したのか。


 桃の家に隠れていた俺たち3人にどろけい4日目、更なる試練が訪れることとなる。

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