第9話 誰が指揮するの?
【峰岸俊介、八木明日香により確保。泥棒チーム残り10人】
リーダーである俊介が捕まった。
俺とまなみは、俊介たちのおかげであの場を逃げ切り、桃の家に戻ってきた。
「はやと、俊介捕まっちゃったんだね」
「俺とまなみを庇って捕まったんだ……」
「まなみが俊介にばっかり頼ってたから俊介は……」
まなみが責任を感じて顔を伏せる。
「まなみだけじゃくて、俺もみんなも俊介に頼りっぱなしだったんだ。まなみだけが悪いってことは無いよ」
「そうだよ、まなみちゃん」
桃がまなみの頭を撫でる。
ブーブーブー、ブーブーブー。
「もしもし」
『もしもし。じゃないよ、俊介まで捕まっちゃたじゃない! これからどうすんの? 誰が指揮するの?』
電話の相手は里菜だった。
これからのこと。そして、誰が今後、泥棒チームを率いるか。俊介は最後に言った。俺に、後は頼んだぞ……と。
「俺が指揮をとる。とりあえずは、今まで通り逃げて欲しい。可能だったら建物の中が安全だから建物の中に入ってくれ。警察側も人の家の中までは、入って来ない」
『分かった。昨日の約束、忘れてないよね?』
昨日の約束。それは、捕まった剛の救出。
そして、俊介も絶対に助け出さなくてはならない。
「あたりまえだ! 休憩まで逃げのびてくれ」
電話を切る。
「俺が指揮をとるって何?」
「俺が俊介の代わりに泥棒チームのリーダーになる」
「はやと君がリーダーかぁ……」
「不安か?」
「ううん。はやと君なら大丈夫だと思うよ」
「そうそう。はやとなら大丈夫だよ」
桃もこころも賛成してくれた。
まなみも頷いてくれた。
ブーブーブー、ブーブーブー。
次は、なんだ?
【酒井夏帆、桐谷亮により確保。泥棒チーム残り9人】
夏帆が! やばい、完璧に忘れていた。逃げるのに夢中だったのと、電話してたのとで連絡入れるのを忘れていた。
「また、2人捕まった……」
まなみが呟く。
ブーブーブー、ブーブーブー。
【今から15時まで休憩と致します。それぞれご自由にお過ごし下さい】
時計の針は11時30分を指している。休憩時間が長いな。
◆ ◆ ◆
「どうしますか、マスター? 特別ルールを追加しますか?」
「いや、まだ早い。後半戦もこのまま見守ろう」
モニターを見つめる3人の姿があった。
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