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それは唐突のことだった。
いつも通りに西で狩りをしていた時に聞きなれないインフォが入ってきたのだ。
《お知らせが2件あります》
《継承条件が完了しました》
「……ん?なんだ?」
いつもだったら直ぐに消してしまうのに、そういう時に限って見てしまうんだよなとのちに自分の行動を振り返る。
一つ目のお知らせにはこうあった。
『ーNPC魔導師、ヴェイン死亡ー
本日、ヴェインが死亡しました。死因は老衰。葬式は行われません。墓の位置は不明。
以上』
「……」
そのメールを読んだ時、自分がどんな顔をしていたのかわからないけど足元でじゃれていたグレアとハクが不思議そうにこちらを見ていたことだけはしっかりと覚えている。
「キャンベラさんに言わなきゃいけないな……」
「その必要は無いよ」
「え……」
顔を上げるとそこには空中に立つキャンベラさんがいた。その姿は前にあった時とは違い、純白のマントに王様の様な衣装を身にまとっていた。いつの間に来たんだという言葉は飲み込んで。
「ヴェインは……どこ?」
「た、ぶん……家です」
「じゃあ行くか」
キャンベラさんが自分の前に立ち歩き始めた。その時の横顔がとても悲しげに歪んでいた。
ーーーーーーーーーーーー
「おかえり」
「げっ!くそチビッ!」
「あれ?ギルド長?」
ヴェイン師匠の家に戻ると種族識別の時に強制的に自分を返した若いエルフがいた。
「キャンベラさん、知り合いですか?」
「外面だけが取り柄のちびだよ」
「い、一応ヴェインと同列に数えられているんだがッ!?というかキャンベラ、テメェよくのこのこと現れれたな?」
「今そのことを言う必要がある?」
不思議なほど力がこもった言葉だった。初めてあった時にあったヴェイン師匠との確執は自分はわからないけど。
「そんなことはいいんですけど、ヴェイン師匠は?」
「地下の棺だよ。行っただろ?」
「え……あ」
あの時のあの場所か。あの地下そのものが棺だったのか。
「でだ、ファクラ。僕がここに来たのには理由がある」
「おいクソちび、ファクラは私の玩具だ。お前の支配下においてたまるか」
「ヴェインの遺言だよ。継承もしっかりされている。今回お前の出る幕はない」
「それはどうかな」
ポンポン拍子で自分の待遇が決まることに驚くべきかわからない。でも一つは言える。
「あの、墓参りくらいいいですよね……」
「「あ……」」
忘れていたんかいっ!一番重要だよっ!
そう言って帰ってくる途中で積んできた花を取り出す。
師匠がいつも眺めていた花だ。
地下に行くのは気が引けたから、師匠の机の上に置く。
「うん。じゃあ、私も」
キャンベラさんが取り出したのは一つの杖。
「お前、それ……」
「一応師匠だからね。誇れるようになったら謝りに行こうと思ったんだ」
この杖にはなにかの思い入れがあるのだろう。キャンベラさんと、師匠そしてギルド長しか知らないことだろう。
「さよなら、師匠。馬鹿な弟子で悪かったね。もう一度しゃべりたかったな」
「……キャンベラさん」
「……うん。しみったれたのは私には合わないな」
キャンベラさんは笑っていたが、泣いているようにも見えた。
ーーーーーーーーーー
|ω・){ ふっかーつ!
書き直し終了です!遅くなってすみません。
日曜日から最新話の更新をします。
これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m
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