16


それはある意味必然だったのだろう。放蕩王ディバンチェリーロード英雄王ヒロイックロードがはじめの町にいたなんていう噂が出たのであれば何かが起きるのかもしれないと思った奴らは多い。そして、と勘違いしてもおかしくない。


「ちっ、やっと動けると思ったのにヨォ……」


町の路地で黒い外套を羽織った人物がぼやく。そのかたわらには白い少女。


「……くう?」


「だめダ。放蕩王と英雄王あいつらにバレるのはまずいンダ」


「……なぜ?」


「俺が奴らに勝てないからダ」


「……わかった


そう言ってふたりは影に溶けた。白く目立つはずの少女も跡形もなく。



ーーーーーーーーーーーー


「……種族忘れてた」


「ん?種族かい?」


RENさんのところで武器を何個か見繕っていたところでやらないといけないことを思い出した。


「種族は確かに確認しないと」


「そんなに大切ですか?」


「種族特性は知ってるんだよね?」


「えぇ。ステータスに加算されるらしいですよね」


RENさんは頷く。


「僕はヒト族とドワーフ族のハーフなんだ。だから筋力値に加算されやすい」


「へぇ……ドワーフ族は知ってましたが知ってるとおりなんですね」


「まあね。じゃあ、一緒に行かない?」


「いいんですか?」


「ちょうどギルドに用があったしね」


そう言って武器を持って店を片付け始めた。片付けている最中変わった武器を見つけた。


「……」


ただの棍棒のように見えるがこれはどう見てもあれの可能性が高い。


「どうしたん……あぁ、それか。何かわからないんだよね」


「棍棒の先が八つに分かれている神話の武器があります」


「呪いではないんだね」


「えぇ。これ買うならどれくらいいります?」


「ただだよ?」


「ふぁい?」


「だって持ち上げれないもん」


そんなの武器じゃないという。そらそうだ。

だが今の自分じゃこれは振えないだろう。


「また、今度の時に」


「うん。じゃ、行こうか」


道中、街をしっかりと見ることが出来た。中世ヨーロッパのような外観はすごく綺麗だ。そこに立ち並ぶ屋台。識別をかけなければプレイヤーとNPCの見分けがつかない。プレイヤーが屋台を出しているところでもNPCが買い物をしているのを見かける。それもすごく面白いと思うがそれよりも


「なんでこんなに注目されているんですか?」


「あははは……」


RENさんが乾いた笑いを浮かべるがその真意はわからない。が周りの人、特に冒険者がこちらを見ている。


「有名人なんですか?」


「……さー」


「RENさんっ!」


「きのせいだー」


棒読みでそんな事言われても困るんですけど!


「ヨォ、黒小人ドウェルグ。元気カ?」


「……なつかしい


いつの間にか目の前に黒い外套を羽織った青年と白いワンピースの少女が。


「……犯罪臭がするっ!」


「おいコラァ!何なんダ!この野郎ッ」


「……大当たり


「使い魔に言われるって終わってるね……迷宮王ダンジョンエラー


「あれッ!?おれが悪イノカ!?」


一瞬身構えてしまったが、なんだ。悪い人には見えない。それどころか弄られキャラじゃないか。


「色々と企んでいた奴らがいるって聞いてヨ、戻ってきて動こうと思ったら【放蕩王】いたずらや【英雄王】レイド狂いが来てたもんだから動けなくなっていたんだよ……なんだってんだヨォ……」


「「あぁ」」


【放蕩王】とは国外で暮らし続け、町での滞在時間よりも外の滞在時間が4倍の場合、及び各国の国王の承認などなどいろいろなハードルを越えてなる超級職と公開されている。


そして【英雄王】。各国の国王の承認、20、特定の固定メンバーでいること。


特に難しいのは2番目だ。レイドクエストはいつ発生するかわからない突発レイドと決まった場所、時間で発生する制限レイドがある。突発レイドとに遭遇する可能性は低い。かなりの日数プレイしているはずのβ勢でもあったことがないというくらいだ。


故に両方ともまだ1人しかいない超級職だ。


破城 Lv.???

??? プレイヤー


虹翠 Lv.???

使い魔 ???


「破城さん、はじめまして。ファクラです」


「おう、俺は【迷宮王】ダンジョンエラーと呼ばれる超級職についてるプレイヤーだ」


「……よろしく


出された手を握る。超級職と会うのは二回目……だよな。あれ、キャンベラさんはどうだったっけ……でも、烏は確かに超級職だった覚えがあるがどれかは聞いていない。


「で、君がここにいるとなにか起きそうな気がするんだけど……ねぇ……トラブルメーカーさん?」


破城さんは手を挙げ首をすくませる。心当たりがあるのだろう。


「最近、軍団レギオン最後の1人がここにいるっていう噂がたってナ。興味本位で来たんダガ、ガセだったみたいダ」


「……(´・ω・`)


虹翠さんが破城さんの方に足をかけパタパタと動かす。まるで飽きた子供のように可愛らしくやっているが、足が破城さんの胸に当たる度にドゴドゴという音が聞こえる。


破城さんが軽く口の端から血を垂らす。


「だ、大丈夫ですか!?」


「い、いつもの事ダ……虹翠、降りてクレ」


「……いや


今度は暴れ始めた。出血がひどくなるとともに見る見るうちに減っていくHP。


「虹翠ちゃん。ペロペロキャンディーあるよ?」


「……たべる


見えない速さでRENさんのところに行きキラキラと目を輝かせ待っている。アイテムボックスから虹翠さんの顔ほどある大きなキャンディーを取り出し与えた。


虹翠さんは一心不乱に食べ始めるのを見ていたらいつの間にか破城さんが復活していた。


「なんでマスターより懐いてんだヨ!」


「人格じゃないかな?」


「うグッ」


あ、トドメ刺された。


ーーーーーーーーーーーー


|ω・){あ、あれー?動いてない?


|ωΦ*){破城のせいでしょ……


|ω・){否定出来ない……


お詫びに連続投稿です……


本当にすみませんでしたm(*_ _)m

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