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「これは、白狐だね。また珍しいものを」


「はぁ……」


そう言ってヴェイン師匠は自分の頭の上で丸まって寝ている白い塊を見た。


ーーーーーーーーーーーー


あの後、ポーションをできるだけ飲ませ体の傷は各属性のヒールをかけて様子を見た。効きがよかったのはライトヒールだったのでありったけのMPでライトヒールをかけまくった。


そして目を覚ました時妙になつかれていた。


白狐 Lv.104

召喚モンスター 待機中


いつの間にか召喚モンスターになってるしっ!しかもレベル高っ!


そしてヴェイン師匠が帰ってきて今に至る。


「ずいぶんなついているみたいだし、連れていったら?」


「まあ、そうですね」


頭の上の白狐を膝に移動させ、なでる。白狐は気持ちよさそうに目を細めそのまま寝てしまった。


「……出かけるかい?」


「無理です」


だよねぇ、と苦笑いするヴェイン師匠。さて、本当にどうしようか。


「じゃあ、そろそろいい感じになってきたし色々と教えてあげよう」


「はい?」






「モンスターを拾って手当したらなつかれた。なるほど、意味わからん」


「だろ?」


宿題が終わらないと泣きついてきた黒鳥に手伝う代わりに相談に乗れと相談脅迫したところ全く宛にならなかった。ふざけんな。


「ちっ、役にたたねぇな……」


「なぁ、万田……お前俺の扱いひどくね!?」


残念なイケメンお前だからだ」


「ぜってぇ貶してるしっ!」


「そんなことはいい」


そ、そんなこと!?と泣きそうになるがこのまま付き合っていても話が進まない。


「今のところ、自体は確認されてないんだな」


「前あった時に話したよな、βの奴らは完全引継ぎをしてるって」


「あぁ」


βテスターはβ版で使っていたアバターが製品版でも使えるのだ。結果としてテスターと正規組では知識やNPCとの人脈などいろいろと差がある。が、黒鳥いわく自分におこっている事態はβでも確認されてない。


「ひとつ謝っていいか?」


「内容にもよる」


「えーっとだな」


渋る黒鳥にかなりイラッとしたから手に持っていたペンで目をつこうとしたが避けられた。げせぬ。


「あ、あのな。お前が受けたクエストが影響しているかもしれん」


「……?」


クエスト?確か今受けていたのは


「弟子入りクエスト」


「あぁ。βでもそうだったが高レベルNPCへの弟子入りクエストは大抵がふつうに起きないことが起きる。たとえ話、


「……」


「ヴェインというNPCはβでもチートNPCと言われたくらいだ。どんな解析を使ってもレベルがわからない。見たことのない魔法を使う。運営お墨付きのチートNPCじゃないかって言われたくらいだ」


だから昨日のことがあったのだろうか。いや、それにしても昨日のあれは考えれば気づくものじゃないか。


「もうひとつ聞きたい。黒鳥」


「なんだ?」



「詳しく聞かせろ」






昨日あの後、白狐を膝で寝かしながらヴェイン師匠が一冊の本を持ってきた。


「魔道を極めるとなれるかもしれないものに【魔道王】や【魔導帝】というものがあるんだがそれはまた今度話そう。今はこれだ」


鑑定をしてみるといいと手渡されたそれは異様なものだった。


魔導乃為乃書物壱式 レア;不明

所有者;ヴェイン


「これは僕が昔使っていた魔法をまとめたものだよ。見てみて」


ページをめくるとそこには自分が持っている魔法がのっていた。レベル順に並べられているんだろうが後半のページは何も読めなかったがレベルが足りないからだろう。


「錬金術と魔法陣、そして魔法を習いし者であれば作れるんだ。だから今からファクラくんにはこれを作ってもらう」


「えっ、自分、本とインク持ってないですよ?」


「インクは僕のを使えばいい。でも、本はあるだろう?」


インベントリーを確認するとたしかにあった。〝新米魔導師の本〟だ。てっきり魔法の補助だけだと思っていたが記録する意味もあったのか。


「錬金術で記録するんだよ」


錬金術のアーツの一つだ。錬金術のアーツはこのようになっている。


練成 物質を全く異なる物質へと変性する

合成 物質を化学反応に従って異なる物資に変質させる

変化 物体に思うように手を加えることが出来る

記憶 作ったもの、使ったものを記録する


ポーションを作る時に合成を使っていたが記録は何に使うのかわからなかったが、こういう使い方だったのか。


「これを使って」


「ありがとうございます」


ヴェイン師匠が持ってきたインクと羽ペンを使って一つずつ魔法を発動させて魔法陣を見て移していった。


「ヴェイン師匠。ちょっと質問したいんですが」


「なんだい?」


「魔道書から魔法は発動できるんですか?」


「試してみるといいよ」


ニコリと笑うヴェイン師匠。なにか企んでいるんだろうか。そう思いながら書いたばかりのファイヤーボールの魔法陣に魔力を流す。すると本の上で火の玉が出た。そして魔道書に書いてあった魔法陣のインクが少し薄くなった。


だが少しずつ戻ってきている。これってリキャストタイムか。


「時間が経てば何度でも使えるよ」


まさかと思い自分の魔術欄を確認する。しかしリキャストタイムが表示されていた。


そんな上手くいかないか……。


その日は自分が覚えている魔法をすべて書き取ってログアウトした。


ーーーーーーーーーーーー


|ω・){前回お聞きしたことですが、今まで通りの更新方法のままで行きますー


|ωΦ*){てか、私らが結構需要があるみたいにゃー


|ω・){私らじゃなくて設定の方じゃない?


|ωΦ*){ぐはっ


|ω・){精神ダメージの方はきついよね……

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