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街に入った時少し、人の目が前来た時と違うように感じた。尊敬、憧れ的な。かなり好意的な目で見られている。
「もう面倒だからこのままギルドにいこうか」
ヴェイン師匠はそのまま馬車を走らせギルドの裏へ回った。
「お久しぶりです」
「あ、あの時の」
裏で待っていた職員さんはあの時ヴェイン師匠を紹介してくれた人だった。
「頑張っているようですね」
「まぁ、ぼちぼちと」
「ノークくん、前もって言って欲しかったなぁ」
「少し前からあなたの家に向かおうとした冒険者がことごとく〝彼女〟に潰されているのでついでにこの方だったらと思い派遣しました」
彼女とはどう考えてもキャンベラさんだよなぁ。
あの人マジで何者だ。
ヴェイン師匠は一つため息をついてアイテムボックスを差し出した。
「ポーション2000個ね。当分は持つかな?」
「少々微妙ではあります。最近また少し増えまして」
ヴェイン師匠は自分の方を見た。ちょうど出す時だろう。
「自分もあります。48個ですが」
自分がアイテムボックスからポーションを取り出すと職員さんは目を見開いて確認を始めた。
「確かに、十分ですね。買取でいいですか?」
「はい」
「1本70ギルです。最近需要が増えてきて数が少ないんですよ、そのため買取にも少し色をつけました」
「ありがとうございます」
少しお金が増えた。うっし、これで装備を整えよう。
の前にやるべき事があった。
「すみません、烏っていう奴がギルドで話をしたいって言ってたんですけど、どこ行けばいいかわかりますか?」
「……え、えぇ、ご案内します」
あれ、なんか変なことでも言ったのか?職員さんの目が一瞬驚きに染まっていたんだが、まさか、あの
「それじゃあ、ファクラくん。ゆっくりと喋っておいで。何かあったら連絡するといい」
《フレンドにヴェインが追加されました》
おぉ、これは楽になる。連絡機能はプレイヤー同士だと片方がフレンド登録していればできるがNPCの場合はNPCが許可した場合でしかできないと聞いていたから良かった。
しかもフレンド機能はプレイヤーの場合、パーティーを組んでないと登録できない仕様だ。迷惑行為防止のためだろう。
「では、案内しますね」
職員さんに案内されてギルドに入っていく。
師匠に手を振ってわかれる。手を振る時少しぎこちなく感じたが、何かあったのだろうか。後で聞いておこうかな。
ギルドに前来た時はそんなにしっかりと見てなかった気がするが裏は表に比べて強固に作ってあるように見える。
まるで誰かを逃がさないようにするような……。ってか、曲がり角の隙間に溝があるのが可笑しい。上を見ると何かが格納されてるし。
「あぁ、気にしないでください。あるバカ達の逃走防止用に作ってあるんです」
うん、知りたくなかったよ…。
てか誰だよ!?
「ここです。それでは失礼しますね」
「あ、はい。ありがとうございます」
職員さんが案内してくれた場所は一つの扉の前。軽く息を吐き扉を開ける。
「よぉ、万田。ひさしb「死に晒せぇぇぇえええええええ」ぐはっ」
手に持っていた新米魔導師の魔道書を憎たらしいあいつの顔に投げた。
ぐぉぉお、と唸りながら机に突っ伏す黒鳥。
「ざまぁ」
「ねぇ、俺お前に何かやったかっ!?」
「お前の存在すべてが俺に何かをやっているんだ」
「全て!?」
部屋にあるソファーに腰掛け答える。黒鳥は顔をさすりながら俺を見る。
「まっさか、魔導師とはな……お前らしくねぇな」
「聖騎士って言うのは黒鳥らしいな」
まあな、とドヤ顔をしたのでもう1度魔道書を投げたがよけられた。
「ちぃっ」
「……そ、そろそろ話してもいいかー?」
「あぁ」
こほんと気を取り直した黒鳥。パーティー申請とフレンド申請がきた。
パーティー申請は受諾してフレンドは蹴った。
「……扱い酷くない?」
「いつもだろ?」
「まあな」
そう言ってもう一度申請してきたので受諾する。
烏 Lv.???
プレイヤー ???
また全く見えない。自分が会うプレイヤーやNPCが強い人ばかりなのか。
「へー、ファクラか。8レベって、早くね?」
「しらん。最初に西の街道を行ったからじゃないか?」
一応あそこは初期で突破無理だとwikiに書いてあった。キャンベラさんがいて突破できたようなものだから威張れないが。
「あとよ、なんだその容姿?」
「ん?」
容姿?そんなもの一切いじった覚えがないが……
部屋の鏡を見るとそこには銀髪の赤目と青目の青年が。
「……」
「……まさか、今気づいたのか?」
「うん」
その後教えてもらったがプレイヤーでオッドアイの選択は出来ないらしい。となると種族が違うのでは、と言われたが、種族を選択した覚えがない。オールランダムにしたことを告げたら、烏が腹を抱えて笑い始めたので今度はかかと落としをやってみた。
もちろん避けられた。解せぬ。
その後、烏からレクチャーを受けることになっていたから色々と尋ねた。
「種族は選択できないぜ。種族がわかるのは中級職業についたらなんだよなぁ」
「そうなのか」
「初期職業はプレイヤーの傾向の確認らしくてな、中級職業についてからあるものが渡されるんだ。種族石と呼ばれているがそれは自分の種族を教えてくれるものだ」
「なんかそれによって変わるのか?」
「得意職業に対する上昇補正だ」
つまり、初期職でプレイヤーの傾向を確認し中級職業に上がる時に参考にするのが種族らしい。前衛系の職業はドワーフになりやすいとか後衛系の職はエルフになりやすいとか。
それらの種族はステータスに偏りがあるらしい。人族の場合は何も無い。
人族、不憫なり。
「だが、人族は何でもできるって言うのがある。ステータスが下がることがないからな」
「ああ、それは聞いた。同等職のチェンジのときに発生するステータスの低下が無くなるんだっけ」
例えばエルフ。中級職業の魔導術士をカンストさせたから同等職の火魔導師にチェンジする時、元のステータスが8割になるということらしい。
ただでさえ魔法特化の種族だ。そのままにするとパワーバランスが崩れるのだろう。
だが人族の場合はそれがない。
故に人族が多い所以だろう。
「たまに超がつくほどの希少種族もいるがな」
「運がいい黒鳥はそれなんじゃねぇか?」
「あぁ、竜人族だ」
ニヤリと笑う黒鳥。そこには鋭い牙が目立った。会った時そこまで気にしなかったが頭に二つの角がある。
「筋力値にボーナスがついている」
「そりゃまたすごい」
ひとまず知らないことをしれたのは嬉しい。
これで終わりだろうか?
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