タルト・ブルダルー

 こちらはケーキ屋よりも、パン屋で見かけることが多いかもしれない

 でも、ヴィエノワズリーというわけではなく、ちゃんとしたお菓子です


 構成は単純

 今日においては、タルト生地・アーモンドクリーム、洋梨の3つが揃っていれば、タルト・ブルダルーと認識されることでしょう

 

 実際、タルト生地はパート・シュクレでもサブレでもブリゼでもフィユテでも問題ないです〈たいていシュクレかサブレ〉

 また、クリームもフランジパーヌ〈アーモンドクリーム+カスタードクリーム〉でもアーモンドクリームでもOK

 まぁ、手間と費用の関係上、最近ではフランジパーヌを使っているお店は非常に少ないですけどね


 さて、このお菓子は非常にシンプル

 構成だけで言うなら、タルト・オ・ポワール〈洋梨のタルト〉とまったく同じ

 生地にクリームと洋梨を詰め込んだフィリングして、オーブンで仕上げる焼きっぱなしのタルト(最後、艶出しにナパージュは使う)


 違うのは、洋梨の盛り付け方のみ(厳密にいうと違うけど)

 正直、わかり辛いですけども実は十字架を模しているそうで

 ぶっちゃけ、知らなければ花の形にしか見えませんけどね

 

 何故、十字架を模しているかというと――

 

 誕生したのは19世紀のフランスはパリのブルダルー通り

 考案者はファスケルというパティシエで、名前の由来は当然通りの名前かと思いきや――

 

 それプラス、この通りと隣接していたロレット教会の宣教師、ルイ・ブルダル-に因んでいるとのこと

 

 なんでも、この人物は果てしなく長~~~いお説教をしたということで有名らしく

 きっと、話を聞かされた参列者たちは逃げ出して美味しいお菓子を食べたかっただろうに……と、想像して作られたと云われています


 実際、お菓子の誕生はルイ・ブルダルーが亡くなってから100年以上は経ったあと

 というか、それほどの年月を経てなお、話が長くて有名だったって名誉なのか不名誉なのか……


 とにかく、その逸話を聞いてインスぺレーションが湧いたのでしょう

 だからこそ、敬意を表して十字架を象った

 

 もっとも、十字を描いていたのは飾りつけの砕いたマカロンで、洋梨は半割りにしただけたったとか

 それがいつしか「タルト」「洋梨」「アーモンドクリーム」「十字架」というキーワードだけが広まって、今日の形に至ったのでしょう


 手抜きに違いはありませんが、飾りつけならなくてもいいと考えるのはよくあることですからね

 料理でいうと、親子丼の三つ葉を家庭でも使う人は稀でしょう


 

 では、このタルトに合う紅茶は何かと言いますと――

 個人的にはミルクティーをお勧めします

 

 タルト自体が甘くて重めなので、ストレートで流し込みたい気持ちもわかるんですけどね

 基本的に日本だと、使われる洋梨が缶詰のコンポート

 正直、洋梨の瑞々しさや繊細な甘みなんてないも同然


 また、この手の焼きっぱなしのタルトは手づかみで噛り付くのが至高

 だとしたら、紅茶もマグカップにいれてぐびぐびと飲むべし

 その為にも、熱々のストレートティーではなく、牛乳を入れることで少しだけ冷めたミルクティーが最適(個人的な見解)


 茶葉もモーニングやアフタヌーンブレンド

 ルフナやC.T.C.のアッサムといったお安いモノで充分です


 ただ、フレッシュな洋梨を使っている場合はダージリンやキームンといった繊細な香りを持つストレートがいいかも

 それもホットではなく、冷たいアイスで

 

 他にも、洋梨のフレーバーティーなんかもいい

 あまり見かけないけども、ムレスナティーだと「洋梨のおいしい紅茶」というストレートなネーミングで販売されています

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る