(フランスの)ビュシュ・ド・ノエル
クリスマスの薪を意味する
日本では、ブッシュ・ド・ノエルと呼ばれています
現代においても、アルファベットを見るとつい英語読みをしてしまうことを考えますと、発音が違ったりするのは仕方のないこと
栗を表す『マロン』も、長らくは英語と勘違いされていたようですし……(私の高校では、英語の先生すら間違えていました)
正解は『チェスナット』ですが、私は辞書以外でその表記を見たことはありません
余談ですが、『マロン』も栗を表す仏語としては正解ではないようですよ
正しくは『シャテーニュ』と言うらしいですが……まぁ、普通に生活している限りは『マロン』で問題ないかと
この件に関しては、指摘されるほうがレアです
さて、本題のケーキですが――
実はこれ、構成に決まりはありません
薪の形を模していれば、なんだってビュシュ・ド・ノエルです
よく見られるのは、ロールケーキにチョコレートorコーヒークリーム(茶色ければなんでもいい)を塗って、樹皮に似せた筋目を付けたもの(フォークなどでクリームの表面をひっかく)
一切れ分カットして、切断面が見えるよう本体に接着したのも多いかな(切り株を演出)
伝統に則るのであれば、使うのはチョコレート入りのバタークリーム
飾りにパート・ダマンドで作った
※柊は常緑樹、季節に関係なく緑の葉をつけることから『永遠』『終わりのない』命や幸せの象徴されています
他にも、ぎざぎざの葉がキリストが被らされた茨の冠、赤い実がキリストの流した血を表したり
※茸は種もないのに生えてくることから、『生命の誕生』『不可解さ』『神秘』の象徴。キリストの生誕をなぞらえたシンボルという説も
ちなみに、どうして薪の形なのかと言いますとこれには諸説あります
1、キリストの誕生を祝って、夜通し暖炉で薪を燃やしたことに由来
2、樫の薪を暖炉で燃やすと、一年間無病息災でいられるという北欧の神話をなぞらえて
3、貧しい青年が恋人に贈るプレゼントを買えなくて、薪を贈ったという説
※2について少しだけ補足
北欧のクリスマス――『ユール』では、大きな薪を焚く習わしがあります(ユール・ログ)
森で伐採した木をリボンで飾り、幼い少年を乗せて家まで運んだのち――祈りを捧げたり、神酒や穀物を振りかけたり、チョークで人型やシンボルを書いたりしてから――クリスマス前夜に燃やす(当日の朝という説もある)
その炎が12日間消えないように気を付けながら、人々は周囲で飲み食いしたり、騒ぎながら冬至を祝ったとか(途中で火が消えると縁起が悪いなど、儀式的要素が多い)
これを簡略した(家庭版?)ものが、リトアニアの習わしにもあります
前の年に残しておいた薪を暖炉にくべ、一家団欒を過ごす
その時の灰が、火傷を治す薬や火事や雷除けのまじないとして重宝されたとか(ユール・ログの灰にも同じ効果がある)
……この辺りは、調べれば調べるだけ深みにはまっていくのでこのくらいでおしまいとします
――とまぁ、こういった理由から薪の形を模したケーキは作られたみたい
正確な作者は不明ですが、レシピとスケッチが確認されていることから「ピエール・ラカン」という説が有力
広まったのは、1870年以後とのことです
このビュシュ・ド・ノエルは、おそらく多くのケーキ屋で買えることでしょう
また、家で作ることも充分に可能です
市販のロールケーキを使えば更に簡単
というわけで、今年のクリスマスにビュシュ・ド・ノエルはいかがでしょうか?
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