第47話 39℃の発熱

朝起きた時は元気にしていたのに、10時頃に急にギャンギャン泣きだした。抱いてやっても、泣き止まない。抱っこしただけでも熱いなと思い、体温計で測ってみると39.3℃。春馬が、熱を出したのはこれが初めてだ。6ヶ月で離乳食を始めて2週間。今日は、まだ何も食べていないけど無理をさせてしまったのだろうか?心配が募る。とりあえず、検診や予防接種に通っている小児科に電話をし、確認してから向かった。


時期が、はずれているとはいえインフルエンザの可能性もあるので、外で待つことになった。待ち時間は長かったが、診察はスムーズだった。私が、熱が高いことを訴えるので先生は「髄膜炎だったら、頭のとこが固くなるんだよ。咳も出ていないし、母乳も飲むなら気分が悪いわけでもない。ただの風邪だと思うよ。ただ、明日も熱が続くようならもう一回連れてきて。」

と丁寧に解説した。


風邪や髄膜炎の他にも、赤ちゃんだと膀胱炎でも高熱が出る場合があるそうだ。明日、熱が下がらない時には、このパックで尿を採ってきてと、母乳パックをシールで固定出来るような採尿キットを渡された。オムツの子でも、これがあれば尿を貯めることができるのだという。


心配なことを聞かれたので、離乳食を始めたのが早かったのか聞いてみると、特に関係ないと言われた。「ただ、熱がある時は離乳食休ませてね!母乳は、吐いちゃうわけじゃなければ問題ないから。」

と言われた。


帰宅してすぐ、赤ちゃん用のポカリスエットに解熱剤を溶かし、スポイトで飲ませてやった。母乳やミルクに薬を混ぜるのは、今後のために絶対にやってはいけない。お薬用のゼリーも離乳食初期では使えない。なかなか飲み込んでくれず苦労したが、一度の解熱剤のみで翌日には先生の宣言通り熱はほぼ平熱まで戻っていた。


この月、風邪は一度で済まなかった。不活化ポリオの予防接種を受けた次の日の夕方に38℃の熱。新聞で、不活化ポリオに反応してしまい亡くなった赤ちゃんの話が書いてあったので不安になる。小児科はすでに閉まっていたので、保健センターに問い合わせたところ「受診してもらうしかない。熱があったら、夜間救急に。」

と事務的に言われた。


悩んだ末に、退院時に市立病院で貰った資料を思い出した。15歳未満の夜間救急を積極的に行う施設が市立病院内にあったのだ。とりあえず、今の状況を相談してみようと思い電話をかける。「不活化ポリオでの死亡例は稀ですが、新生児で心配でしょうから熱がこのまま上がるようならいつでも連れてきてください。」

と親身に答えてくれた。


帰宅した夫は、「いつでも車で、病院行けるから安心して。」

と言って、春馬の脇や首を冷やし続けた。すると夜10時には、37℃台まで熱が下がる。鼻水が、喉に回って辛いのか、春馬は夜中10分置きにグズグズ。どうなることかと思ったが、この風邪も次の日にはどこかへ行っていた。


39℃の熱を出した、生後6ヶ月から、春馬は月1,2回ペースで熱を出すようになった。夜間の授乳がなくなり楽になったと思ったら、看病三昧。子どもの発達と共に母親である私にも、新たなる課題が生まれるのだった。







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