第38話 ママになってはじめた3つのこと

若くしてお母さんになったからって、何も出来ないなんて嫌だった。授乳をして、 掃除をして、お昼寝して、散歩に行って、母と協力してご飯を作って。春馬生後3ヶ月頃には、ある程度の生活リズムが出来上がってきていた。私は、次に自分で出来ることを探していた。


まず一つは、やはり料理に力を入れることにした。母がメインを作り、私はサラダや汁物。それでも別段問題はないが、母が血圧が高い時、外出後の食事など、私が一通り出来るに越したことはない。


流行りの塩麹を入れてきのこの炊き込みごはんを作ってみたり、高校の頃アイディア料理コンテストがクラスで行われた時作ったズッキーニやパプリカを使ったカラフルなラタトゥユを作ってみたり。一品で、野菜もたくさん取れて、お腹いっぱいにもなる。そういうメニューを見つけては作った。


特に、この頃ハマったのは山形のだし。きゅうり・ナス・オクラ・しそ・ミョウガ・生姜など夏野菜を塩もみし、昆布と白だしで和えた郷土料理だ。私は、楽に塩昆布を使ってアレンジし、ソーメンや冷や奴にかけてネバネバ感を楽しんだ。授乳でお腹が空くので、間食も増えていた。そんな時も、ごはんにだしと納豆をかけてネバネバ丼はなかなか良かった。


二つ目は、アメブロを始めたこと。芸能人などもやっている無料のブログ。気になったきっかけは、図書館で借りてきた主婦雑誌の副業特集に載っていって面白そうだったから。モニターを頼まれたり、読者モデルとして活動出来たり、アクセスを集められさえすれば仕事にはならないまでもメリットがあるらしい。


赤ちゃんが居ると外出はおっくうだけれど、細切れの時間ならあった。私は、アメブロを作り最初の頃は、一日に2、3回更新するとあっという間にアクセス数は一日500pvを越えた。すぐに、何か起きることはなかったが、コメントはついた。


子育てに役立ったグッズや、最近読んだおもしろい本。下手くそな料理も恥ずかしげも無く載せた。でも、暗いことは書かない。自分なりのルールを作り、とにかく毎日短い文章でもいいから続けた。


三つ目は、新聞を読むようにした。これも、毎日の習慣にした。丸々読もうとすると、一日分さえ一週間かかるが、読み続けていくと自分が読むべき場所がわかってくるのだ。曜日によって、特集も違う。私のこの頃の興味は、子育てと仕事。


ポリオの不活化ワクチンが出るか出ないかの境目で、選択を迫られていた。そんな話も、ママ友と公園で話し合っても話しが平行線。新聞が役立った。昔ながらのやり方で、早いうちにオムツを取る方法を推奨するオムツなし育児にも興味を持った。川崎病や腸閉塞などの子どもの体験談も、参考として読み込んでいた。


就活の話しは、ブラック企業の見極め方、お祈りメールなど、専門や短大卒の友人からのタイムリーな情報の方が役に立つ。それでも、就活中の子どもとの接し方なんかを読むと、学生結婚の夫の就職にも転用できそうな内容がてんこ盛りだった。


そして、予定外の成果もあった。新聞に載っている懸賞は、応募期間も短いため当たりやすい。産後冴えない日々が続いていたが、いいこともあった。春馬用に応募したどうぶつの仕掛け絵本が当たった。もっとすごいことには、苦手なクロスワードパズルで、5名しか当たらない1万円の商品券が当たった。育児をがんばった私へのご褒美みたい。すぐには、使えない。特別な何かを買うために取っておくことにした。


私は、私なりにやるべきことと楽しみを見出していた。忙しいことを理由になんてしたくない。春馬は、保育器にはいた頃と見違えるほどどんどん成長している。ママだって負けていられないのだ。







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