第7話 夜間救急へ

妊娠2ヶ月の頃に一度だけ、腹痛が酷く夜間救急にかかったことがある。どうしても痛く、普段生理痛くらいでしかお腹が痛くなることのない私は焦って、妊婦の夜間救急を受け付けている病院へ彼と向かった。


結局、エコーでは何もわからなかったが、初期だと子宮外妊娠もありえるし、様子見で一夜をその病院で明かすことになる。妊娠中は、普段と違い便秘にもなりやすい。赤ちゃんの自然な成長に伴う痛みも、ないとは言えないのだそうだ。エコーが鮮明になった現在でも、まだまだ医療では解明しきれない世界なのだ。


今回、夜間救急へと向かったのは、そんなレベルの話ではなかった。鼓動が早くなり、心臓が苦しくなった。走っている時のような、息が切れそうなドクンドクンという感じが横になっても続く。変な汗が出て、不安でたまらなかった。


私には、検査で引っかかるだけの不正脈がある。妊娠中の弱った今、それが出たのだ。

家族に、市立病院に連絡を取ってもらい夜間も当番制で勤務している循環器の先生に診てもらうことになった。


到着後、すぐに心電図を取ったが、いつも通りの不正脈は確認できたが、それ以上のものは、見つからなかった。簡易な血液検査などもしてもらったが、脱水症状が酷いということしかわからなかった。


そのことを告げに来た若い女医は、手首にパワーストーンを何重にも付け、手には大きな教科書を常に携帯していた。研修医であるのは、その不安げな表情や落ち着かない仕草、そして藁にもすがる思いのパワーストーンからもこちらに伝わってくる。そして、脱水症状のせいではないかと伝えるだけのためにいちいち教科書にチラチラ目をやる。患者の心を逆なでした。


この女医に会った、長い一夜を境に私は何度も、心臓の異常を訴え、動悸に悩まされた。そして、特に酷い時には痛みで失神した。それでも、お腹の子は、問題なくすくすく育っていた。そして、出会ったのだ!私を勇気付ける、心強い産婦人科医に。

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