第4話 義母になる人

私は、できちゃった婚で、しかも学生結婚で…親たちに呆れられることは、承知していた。もっと、親として感情的に私たちを叩くなり、殴るなりしてくれても構わなかったようにさえ思う。それはそれで、𠮟咤激励と前向き受け取ったことだろう。


でも、できちゃった婚が、扶養の能力がない私たちが子どもを産むことが『常識としてありえない』という以上に、何に怒ればいいのか親たちにも説明がつかなかったのだろう。結局、核心には至らない、上滑りの家族会議が終わった。


それで終わったなら、私もそれはそれとして進んでいったことだろう。でも、そうは行かなかったのだ。


後日、彼の母親が、父が居ない時間帯を目掛けて家にやってきた。何を言い出すのかと思えば、「結婚していないのに、行為に及ぶなんてありえないんじゃない?私は、そんなことはしなかったけど。まぁ、私たち世代でも私は友達に化石と呼ばれるくらい固いタイプだったんだけどね…」

と聞きたくもない話しを続けてくる。父の前では、建前で謝ったくせに。母が、大人しいのをいいことに言いたい放題言う彼の母。


「それに、私はずっと心配していたのよね。大学の単位だって落とすようになって。」

言っておくが、付属高校から大学受験を経験せずに、楽したから受験組と足並みが揃わないだけで、私のせいにしないで欲しい。私と付き合ったくらいで単位落とすようなやつなら、この先も一緒に暮らしていけるのか心配だ。今なら、はっきりと具体的な例を挙げて嫌味を言って差し上げただろう。


でも、妊娠中で頭がボーッとしている私には何も浮かばなかった。ただただ、はじめて彼の家に遊びに行った時、あんなにも丁寧にもてなしてくれた人が実はこんなにも問題のある人だとは思わなかったのだ。つわりと相まって気分は、最悪。私は、話しを最後まで聞き遂げられなかった。


彼は、私を追って寝室に付いてくる。「なんで何も言い返さないの?」

私は、何が悲しいかもわからなくなるくらいたくさん泣いた。泣いて泣いて泣き疲れて、眠った。そうしないと、前に進めなかったから。

でも、理不尽なのはこの義母になる人だけでは終わらなかったのだ。

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