第44話 殻の外④

 ルナが両手を上げて求めてくる。

 ルージュはそれに答えて顔を近づけていく。


 また口付けをする。

 濃密なキスだった。

 ルージュは舌をルナの口の中に入れる。


「ん……」


 舌と舌を絡め合う。


 ルージュはルナの後頭部を抱いて、さらに激しく唇を押しつけた。

 するとルナの両腕がルージュの背中に回される。


 二人は性的衝動を求め合った。


 唾液混じりの吐息を二人で聞かせ合う。

 くちゅくちゅとエッチな咀嚼音だけが部屋に木霊する。


 ルナの口の中の体温を感じる。互いの唾液が混ざり合っていく。

 舌を絡めていると、秘部を押しつけ合っているかのようだった。


 ルナを感じる。体温を、体液を。

 感情が淫らになっていく。


 気が付けばルージュの陰部からは愛液が漏れていた。それが太股を伝ってベッドに落ちる。


 そしてようやく唇を離す。

 糸を引いた涎で二人は結ばれていた。

 ルナの目がトロンとしている。


「相棒は私のこと、好き?」

「……初めは生意気だって思ってた」


 ルージュがルナの乳首に舌を置く。さらに左の乳房を手で円を描くようにマッサージする。

 ベロの先からルナのピンク色の突起物を感じた。

 そしてさらにそれを吸うように引き寄せる。


「こないだのお返し」

「ひゃん!」


 ルージュはピンと立った乳首を甘噛みする。

 ルナはビクンと体を揺らす。


「でも今は違う」

「どう違うの?」

「……私も貴方が欲しい」


 ルージュはそう言ってまたキスをする。

 濃密に舌を押しつけ合う行為は、二人の心を近づけ淫靡な高揚感を与えた。


「嬉しい」


 ルナは涙目になりながら、そう話す。


「その言葉だけでイっちゃいそうだよ」


 そんなルナがとても愛おしかった。

 ルージュはルナの首もとに口付けをする。後が残るほど強く吸い付けた。

 ルナに少しでもルージュの跡を残したかった。


「はあ、はあ――」


 ルージュも興奮して息が上がっていた。太股は自分の愛液でびしょびしょである。


 それはルナも同様だったらしい。

 ルージュが体を下げて、ルナの陰部に顔を近づけると愛液で潤っていた。

 ルナの甘い匂いが鼻をくすぐる。


 腕でルナの足を広げさせる。


「やっぱりこのポーズ、されると恥ずかしいな」


 ルナは苦笑いのような表情となった。

 ルージュはそれを見て微笑ましく思う。


「すぐに慣れるわ」

「これからもしてくれる?」

「当たり前でしょ」


 ルナの性器の周囲に垂れた愛液を、ルージュは舌で掬い取る。

 さらに舌をそのまま陰部に入れた。


「んん!」


 ルナが足を震えさせる。

 まずはその下部を攻める。性感帯に近くてしかし微妙にズレた場所に刺激を与えた。


 あえてじらす。


 快感を我慢するルナの顔は可愛かった。それを眺めていると、ルージュの陰部までキュンキュンする。

 だがとうとう舌を性器の上部にある性感帯の長、陰核まで持って行った。


「あぅ!」


 一舐めでルナは体を淫らに反応させる。

 それだけで絶頂してしまっていた。


 ルージュはあふれ出てくる愛液を吸い取る。

 さらに舌を陰核に当てた。

 それを上下に揺らす。


「好き、ルージュ! イっちゃうよ!」


 ルナが大きく太股を左右に動かす。

 それが愛らしくて、ルージュの舌の動きは加速していく。


「もう駄目、もうイってるよ、ルージュ!」


 その言葉を聞いてもルージュは舌の動きを休めることはしなかった。

 ルナの体が跳ねる。


「あぁ!」


 最後に大きく足を狭めて、絶頂の波を越えていった。

 ルナは足をだらりと広げ、膣を痙攣させる。

 口の端からは唾液を垂れ流し、潤んだ目をしていた。


「ルナ」

「……もう一回、キスして?」

「いいわよ、何度だって」


 ルージュはせがむルナに口付けをする。

 それは柔らかいタッチで、性的衝動ではなく愛を確かめ合うものだった。


 ルージュはベッドから立ち上がり、床にあるスリッパを履く。


「汗かいちゃったからもう一回シャワー浴びてくるわ」

「それなら私も」


 ルナが「エヘヘ」と笑顔で手を繋いでくる。

 ルージュはそんな彼女に少しだけ影が見えた気がした。

 いや情事の最中、感じていたことがある。


 ――何がそんなに不安なのかしら。


 ルナはルージュを求めていた。


 情事の時に甘えたがりになる人間は珍しくはない。ルージュも女性と寝た経験しかないがそれは確実に言える。


 しかしルナのそれは『甘える』を通り越してむしろ、何か縋るようなそんな雰囲気を感じてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る