第2話 《HOP》の生!(4)
「もぅさぁー! ホントーに、やってらんないって感じでさぁ~」
わたしは今、【
このリラクゼーション内にある温泉施設はVRシステムにより日によって様々な模様替えを行っている。今日はジャングルをイメージした雰囲気らしく、様々な木々が温泉施設内で沢山に生い茂っていた。手で触ると、ちゃんと感触まであったりする。
他に、動物なども居て。ゴリラやサルに、何故かライオンまで一緒に居る。
ジャングルにライオンという組み合わせは、何か間違ってクサイ気もしたが……まあこの際、細かいコトは気にしないで置こう……。
先日の、『温泉内にワニ』よりは遥かに可愛気があると思えるからね? いくら相手がVR映像とは言え、わたしはこれまでに2・3回そのワニに食べられていた……。正直いって、いい加減にして欲しいと思う! 一体、このわたしに何の恨みがあって──っ! ハァハァ!! ぜぇぜぇッ!!!
あ、まあ……この話はここまでで…。
因みに、この施設は日によって芳香も変わるようになっていて、今日は優しいリラックス出来る感じの甘い香りを施設内に優しく漂わせてくれている。
そのVRシステムで演出された木や花々が放ち出す香りをクンクン♪と嗅いで、時折『ニヘラ♪』とわたしは笑顔になる。
なんだか今日の香りは、優しい感じでとても好きになれそうだ。
そんなわたしの様子を苦笑いながら見つめ、友人の一人であるエリ・ランカスターが口を開いてきた。
「ハハ♪ 相変わらず喜怒哀楽が愉快だね、ハルカは。見てて面白いし、飽きないよ」
「相変わらずって、どういう意味??」
「あ……え~っと、そうだなぁ? 楽しいヤツだ、って意味かなぁ~…? ハハ♪」
「うんうん! そう言う感じで丁度合ってるんじゃない? ねね、それよりもハルカ! それでそのあとどうなったの??」
「え? あ…ぅん。それがさぁ~っ……」
何だか誤魔化された気がするけど、まあ良いか?
わたしは、その時の事を思い出す──。
───僅か数時間前の回想───
「──ぬわっ! なんでそこで、いきなり叩くんですかあー!」
「今はお前みたく冷静に、
その間に事故なんか本当に起こってみろよ! お前はそれに対して、責任が取れるのかよ?」
「あ……それは確かに、そうでした……」
と、思わず謝ってはみたものの。
「──あ、ちょっ! そこ、待ってくださいよぉおお──ッ! 現場に指示を出すのも、その判断を的確に下すのも。全部、本来なら、神垣先輩の仕事の筈じゃなかったですかあー!?
わたしにはまだ、そんな権限なんてありませんよッ! 精々が今みたいな『意見を述べ、その後の判断を仰ぐ』までです!」
一瞬、思わず謝り。しかも反省しそうになったけど、よくよく考えてみると『何か間違ってクサイ……』なんてレベルの話しではなかった。
わたしは神垣先輩を間もなく横目で半眼に見て、両腕を前で組み、その上に顎を軽く乗せ、澄まし顔で口を開く。
「何よりも先決だ、なぁあ~んて本当に思うのなら。先輩がそれこそ迅速かつ、速やかに対応するのが。本来の正しい『対応責任者たる者の、あるべき姿』ってモノなんじゃあ~ないんですかぁあ~?」
───ゴンンッツツ☆!!
「──ちょっ!? い、痛いですよぉー! なんでまた、いきなりそこで叩くんですかあーっ!!?」
わたしは頭を押さえつつ、半泣きしながら抗議した。
「あ、今のは悪りぃ……なんだか普通に、『生意気な奴だなぁあ~?』と思ってさ……ついつい手が勝手に、思わずなっ。
ハハ。悪かったよっ♪ わりぃ~、ホントごめん! だからそう怒るなって!♪」
「…………」
───ここで、回想終わりっ!───
「って、コレよぉ~。ちょっと信じられるぅ~?」
「ハハ。確かにそいつは、ちょっとひっどいなぁ~。一言でいうと、パワーハラスメントって奴だろう、それ?」
「あ……そだね。そんなにヒドイ上司なら、ハラスメント課に報告してみたらどぅなの?」
「それならもぅ、やってみたよ。ところがさぁ~……」
「ところが、なに?」
「それがねぇ~っ……」
───そんは訳で、再び回想っ!!───
あんまり腹が立ったので、入所してその週の内に……つまり、かなり前になるんだけど。ハラスメント全般を取り扱っているハラスメント課に相談しようと問い合わせてみた。
ところが!
「え? あの神垣ミヤから『パワハラ』を受けてる、ってぇ~? っていうと、もしかして君が例のアレかい? 噂の《未来ハルカ》ちゃん??」
──え?? どうして、このわたしのコトを???
「はぁ……まぁ、当たりですが。どうして分かったんですかぁ?」
『ちゃん』は余計かなぁ~? とは正直思うけど、今はそういう問題じゃない気がする。
一応ハラスメント課との対応は『匿名扱い』なので、こちらの個人情報は相手には判別出来ない仕様になっている、筈なのだが……。
「あ、いやな! 実は、ミヤの奴が先日、『今度、可愛い部下がうちに来るんだぞぉ~っ♪』って凄く喜んでたんでなぁ~」
「………へ?」
……――うええぇえ──ッ??
うそっ!! ホントに???
思わず私は頬が赤らみ、少しだけ『嬉しい』なんてその時は思ってしまった。が、
「それが数日後には、『ぜんぜん! 可愛気がなかった!!』ってブツクサ言っててなぁあ~。ハハハ♪ こちらとしちゃ爆笑ものだったんだが。その時に君の名前も聞いて知っていたものだからね、ついついな───って、あっれぇえー???」
わたしは頭に来て、思わず即効で回線をいきなりからブチ切っていたのである。
──そんな訳で回想終わりっ! はぁ~…──
「ハハ♪ その気持ち、物凄く分かるなぁ~」
「そう来られると、参っちゃうよねぇえ~? 確かに、思わず回線も切りたくなるわ♪」
「そう、なんだけど……それ以来、相談相手をすっかりと無くしちゃってさぁ~。
もぅ私にはエリとチャムとここのリラク施設だけが、この私に残された唯一の癒しの空間だよぉおお~~~」
わたしはそう言いながら、友人であるエリ・ランカスターとチャム・ホワイトニングに半泣きしつつも抱きつこうと近づいていた。
──ら!?
何故か突如そこに居る筈のない、例の温泉ワニが大口を開けつつも現れて、『パクン♪』といつもの如く、美味しそうに一気飲みっ!!?
しかも楽しげに、モグモグと捕食行動よろしく……喰われてしまった…。
いきなり自分の周りが真っ暗なので、正直いって今なにが起きているか、その時のわたしにはさっぱり分からなかったくらい。
これで3・4度目?になる……。
──もう泣きたいっ!
そんなこんなでリラクゼーション施設での一時は終わり、施設から出て、友人二人とわたしは笑顔で手をふりふり別れ。社宅へ帰還し、そのまま倒れるようにして眠り。意識も遠のいて暫らく経ったあと、《ヴィイーン!ヴィイーン!》と重警報音の様なスマホの着信音が鳴った。
この着信音からして、管理室関係者からのものだと分かったので、慌てて直ぐさまスマホを取り確認する!
……と、着信名に神垣ミヤと表示されていた。
「………」
わたしは思わずそれを黙って見つめてしまう。因みに、神垣先輩の名前の後に『アカンベー』の舌を出した絵文字つき。悪意はある。当然でしょっ?
時計の針を徐に見ると、信じられないことに、深夜の2時半過ぎだった。
「ハハ……有り得ない…し………」
わたしはそれを確認し見て、フッ…と半眼に呆れ顔で笑みを向けスマホを切ると再び寝た。
しかし、間もなくヴィイーン!ヴィイーン!再び重警報の様なスマホの着信音が鳴り響く。
着信名を、『いい加減にして欲しい!』と思いながらも一応確認してみると、やはり着信名は神垣ミヤと表示されていた……。
これで出なかったら、またもや明日の朝、面倒臭い感じで絡まれるのだろう。そう思い、それで仕方なく出ることにした。でも、どうせ大した用事でもないに決まってる。
「……はぁ~ぃ。こんな夜更けに、なにか用事なんですかぁあ~? 神垣先輩」
『「なにか用事なのか?」じゃないだろう!! さっさと出ろよ、ばかっ!』
――バ、バカって……!!
どうせ大した用事でもないクセして、なんて横暴な言い方なんだろう……。そもそも今は深夜の2時過ぎとかなのにさ! この人には、常識というものがないのだろうか?
「はぃはい。すみませんでしたぁー。それでぇ~用事はなんなのですかぁ~?」
くだらない用事だったら、即効で切ってやるんだからねっ!
『仕事だ! 早く管制室へ来い!! まさかの、このチャリアビティーポリス施設群内で《重トラブル発生》だよ!!』
「──え!? ぅわあぁッ、ハイ!! 行きます! 直ぐに行きますのでッ!!!!」
わたしは思ってもみないコトにびっくりして、即効で飛び起き上がり、管理局の制服に着替え、適当に髪も
こういう時には本当に、途中途中の《セキュリティーゲート》が邪魔にさえ感じてしまうから参ってしまうよ〰️!
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