夢は叶った!?(2)
《【
具体的には、
《【HOP】バイカリ》=《HOP施設群》
は同意語として言い表されていて。この中の《バイカリ》とは、つまり施設群の中の一つの《名称》ということになる。
これは、都市と都市とを、繋ぐ駅。
または、国と国とを繋ぐ、国際空港のようなものだと思ってくれたらいい。言うなれば《HOP施設群》は、星系と星系とを繋ぐ唯一超えられる〝架け橋〟のようなモノ。
そのHOP施設群は現在、合計64施設ある。そしてその《【HOP】ゲート》の総数に至っては、168基にも及び。予備ゲートも含めると、200基を超えるとも聞いている。何しろ大変な数ってこと。
わたしは今、HOP施設群の中でも最大規模を誇る《【
ここは、それら全ての《【HOP】ゲート》を含む施設を監視・管理している施設。
もっと分かり易く言い変えると、人類が現在足を踏み入れている宇宙全体の動きを、ここで一括管理している『最重要中央施設』っていうことになる。そんな凄いところへ、わたしは就職し、配属されたのだ。
この配属は、わたし自身の第一希望だった。その希望が見事に叶い、通ったんだから、気持ちもそりゃあー弾む! 期待だって、膨らませるな、ってことの方が寧ろ無理なほどに。
その、ここでの第一歩となる、そして一番最初の社会人としての先生となるだろう人の前に立ち。わたしは改めて気持ちをシャンと引き締め、背筋を伸ばし、息を吸い込み、気合の思いでその口を開いた。
「おやすみのところ、大変申し訳ありませんっ!!
わたくしはこの度、新しく配属されました、未来ハルカです! 以後、どうぞよろしくお願い致します!!」
「ン? ああ……アンタかい。例の、『噂の新人』ってのは」
「へ? 例の、噂の……って??」
椅子の上で眠り、顔の上になにかのマニュアルみたいなぶ厚い資料を載せ眠っていた神垣ミヤ先輩は。その資料を目の前にある机の上に落ち着いた様子でそっと置いて、それからこちらを見るなりそう言って来たのだ。
「ん? なんだ、流石のアンタでも気になるのかぁ~? そんなつまんない噂」
「そ、そりゃあ……気にはなりはしますけど」
そんな言われ方をされて、気にならない方が寧ろ可笑しいと思う。
そもそも、その流石のってどういう意味なのか、それだけでも気になっちゃうよ。
そう思う間もなく、神垣ミヤ先輩は頭を掻きながら面倒臭そうに口を開き、教えてくれた。
「首都星ファシスの都心部生まれで、両親共に連合公務員。しかも両親共に、お偉いさん、ってね。
3歳の時に、脳内に『IRチップ』の埋め込み手術を受ける。IR値300、IQ値180か……すげぇーモンだなぁ~。一度見て覚えた物は、大抵忘れはしない、ってかぁ~?
そんなバケモンが何だって、大学も大学院すらも軽く飛び越え。挙げ句の果てに、ここのチンケな専門学校なんかに行って。しかも、開発部とかならともかく、こんな退屈でつまんない管理部なんかに配属希望したんだろう?つぅ~ことでな。
ここの暇人共の噂の対象なんだよ、今じゃアンタは」
「べ、別に……良いじゃないですか! わたしは、ここで勤めるのが子供の頃からの夢だったんです!!」
そうだ……あれは、子供の時。わたしがまだ、八歳くらいだったと記憶している。
普段から仕事で忙しく、なかなか構ってはくれない両親が唯一、一度だけ旅行に連れて行ってくれたことがあったのだ。
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