第5話〜異世界の正体〜

見つけた裏サイトにかかれていたのは、こんなものだった。


「shineは、ある1つの異世界である。

一見ただの異世界だが、ただものではないのがshineである。


shineは、簡単に言うと、死後の世界である。」


「shineは、私たちの言う天国であるが、それは天国の中でもトップクラスのものである。


そして、shineには様々なが存在する。

・芸術の国

・音楽の国

・スポーツの国

・本の国

・動物の国

などなど…


その様々な分野で分けられた国は、その分野にあった者だけが招かれる。


そして、その国の国民となった時が、死ぬ瞬間である。」




何なんだ。

shineが死後の世界…?

国民になった時が、死ぬ瞬間?


そういえば、初めてアンさんと話した時に言ってたな。

「事故にあった」って。

ということは、アンさんも…?


ありえない。

この私が、死ぬ?

どうして?


涙が止まらなくなって、思わず悠介にこんなメッセージを送ってしまった。

「今すぐ来て。」


しばらくして、家のチャイムが鳴った。

ドアを開けると、悠介が立っていた。

「ごめん。部活があって…隣なのに時間かけたな。」

目の前に悠介がいる。

嬉しくて、でも悲しくて、ドッと涙が溢れ出す。

「どうしたんだよ?お留守番してたら寂しくなっちゃった子供ガキかよ。赤ちゃん返りか?」

バカ…

私の涙が枯れるまで、悠介はずっと隣にいてくれた。

涙が枯れて、泣き疲れて、ぐったりとしている私の頭に、悠介は不意に手を置いた。

「何があったか知らねーけど、1人で抱え込むなよ?」

「…悠介。もし…。私が…。」

これは、夢なのかもしれない。だからこそ、この夢を話してみよう。

「死んじゃうとしたら、どうする?」

夢は夢で。そう思ってたのに。

悠介は驚いた表情で小さな声で言った。

「誰がそんな事お前に言ったんだよ。」

予想外だった。

「…じゃあ、やっぱり、私、死ぬの?」

悠介はハッとして

「バッ…バカじゃねーの⁉︎お前、まだピンピンしてるってのに、死ぬわけねーだろ⁉︎」

「お、お前、どうかしてるわ。おばさんが帰ってくるまで俺んちに居ろよ。母さんに頼んどくから。」

悠介の動揺のしかたを見て驚いた。

やっぱり、私は死ぬのかな。

なんで、私は、悪いことなんてしていない。なのになんで死ななきゃいけないの⁉︎

そうだ。あの通り魔が身代わりになってくれたらいいのに。

ーもしかして、通り魔にあったから、そのせいで死ぬの⁉︎ー

今度は怒りがこみあげてきた。

もう一度だけ、shineに行って、最初に会ったあの女の人に聞かなければ。

「悠介、私はもう平気だから。大丈夫。」

「え。本当に大丈夫?」

「うん。」

「じゃあ、俺、帰るよ?宿題やってねーから。何かあったらまた連絡しろよ?」

そう言い残して、悠介は帰って行った。

よし。shineに行こう。

ポケットからを取り出し、床に落とした。

辺りが真っ白な光で満ちていく。


そこは、アンの家だった。

「アンさん」

返事がない。

家中を探すが、アンはどこにもいなかった。

私は外に出てみた。

空を見上げると、お城が見える。

あそこに行けば、あの女の人に会える。

直感でそう思って、お城がある方向に私は走り出した。

私は、真実だけが知りたい。

傷ついたって良い。

私自身に起きている事を、私は周りの誰よりも知らない。

それだけは、嫌なんだ。

ー私は一体どうなるんだー

泣きそうになりながら、人の間を縫うように一心不乱に走った。

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