第3話 〜異世界新生活〜
訳のわからない異世界に来てしまった私は、仕方なくこの現実(?)を受け入れる事にした。
顔を上げると女の人が優しく微笑んで言った。
「友莉さん、安心して下さいね。貴女はいつでも好きな時に元の世界に戻れますから。」
そうか、ならばこの世界を楽しむべきなのだろうか。
その考えを読んだかのように女の人はうなずき、私を町に案内した。
私は、まるで、始めたばかりのゲームみたいだな。と思った。
色とりどりの花が咲き誇る道を進むと大きな門があり、そこをくぐると住宅が立ち並び、緩やかな傾斜を登って行くと、頭上に大きなお城が見えて来て、目の前には商店が並ぶ。
人もたくさんいて、皆優しそうだった。
そして皆、女の人と親しそうに挨拶したり、話をしていた。
しばらく歩いて行くと、女の人は突然立ち止まり、私の方を見て、言った。
「ここが貴女の家。同居人もいるわよ。さあ、中に入って。」
そして煉瓦造りのおしゃれな建物のドアを開けた。
中に入ると、綺麗な長めの金髪の女性がいた。瞳は青く、お人形みたいに綺麗な人だ。
「初めまして。私はアンよ。友莉ちゃん、貴女の事は彼女から聞いてるわ。今日からよろしくね。」
声も綺麗だ。
何だか照れ臭いけど
「初めまして。こちらこそよろしくお願いします。」
と挨拶をした。すると女の人は、
「じゃあ、よろしくね。」
と言って外へと姿を消した。
私は、何をしたら良いのか分からずその場に立っていると、アンが手招きして言った。
「とりあえず、お茶にしましょうか。」
私はアンのいる木製のテーブルの席についた。
そこには、綺麗な飴細工が飾ってあって、何とも言えない美しさだ。
するとアンは
「私もね、友莉ちゃんと同じで、違う世界から来たの。正直言って、私も最初にここに来た時は訳が分からなかったわ。shineって何⁉︎おかしいよね⁉︎って。」
そう言いながら、マグカップを2つと小さな陶器に入ったミルクと砂糖、そしてお菓子を持って来た。
「私はね、前にいた世界で飴細工職人だったの。でも、事故にあってそれが出来なくなって、絶望して、気づいたらshineにいた。ちょうど友莉ちゃんと同じ感じかな。」
ふーん。
え?
今、shineって言ってた?
「shineって、ここってshineなんですか⁉︎」
思わず立ち上がってアンに聞いた。
「そうよ。あら、友莉ちゃんってshineの事知ってたの⁉︎誰かがここに来た事があるとか。」
え?じゃあ、咲希ってshineに来た事があるのかな…?
「あら、そろそろ戻らないといけない時間じゃない?友莉ちゃん。」
戻らないといけない時間?
その途端、辺りが眩い光に包まれていった。
気がつくと、そこは自分の部屋のベットの上だった。
驚いて飛び起きると、時計は午後の6時を指していた。
たしか、学校を出た時は3時半だったから、鍵を拾った時はまだ4時にもなって無かったはず。
じゃあ、あれは幻覚で、家に帰ってきてから私は寝てたのかな…?
ん?おかしいな…
自分の足で家に帰ってきた覚えはない…
いやいや、きっとボケたんだ。
私の頭がおかしいんだよね。
制服だったのに私服になってるし。
………………。
だめだ。頭がこんがらがってきた。
考えるのやめよう。
「ただいまー。」
お母さんが帰ってきた。
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