第26話 買い物


「あー、のぼせた~」

 お風呂で寝ちゃってた。

 顔がお湯に浸かったところで、起きた。

 危ない危ない。


 パジャマに着替える。喉が渇いたので台所にある大きな壺に入っている水を飲んだ。


「ぐびくび、ぷはー!」

 ウマイ!

 体が潤ったので、畳にごろごろと転がる。ああ、幸せ。

 転がりながらヤマトの様子をうかがう。

 ヤマトはまだ、ゴゾゴゾと荷物を整理している。

 テレビもないし、退屈だ。

 畳の臭いを嗅いでいたら眠くなってきた。このまま寝てしまおう。


「おやすみなさーい……ぐーぐー」

 

 ……寝ていると、体に毛布のような物を掛けられた気がした。

 とても気持ちいい……。

 


「………………おい、おい起きろヒナミ」

「ふあ?」

 眠い……ん? 目の前にヤマトがいる。


「ふぁー……どーしたの?」

「起きろ、朝だ」

 ヤマトに言われて外を見たけど、まだ暗い。


「もー! まだ夜じゃん、もっと寝かせてよねー」

 いつの間にかあった毛布の中に潜り込む。

 二度寝しなくては。


「起きろ……」

 ヤマトの声が聞こえたと思ったら、突然足を掴まれ、毛布から引きずり出された!


「ギャー、ちょっと! なにするのぉ!」

「……起きろヒナミ」

「まだ夜でしょお! ねーかーせーてー!」

 私は足をバタバタさせて抗議する。


「……前にも言ったと思うがな、今は朝だ。目を覚ませ」


 んん? ヤマトの言葉で気づいた。

 そういえば、は朝でも暗いんだった。


「あー……おはよう、ヤマト」

「おはようヒナミ……どうかしたのか、気分が悪そうだぞ?」

 ヤマトが心配そうに聞いてくる。


「あー……別にー」

 朝も暗いなんて慣れないし。太陽が無いなんて、変で、寂しい。

 でもヤマトが悪い訳じゃあないし、何だかなーって気分になる。

 

「体調が悪いなら、今日は休むか?」

 ヤマトが聞く。 

「ん?」

 お、もしかして気遣って貰ってるのかな私。何だかいい気分。もし休むって言えば、休ませて貰えるのかな? 


「んー、体調悪いし休むー」

 トライしてみた。ちなみに体調は悪くない。


「そうか、では家でゆっくりしておれ。俺は買い物に行ってくる」

 お、やったー。お休みをゲットした! 

 これからもどんどんトライしてみよう。


「……うん、いってらっしゃーい」

 よし、ヤマトが出掛けたらまた寝よう。

 ゴロゴロするのだ。


「ところで、ヒナミ。来れないなら着物の柄で文句は言うなよ? あと、装備品は俺が見立ててやるから心配するな。すべて一級品にしてやる、期待して待っておれ」

 ヤマトが頷きながら言う。


「……へ? 塔に行くんじゃないの?」

「いや、露天通りへ買い物に行く。ヒナミが取ってきた月光石も換金せねばならんしな」 


 なんですって、お買い物ですと!


「私も行く!」

「……いや、だが体調が優れんのだろう? 無理をせんでも良い」

「えっとぉ、えと。塔は無理だけど、お買い物なら行けるよ! それにヤマトも好きなもの買ってくれるって言ってたでしょう。行きたい行きたい!」


「そ、そうか。ならば用意しろ」

「はーい!」


 やったー、お買い物だ!

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