第24話 帰宅
「ぜーぜー、ぜー」
階段がきつい。
この石、本当に重たい。腕がプルプルしてきた。
でももうすぐヤマトのいる場所につく。
「やーまーとー、これ重い! おっもい! 手伝ってー」
ヘルプコールしてみた。
「……ヒナミ、重いだと? 一体何を持ち帰って……な、なんだそれは!?」
階段の上からひょっこり顔を出したヤマトが大声を出した。
「いーしー! ほら、ほら光る石だよー。これで良いでしょう?」
私はヤマトに向かって石を掲げる。
「ヒ、ヒナミ。それは、その先にあったのか?」
「ぜーぜー、え! なに、それより早く手伝って! おーもーいーのー!」
ヤバイ、腕と足が限界。
「お、応」
ヤマトが階段を降りてくる。そして、急に立ち止まった。
「もーぉー、何やってんの! 早く手伝ってよぉ」
「……いや、俺は手伝えん。えらいモノを連れてきおって」
そう言いながら、ヤマトは素早い動きで上に戻った。
____おおお 怨おお おおぉん怨おおおん! 怨怨おおお呪呪呪ん
「ええ?」
意地悪? ここにきて、意地悪されるの?
「早く上がってこい、ヒナミ!」
「はぁ? だから、おーもーいーのー!」
石はそんなに大きくないのに、持つとすごく重い。
私は頑張ってみたけど、足はヨタヨタとしか進まない。
「ぜーぜー、ぜー」
辛い、疲れた。でも、後少しで登りきる。
ヨタヨタ、ヨタヨタと進む。
「ぜーぜー、ぜーおーりゃーー! …………到、着!」
つきました。上まで来ると風の音が静かになった。
「……ご苦労だった、ヒナミ」
ヤマトが私が持っていた石を持ち上げる。
ひょい、という感じで持つからなんか悔しい。そんなに力があるならもっと早く手伝って欲しかった。
「こんなに大きい月光石……」
ヤマトが呟く。
「はー、疲れたー。それ重すぎるよね」
「……ヒナミ、帰るぞ」
「え? お家帰るの?」
「そうだ」
「ヤマト、もうちょっと先まで進むって言ってなかった?」
「そうだか、こんな物を持ち歩いていたら、何に襲われるか分かったものではない」
ヤマトが、風呂敷を取り出して、光る石を包む。
「ふーん、それ危ないの?」
「……価値が高すぎてな」
「え! それってお高いの? じゃあじゃあ私ってお手柄?」
「ああ、大手柄だ」
「やたー! じゃあ何か買って、買って?」
上目遣いでお願いする。少しウルウルするのがポイント。
私の必殺技だ。
これをやるとお父さんはすぐ落ちる。
「これ程の物を見つけて来たのだ……何でも買ってやろう」
よっしゃー! ヤマトにも効くな。
私はガッツポーズした。
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