第5話 階段


翌朝、まだ6時半だというのに

いくらか明るい校舎を見上げながら門をくぐる。

渋滞に巻き込まれると遅刻の可能性がある私の交通事情はなかなか厄介で、

確実に登校するには一便早いバス、つまりこの時間に到着してしまうバスに乗るほかに手はなかった。


こんな時間にもかかわらず既に3人ものクラスメイトがいる私のクラスはなんなのだろう…。

だがやはり私に話しかけてくる人はいない。

ぎこちない様子がこちらには伝わるがそれには知らないふりをする。

結局私が口を開いたのは晴香、そして恵理が登校してきてからだった。


おはよう、の声に私は顔を上げる。晴香と恵理がいた。この瞬間が私は好きだ。やっといつもの日常が戻ってきた、そんな気がして自然と顔がほころぶ。おはよう、と返した。




放課後、晴香と恵理からの誘いに待ったをかけ、私は委員会へと足を向けた。

私たちが普段過ごす階から1つ上、そこに委員会の教室がある。

多少の緊張を抱えて上っていく、その時だった。

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