第4話 一通のメール
突然のバイブ音。
スマホに目を向けるとそのホーム画面には
「一件の新着メールがあります」との表示があらわれていた。
最近メールを使う機会は少ない。メールマガジンやお知らせメール、そして一学年上の先輩たちから送られてくるものしかほぼありえない。
こんな時間に誰だろう。そう思い、メールアプリを開く。表示されていた件名は「お疲れさま」。差出人は幸村先輩だった。
お疲れさま!
今日学校来てたって西から聞いたけど…
もう大丈夫なの?
あんまり無理しないようにね汗
委員会も部活も復帰するの待ってるよ!
でわ!
本文にはこのような文章が綴られていた。
本当にずるい…。こんなとき余計にそう思う。
何を意図しているわけでもなく、ただ後輩を気遣ってくれた言葉だと、分かってはいるのに不覚にもときめいてしまった。
しかし、そうしてばかりもいられない。
高ぶる気持ちを落ち着かせてお礼のメールを打つ。
お疲れさまです
だいぶ落ち着いてきたので復活しました
心配おかけしてすみません
早めに部活等にも復帰できるようにがんばります!
ありがとうございます!
でわ〜
当たり障りのない文章を打ち込む。
本当はメールとはいえ久しぶりの会話に、欲が出なくもない。話し続けたい。だが、それではいけない気がしていた。
一通のメール交換だけで終わらせたことに
それでよかったのだという気持ちと、
後悔する気持ちと、
その2つを抱えたままバスに揺られて帰路につく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます