第3話 平気なふり
胸がざわつく。
そんな私に気付く由もなく恵理は続ける。
「この間ね、幸村先輩と美緒先輩に会ってさあ。相変わらず仲いいんだかどうなんだかって感じだけど、なんだかんだでいい感じなんだろうね。やっぱりお似合いだなぁと思うよ、うらやましいな〜」
私が落ち込んだのは一瞬のことだった。悟られちゃいけない、平常心を保て。
「へぇ〜相変わらず仲いいんだ〜。最近会ってなかったからな〜。」
平気なふりをするのはいつものことだった。胸が痛む?そんなことは知らないふりだ。平気なふりして話をそらす。
「そういえば、恵理は?どうなったの?」
恵理の片想いの相手は恵理の部活の同期だ。部活の子たちの話によると仲はいいらしい。
「仲いいんだけどね、もうそろそろ一歩進みたいかな〜なんて思ったりして。」
恵理はクールに見えて実は話し始めると止まらないマシンガントーク系女子だ。ここから先は恵理と晴香の話の奪い合い。そこに相槌を打つ私。変わらない日常が過ぎていった。
1日を終え、帰りのバスの中1人昼のことを思い出していた。
「幸村先輩…」
ふと口に出ていた。慌てて口を閉じる。周りに同じ学校の生徒の姿はなく、特に私を気にしている人も見受けられない。警戒を解き、また物思いにふける。
幸村先輩は部活の先輩であり委員会も一緒。
美緒先輩も委員会が一緒の先輩で一番私のことを可愛がってくれていて私も慕っている先輩。恵理の中学の先輩でもあり、そして…幸村先輩の彼女さんでもある。
お似合いの2人。私も思う。相変わらず仲いいんだ、入り込む隙間なんてない…。でも…。
そんなことを考えていた、その時だった。
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