キャラクター紹介

第1話「天堂優月&天堂涼太」

※キャラクター紹介を目的としている為、分かりやすさ優先で台詞前に話者の名前を表記しています


涼太「日向先輩と同じクラスになった?」

優月「う、うん。それで……どうしたらいいかな……?」

 高校入学初日。帰宅して早々、小学生にしか見えない中学生の弟に恋愛相談をする姉・天堂優月。

涼太「どうしたらって、具体的にはどういう状況なんだよ」

優月「帰り際に編入生歓迎会やるっていって、龍次さんの方から声かけてくれて……」

 優月の通う高校は小中高一貫なので、中等部からの内部進学組と高等部からの編入組とがいる。

涼太「歓迎会……、それで帰りが遅かったのか。向こうから声かけてきたなら普通に友達になっていつか告白したらいいんじゃないのか?」

優月「こ、告白なんてしても……相手にされる訳ないし……」

 優月は顔立ちこそ悪くはないものの、全体的に地味で、しかもコミュニケーションが異常に苦手だ。

涼太「じゃあ、何が『どうしたら』なんだよ」

優月「う、う~ん……。なんだろう……?」

涼太「それすら分かってないんじゃねーか。おれは夕飯の支度があるから、お前は高校の教科書でも整理しとけ」

 天堂家の家事は基本的に涼太が取り仕切っている。

 両親は揃って帰りが遅く、顔を合わせる機会が少ない。

 そして優月はそもそも家事をしない。料理は特別不味いものを作るのではなく、何をやっていいのかさっぱり分からないので、手を出さないことにしている。掃除や片付けも中途半端にやって余計部屋がごちゃごちゃしてしまって以来やらなくなった。不器用な為洗濯物も満足に畳めない。

優月「うう……分かった……」


 姉弟での夕食。両親不在で無駄に広いテーブルを挟んで向かい合って食べる。

優月「この卵焼きおいしい。また料理上手くなったね。い、いいお嫁さんになりそう……」

涼太「それは褒めてるつもりなのか? そんなんだから人付き合いが――」

優月「いや……さすがに冗談だけど……」

涼太「おれ相手なら冗談の一つも言えるのが外出ると全然なんだよなあ……。確かに今のお前から告白されたら先輩も対応に困るわな」

優月「どうしたら涼太みたいになれるの……? 涼太は勉強もスポーツもできて、わたしのクラスにまでファンがいるぐらい人気者で……。一つでいいから才能分けて……」

涼太「お前にもなんか取り柄ぐらい――。そういや霊力だけはお前の方が高いんだよな」

優月「高いだけで上手く使えないけど……」

 優月と涼太は六年前、羅刹と呼ばれる人知を越えた存在の戦いに巻き込まれた。

 その際、霊力波が魂魄に影響を与えた――ということらしく、不思議な力が使えるようになっていたりはする。

 といっても、人間社会で使う機会はほとんどなく、もっぱら人に仇なす羅刹・『喰人種』との戦いに用いるものだ。

 羅刹そのものが全て人間の敵という訳ではないのだが、一部人間の魂を喰らうものがいるらしい。実際何度か出くわしている。

 六年前に見たものほど強力な個体が現れていないおかげで助かっているが、優月の性格で戦える訳がないので涼太が始末していた。

涼太「霊力が高いってことは、そっち方面の才能はあるんだろ。化物退治したらいいじゃねーか。誰かと会話する必要もないし」

優月「履歴書には書けないよね……」

涼太「まあ……な……」

 結局優月に人間生活をする才能はないようで、食べ終えた食器だけ運んで皿洗いもせずソファで横になる。

 適当にごろごろしていていつの間にか眠っていたり、一晩中起きていたりと不規則な生活習慣なので、自室は物置状態でリビングのソファが優月の寝床だ。

優月「わたし、この先生きていけるのかな……?」

 大学受験に合格できるとも思えず、ましてや自分が就職するところなど想像もできない。

 将来に不安を抱えながら、だらしなく生きている優月。可愛い弟が唯一の癒しなのだが、高校生活はどうなるか。

 果たして龍次との関係は――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る