ちょっと早い修学旅行生たち(中1)後編

 絶望的だった。


 家から電車1時間以上も離れた場所にある大学病院に検査入院。

 しかも夏休みが終わるまでずっと。


 入院生活1日目にして先が見えない。

 どこも悪くないのに、病院で過ごすってどうすりゃいいんだ。


 入院生活3日目で、私の向かい側のベッドのHちゃんとMちゃんが

 私と同じ歳だということが分かった。

 もちろん二人とも女の子。


 そうと分かれば、話しにも花が咲く。


 何を話したのか今は覚えていないけど。

 とにかくHちゃんが積極的に話してくれる子だった。

 

 仲よくなってしまえば寂しい気持ちは吹き飛んでいく。


 入院して一週間経つ頃には、看護師さん達の間で私たち3人はこう呼ばれた。


「修学旅行生」

 

 もちろん、きちんと病院のルールは守っていた。


 消灯時間以降は喋らないし、テレビも消すし、昼間も騒がない。


 当たり前の事だね!


 ただ、病室の子同士で、漫画の貸し借りして

 毎週月曜の教授回診の時間の前に、慌ててベッドの下に隠したり

 アイスクリームもついでに隠したり


 院内を消灯時間前に3人で院内を冒険して遊んだり。

 そういうことをしていただけなのだ。


 もちろん嫌な事もあった。


 それは週1で採血があったこと。

 いやあ、よく耐えたよ、私。


 しかも、下手な看護師さんに当たると、ものすごく痛いんだ。


 こう、針でぐりぐりっと腕の中を……書いてて気持ち悪い。

 失敗するだけならまだしも、痛いのは嫌だなあ。


 そんな修学旅行チーム3人の中で1番最初に退院したのはHちゃん。


 彼女は2週間ほどで退院した。

 残された私とMちゃんは、相変わらず仲良く修学旅行もとい入院生活。


 1週間に1回、外泊許可が出るので、家に帰っていた。


 駅で母とロッ○リアに寄るのが定番だった。

 エビバーガー美味しかったなあ。

 20歳で体質変わって、今は甲殻アレルギーで食べられないけど。


 そして退院のちょっと前。


 病院は屋上が解放されていたのだけど、そこにたまにMちゃんと行った。

 その日も屋上で彼女と語り合っていた。


「そろそろ病室に戻ろう」


 どちらが言ったのかは忘れたけれど、その言葉で病棟に戻る事に。

 病棟に戻ると、看護師さんが大慌てで私の元へやってきた。


「どこに行ってたの?! 探したんだよ?!」


 看護師さんの言葉で私はようやく思い出す。

 そういえば今日は午後から検査だったー!


「ついさっき院内放送で呼び出したんだけど、帰って来ないし」


 看護師さんはそう言った。


 院内放送までされてたのか!

 屋上にまで聞こえてはこなかったなあ。


 そのことがきっかけで病棟で、色々な人に私の名前が知れ渡ったとさ。

 おしまい。


 そんなこんなで、入院生活の出来事はこれくらいかな。

 いやー。楽しかったなあ(何しに行ったんだろ)

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