二. とき

「おっき―――い。これ本当に家なの?」

 私は大富豪が持つようなお屋敷につれていかれた。玄関の扉をくぐると赤いじゅうたんが一面にしかれていた。私はそのまま、TVで見たような食事をするところへつれてこられすわらさせられた。

 「ぼくは、朝雛とき。ときって呼んでくださいね。」

 私は目の前の光景に動揺していた。と、彼はハンドベルを鳴らした。

「おーい。食事をもってこい。」

 すると、たくさんのメイドさんがテーブルいっぱいに豪華な料理をおいていった。私は塾帰りだったのでお腹が空いていた。

「…。これ、食べてもいいんですか?」

 彼は笑顔で答えた。

「もちろん。あなたのために、これすべてを用意したんですから…。」

 私は彼の言った意味がわからなかったが、料理を食べ始めた。どれも私の食べたことのないものでおいしかった。彼は言った。

「食事がすんだら、中庭に散歩に行きませんか?」

 私はなんとなく断れなかった。お腹もいっぱいになってきたので答えた。

「行きましょう。もうお腹いっぱいですし、なんなら今すぐにでも。」

 私は彼につれられて、中庭に来た。中庭にはたくさんの植物があり、とても見て回れないくらいだった。やっぱり見たこともない植物が多かった。彼が説明しながら、ゆっくり中庭を回っていった。と、彼は言った。

「あ…。今日、泊っていったら、どうですか。明日まで電車がこないし。」

 私は帰ることができないことを思い出した。しかたないので、私は彼のお言葉に甘えることにした。私は彼に連れられて歩きだした。

「いいんですか? ありがとうございます。こんなにしてもらって…。」

「いいんですよ。これが、ぼくの役目なんですから。」

彼の意味深な言葉に私は不思議に思った。こんなに親切にしていただいて、彼はいったい何者なんだろう。

「ここが寝室です。おやすみなさい。」

 私は窓際のベッドに入った。私が窓の外を見ると空に満点の星空が光っていた。

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