襲撃1
冷たく感じるコンクリート製の壁が囲む部屋、その中の鉄の扉を正面に見える位置で、本堂はただただ静かに瞑想ともいえる行為を行っていた。
この部屋に連れ込まれるまで、自身の潔白を相手に伝えようと試みよてはいたのだが、言語が通じない事により相手に対して伝えられないままという状況でもあった。
そのため、本堂としては闇雲に主張し続けてしまえば無駄に時が過ぎ、通じないまま反抗的ととられる行動より、その釈明の機会を得られる時までおとなしく待つというという事にしたからであった。
連れ込まれ拘束された後、出された食事を器用に摂り、それを原料として体内での構成物とする。そんなメンテナンスモードともいえる瞑想状態にし、少しでも自身の体調を万全の状態へと戻すべきであろうと判断していた。
それは、ドン・ガバメンとの死闘ともいえる戦いの疲れや傷が癒えぬまま、大勢の怪人たちとやり合い、そしてこのトライヴとしての戦闘力を上げるが、その分疲弊も重ねることとなる
(せめて、身体だけでも万全に喫さなければ・・・)
自己修復能力を期待してはいるのだが、本堂の心の焦りが収まる様相を見せなかったのだが、瞑想という恰好は、その心の体を保とうという行為でもあり、何も考えず、ただただ時が過ぎていくだけではあったが、その身体と精神が着実に元の状態に戻ろうとしている気配を感じ取っていった。
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どれくらいの時が立ったのだろうか。
閉じている瞼に、日の光を感じる様になったころ、あたりが喧噪とし始めていた。
その状況を確認するべく、本堂は五感の一つである聴覚を強く意識する。
「tiu kion vi faras?」
「La monitorado.Minimuma nombro de homoj」
「Vi salutis rapidi.Jen teni monitoranta mia」
「kompreno」
扉の向こう側で、何かやりとりをしている会話が聞こえ、その後に複数名の足音が速足で遠ざかっていくのが研ぎ澄ました聴力が聞き取った内容であった。
その状況内容から、本堂は"何かが起こっている"とは感じ取ってはいたが、それが何なのかは解らないままであった。
最悪の事態とするならば、先の戦いの様な兵団が再び現れた可能性があるのでは?と考えがよぎったのだが、手元に視線を向けた先にあるモノ、その手枷ともいえる物を纏わされている状態で、本人としてはこれを破砕して動くべきかどうかの判断がつかないでいた。
もし、破砕するという事を行えば、十中八九、本堂自身があの兵団の元となるザ・リークとつながっているという疑惑がぬぐえなくなる可能性があり、余計な疑いが増えるばかりになってしまう。
本堂としては、どう行動に移せばいいか悩み始めた時、カチャリと金属製の扉から錠が外された音がしたと同時に、軋み音と共にその扉が開かれて入ってくる人物に視線を向けた。
一昔前とでもいう服装に、その手にはナイフの様な刃物と思われる物を携えていた。
「Ĉu bone vi ?」
「fari iun promeson,Se vi spertas incidentoj" povas esti forigita. "」
本堂は、入ってくる一人の人物から、異様な雰囲気を感じ取っていた。
その男は、こちらへと鋭い視線を向け
「vi scivolas estis la gvido ?」
本堂にとっては、何を言っているのかが解らないままであるが、その人物が憤怒ともいえる感情を持って放った言葉という事は、理解できていた。
これは、自分自身が未だ彼奴等の同類と思われていると
「私は彼奴等と戦っている者だ。彼奴等と繋がってはいない、通じてくれ!」
「ne pre...Ambaŭ estas belaj,Listigita koron.」
そういう男は、持っていた短剣を鋭く本堂へと突き刺してくる。
咄嗟の判断であったが、本堂は手枷となっている腕で、その鋭く突きさしてくる短剣を受け止める。
「まて!私は違う、NOだ!!」
「TIT!!」
それでもなお、男は本堂に対してその刃を薙いでくる。
その動きに対しては、本堂自身の戦闘能力からもってしてみれば、危険度が高い物ではないため、最初こそ驚きと共に反応が若干遅れてしまったが、今は手枷の部分を器用に使い、その刃を受けとめていっていた。
それほど大きくない部屋の中であったが、その攻防は次第に相手となる男の苛立ちが昂っていき、
「Vi herpos !」
そう叫ぶと、部屋の外から二人ほどの人物が入ってくる。
その二人の人物たちも、その手には短剣といえる物を携えていた。
(いかに諸外国とはいえ、こうも殺気を持っているとは・・・
いや、日本人という感覚を持っていた自分だからか?
しかし、この状況のままをいつまでも続けるわけには・・・)
三人と増えた状況ではあったのだが、その三人の攻勢すら本堂は冷静に躱し続けながらもそう考える余裕を持たせていた。それは改造人間としての能力がそうさせるだけの余裕を持たせていたともいえた。
だが、この現状を続ける事が果たして・・・と思ったとき、ふと「お前は優しすぎる。時にはその優しさを殺してみないと、状況を打破する事が出来なくなるぞ」という友の言葉を思い出す。
その言葉を思い出した本堂が、次にとった行動は
「先に謝っておく、すまない。」
という、謝罪をする事であった。
いかに言葉が相手に通じないといえども、本堂自身がそう自然と謝らせていた。
「Kion vi diras!」
相手の怒声が放たれたと共に、手枷となる物が引き千切るられ、本堂が素早く
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〇意訳こーなー
「tiu kion vi faras?」(ここはどうするんでしょうか?)
「La monitorado.Minimuma nombro de homoj」(最低限の人数で監視という事だ)
「Vi salutis rapidi.Jen teni monitoranta mia」(お前たちは急ぎ向かえ、ここは私がみておく)
「kompreno」(了解しました)
「Ĉu bone vi ?」(よろしいのですか?
「fari iun promeson,Se vi spertas incidentoj" povas esti forigita. "」
(言質は取ってある。事が起きれば、"処分してよい"とな
「vi scivolas estis la gvido ?」(貴様が手引きをしたのだろ?
「ne pre...Ambaŭ estas belaj,Listigita koron.」
(答えないか・・・まぁ、どちらでもいい、その首をもらうだけだ)
「TIT!!」(チッィ!!
「Vi herpos !」(貴様らも手伝え!!
「Kion vi diras!」(何を言っている!
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