戦闘2
トライヴが放った拳、その先端からは接触したという感覚が本堂に流れ込んでくる。
だが、その拳がそれ以上に相手幹部怪人へとのめり込む事もなく空を切るだけであった。
なぜなら、当てたと思った相手が、先ほどまでいた場所に存在していなかったからである。
「(何が起こった!?)」
拳を突き出していた本堂は、思考を瞬時に行いつつも"その場から離れなければならない"という認識にかられ、脚力を使い飛び退く様に離れた。
飛び退くというとっさの行動であったが、その場を離れた途端その認識がただしかったと証明するかの様に、先ほどまで本堂がいた場所は、ゆっくりと球状に大きく地面がえぐれる様にへこんでいっていたからだった。
しかし、飛び退くという事自体が、あまりにも唐突な認識からの行動であったため、出力調整をする事もなく最大出力で飛びのいてしまったおかげで、ある程度高度をとってしまう形になってしまったおかげで、その球状への変動規模が徐々に広がっていっているのがハッキリとわかる事にもつながった。
その光景を目にした本堂は、これは、完全に自分への奇襲ともいえる攻撃である。と、判断する。
そこから、先ほどの怪人を囮とし、この本命ともいえる圧力ともいえる攻撃を当てるというのが、本命だったのだろうと、本堂は推察を行い、危機感を抱きながら周囲へと視線を巡らせそして気づいた。
「(飛んだのは・・・悪手だ・・・!)」
視認できない攻撃が追撃してくる可能性があると推察から導き出した本堂は、すぐさま防御姿勢ともいえる体を丸める形とし、早く着地しろと心の中で焦りと共に願う。
いかに粘性が高いと感じる空気中において、その空気をつかむ様な行為は本堂にはできない。つまり、一度空中に飛んでしまえば、今のトライヴの状況にとって、後は慣性と重力の世界に放り出されるという事でしかなかったのである。
だが、本堂の思いとは裏腹に、追撃というものが行われる事はなかったのだが、警戒をしている本堂の聴覚は、ある種の会話、つまり先ほどの幹部怪人以外の声を聴きとっていた。
「vi unsightly...」
「repliki...」
「Sed fanfaronis , La rezulto estas ĉi?」
「...」
「ĉiuokaze,Vi Rakontu la pardonpeto,Konservu la prunto nun」
「...kompreni」
相手は、会話を行っている形であったのだが、本堂にとってみれば、なぜ追撃が来なかったのかという疑問でしかなかった。
だが、それ幸いにようやくその体が地面へと接地する事が可能となったとき、その体制をすぐさま構えという形に切り替え、本堂が先ほどから聞こえていた声のする方、つまり飛び去る前の位置からさらに先に視線をむけると、そこには先ほどの怪人とは異なる怪人と思しき者が幹部怪人の隣に立っているのを確認する。
「Allais estas ?」
「Dekstra」
「(あれが、奇襲をかけてきた怪人か?!)」
そう、視認した先には2体の怪人がこちらに体を向けなが様子をうかがう格好でいた。
一人は今まで戦闘を行っていた幹部怪人。
そして、その横に新たに表れた人影も、また幹部怪人と似たような姿をしているが、頭部の形状やそのスタイルから、女性型ともいえる姿格好をしていた。
本堂は、直観ともいえるもので、先ほどの目に見えない攻撃をしてきたのも、あの怪人であろうと仮定していた。
つまり、これから連携的な攻撃が繰り出されるのではという事を想定し、挟撃がなされる可能性を考慮し始めていた。だが、
「Hmm...Sama kiel mia Sinjoro ?」
「Kio!?」
「Sed Konfido ne.Mi pensas la saman kapablon」
「...retiriĝo nun」
「konsentite」
「(なんだ・・・何かの作戦を練っているのか・・・?)」
本堂にとって、二人が会話という物を行っているのならば、これから相手は戦闘だけではなく戦術的な行動をとってくる可能性が強いという事になると気を引き締めなおしていた。
だがそれは、
「Mi antaŭeniris」
「konsentis 」
本堂の判断が決まる前、怪人二人は行動に移した。
来るのか!と、攻めよりも守りのスイッチが入った本堂へ、驚という感情をたたきつけるには十分であった。
もう一人の怪人は、まるでそこに何かを作り出している動作を行ったかと思えば、幹部怪人はその場所へと扉を潜るかの様に・・・
「(消えた、だと!?)」
そう、消えたのであった。
目に見えない攻撃を行ってくる相手ということは、本堂自身が改造された五感ですら"捉えられない"方法で攻撃をしてくるという事に他ならない。
本堂は、消えたという事実から、瞬間移動的なモノで攻めてくるのではという予想を、迫りくる制限時間の中で、それでも何かしらの情報を得ようと感性を最大限にし、消えた幹部怪人の不意なる攻撃に対して警戒を強めていった。
だが、そんな本堂の思いとは裏腹に、思ってもみない事が発生した。
「See you.Mr、マタネ」
「(なっ!?)」
そう、それは女性型の怪人から本堂へと まさに聞きなれた言葉をニヤリといった表情で投げキッスと共に投げかけた後、先ほどの幹部怪人と同じ様に、その場から消え去っていた。
驚きはあったが、それでもその言葉をそのまま信じることはせず、警戒をより一層強める本堂であったが、それでも思考が混濁し始めていたともいえる中
『Time out...』
フェイスマスクの中に聞こえる機械音声と共に、トライヴとしての装甲は純白から琥珀色へ、さらに紅色へとその姿を変え、戦場だった場所には、ただ紅色の甲冑を来た者だけがその場所にたたずんでいただけであった。
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○勝手に翻訳コーナー
※偏った意訳です。
「vi unsightly...」
(無様ね・・・
「repliki...」
(否定が出来んな・・・
「Sed fanfaronis , La rezulto estas ĉi?」
(あれだけ豪語していて結果がこれなの?
「...」
「ĉiuokaze,Vi Rakontu la pardonpeto,Konservu la prunto nun」
(まぁいいわ、帰って弁明を垂れるのは貴方ですし、今は貸しにしておくわ)
「...kompreni」
(...そうしてくれ)
「Allais estas ?」
(で、アレなの?
「Dekstra」
(そうだ
「Hmm...Sama kiel mia Sinjoro ?」
(ふーん・・・我が君と同じみたいね?)
「Kio!?」
(なんだと?
「Sed Konfido ne.Mi pensas la saman kapablon」
(確信は無いけれど、間違いなく同じね
「...retiriĝo nun」
(・・・ならば、今は退くぞ
「konsentite」
(賛成
「Mi antaŭeniris」
(先に行って
「konsentis 」
(わかった
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